一枚目――「こんにちは、Alice」
「平和な日常がこんなにもあっけなく終わるなんて、知らなかった。」
とても、平和な町があった。
自然と共存する町で、名前は“ヴォラーレ・リコルド”。
“飛ぶ記憶”という、やや不吉な意味だ。
その中の…舗装されている道を歩く少年が一人。
明るい茶髪に、茶色い眼。
健康な色に焼けた肌の…至って、普通の少年だ。
年は…15くらいだろうか。
彼の名はライ。
町に住んでいる、元気な少年。
そう、至って普通の、少年だ。
ある日、彼は遊びに出掛ける途中に…奇妙な人間を見た。
見なれない服を着た、男だ。
彼は何かを呟いていたが…ライは、そのまま過ぎ去っていった。
数日後…ライは、またあの男を見つけた。
素朴な服を着た人達からはかなり浮いている。
ライは、そのまま通り過ぎようとしたが…男が、声をかけた。
『ヤア 良い天気だね Alice――』
聞いた事のない声。
聞いた事のない言葉。
そして、聞き覚えのない名前…なのに。
「え、あ、うん」
思わず、返事をしてしまった。
布の下から見えた、色の違う目がニッと笑う。
ライは、不安を覚えて辺りを見るが…周りの人達は無関心だった。
男の服が、膨れ上がった様な錯覚を覚えて…
ライは、町から姿を消した。
『Aliceを見つけた。僕のパートナー。』
『これでゲームがハジマルね。』