表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/46

ドアの外

「作戦としては、まあ妥当だな。で、おまえは戦力になるのか? それとも俺を使い倒すつもりなのか?」


「もちろん、おれも戦う」


「素手で?」


 フィールが呆れたように言うと、ディンは少し腰が引けつつも「悪いか」と言い返した。


「それで切り抜けられる状況ならいいけどな。全く使う気はないのか?」


「ない」 


「仲間の命がかかっていてもか?」


「それは……」


 ふん、と鼻を鳴らして、フィールは携帯していた短剣をディンへ向かって投げた。  


 ディンはそれを嫌そうに受け止め、フィールへ非難の視線を投げつける。


「おれの言ったことを聞いてなかったのか?」


「迷うくらいなら、念の為に持ってろ。万が一使う決意をした時に、得物がないんじゃ話にならない」


「おれは使わないぞ」

「好きなようにしろ」


 ちっとディンが舌打ちしながらも、短剣を腰のベルトに差した。


「マリィナ、それにルテア。壁際に避難してろ。ディンが全ての盾になる」


「もちろんそのつもりだ」


 女ふたりに代わって、ディンが返事をする。


「おれは外から回り込んで、連中を片付けながらここに戻って来る。それまでもたせろよ」


「だからわかっていると言っている。ここは問題ない」


 ディンにやや憤慨しながら言い返され、フィールは「はいはい」とそれをいなす。


「じゃあな。またあとで」


 フィールは長剣を鞘に納めたままの状態で手に持つと、そのまま窓枠にもう片方の手をついて、ひょいと窓の外に姿を消してしまった。


「っっっ!!」


 ルテアが驚きに目と口を大きく開いているけれど、マリィナはフィールが子どものころから身軽なことを知っているので、「大丈夫だよ」と、ルテアを安心させるように声をかける。


「ほ、本当に大丈夫なのか?」


 しかしマリィナに訊ねたのは、ディンのほうだった。  


「大丈夫です。木登りをして高い枝の上から飛び降りたり、屋根の上から木へ飛び移ったりは、子どものころからよくやってたから、怪我をしたりはしないと思います」


「……そうか。ならいいが」


 ディンが安堵の息を吐く。


 と、ミシ、とドアの外で、小さく階段の軋む音がしたような気がして、ディンの目を見る。


 マリィナは、耳だけはいいのだ。


 ディンも気づいたらしく、小さくうなずいてドアへと近づいてゆく。

それとすれ違うように、ルテアがマリィナの隣へやってきた。


 三人そろって、息を詰める。


 廊下の軋む音が、ドアのすぐ外で聞こえた瞬間、ディンがドアを外へ向かって勢いよく蹴破った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ