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プロローグ
「ウィリアム様、本当によろしいのですか」
ウィリアムは自分が捨てていく竜のことを考えると、決心が鈍りそうになった。
10才の時から竜騎士になる為にリューデンハイムで修業してきたのだ。
竜騎士という身分を捨てるより、見習い竜騎士になってからパートナーを組んでいるイリスと別れるのが辛かったが、ロザリモンドと恋に落ちてしまった。
ローラン王国の皇太子と縁談の進んでいるロザリモンドと恋に落ちたウィリアムには、駆け落ちしか残されていない。
「ロザリモンド姫、私についてきて下さいますか」
マウリッツ公爵家で大事に育てられた姫君に、苦労をかけるのをウィリアムは心配したが、恋を諦めるつもりにはならなかった。
竜騎士に叙される前日、見習い竜騎士のウィリアム・フォン・フォレストとロザリモンド・フォン・マウリッツは駆け落ちをした。
この一大スキャンダルにユングフラウは騒然となった。