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第13話 なぜ6歳児なのかの答え合わせ

『本日の朝食は、ネオ・バロメッツの実から取れた子羊の腸詰め(ソーセージ)で作ったポトフ風野菜スープと、ヒポグリフの卵を使った目玉焼きに、ヒポグリフの厚切りベーコン、トマトソースで煮込んだ白銀インゲン豆──、これはベイクドビーンズに似ているお味。トーストは良い感じに焼いてあって、外カリカリ、なかもちっとして美味しいです』


 今回は何の肉を使っているのかなどバルトロメオ様に聞いてみた。それから魔物について食材なども撮影させて貰った。

 この食材がこうなります。いわゆるビフォーアフターみたいなものは、かなり興味を引いたらしい。写真撮影は日常という感じのテイストでいくので、そこまでこだわらずに料理が美味しそうにパシャパシャと数枚とって実食という感じだ。

 毎回、同じ書き方と言うのもアレなので、色々工夫しつつどれが一番反響がいいかを手探り感覚で対応しているところである。


 ネオ・バロメッツは中々に衝撃的だったと思う。だって実物はタンポポのような葉と茎そして花の部分には、もふもふの羊が刺さっているかのようにいるのだ。あれもアングラザリガニと似ていて、羊の姿と匂いで肉食獣や魔物を呼んで近づいたところで根が槍のように飛び出すようになっている。トラップ系の魔物だ。

 ちなみにこのポトフ、牛肉の味がするのかと思ったら、まさかのカニのお味。これにはビックリだった。


「んん~~~~、美味しい。この目玉焼きに掛かっている天然塩と香辛料。ブラックペッパー、パセリ、このピリリとしたのはブラックオニオンシードっぽい」


 この世界では岩塩や香辛料を使った組み合わせを幾つも持っているらしい。香辛料の種類が豊富だと味がワンパターンになりにくいし、魚や肉にあったスパイスは料理の美味さをぐぐっと引き上げる。


 もぐもぐと食事をしていると、視線を感じるが気にせずに残さず食べた。アウトドア飯なのに、丁寧に作られていて美味しいわ。バルトロメオ様は「朝食の準備があるから!」と精霊との契約やらコメントに対して返信は先送りにされてしまったけれど、時間を見つけて話をしに行こう。


『あっさりと陥落させる桃花はすごい』


 ハクがごにょごにょと何か言っていたが、聞こえなかった。なんだろう乙女ゲーム的な攻略でも始まっているのかしら?

 そんなフラグもイベントも今のところ一度もなかったけれど。


 朝食を終えた後、私はランドルフ様たちと今後のスケジュールについて相談をすることになっている。本当なら昨日のうちに済ませておくべきことだったが、私が眠ってしまったので翌日に持ち越しになってしまったのだ。これは申し訳ない。

 どうにも六歳の体では二十一時以降は、眠くて起きていられないらしい。そんな罪悪感をちょっぴり持ちながら、ランドルフ様の(ゲル)で話し合いとなった。


 今回は全員椅子に座って話し合いらしい感じだ。私はとても嬉しいです。ハクは私の膝上に寝転がっているが、みんなスルーしている。ハクは今日も自由です。でも可愛いので許して貰おう。モフモフ。


「モモカ殿、昨日はよく眠れましたかな?」

「はい。朝までぐっすりでした。寝る場所を用意してくださって、ありがとうございます」

「いえ当然のことでございます。……それで昨日は話が途中になってしまいましたが、今後の黒狐(ブラック・フォックス)聖騎士団についての活動方針と、モモカ殿の目的のすり合わせをしたく感じております」

「はい、わかりました」


 昨日は超特別(エクストラ)回復薬(・ポーション)をひたすら作って、効果抜群だったことで聖騎士団全員を助けることができた。それについてはランドルフ様を含め、色んな人たちにお礼を言われまくった。それもあって割と好意的に私を受け入れてくれている。まあ、そうじゃない人たちの視線をちらほら感じるけれど、気にしない。

 どの職場でも新参者に対して良く思われない人はいるものね。あるいは私が聖女だということで警戒しているのかもしれない。本当のこの世界の聖女はどんな生活をしているのやら。ちょっと頭が痛くなってきた。聖女ってもっとこう、好かれている感じじゃないのか……。


 まあ、一種の洗礼だと思っていれば良いので気が楽だ。それにあからさまに罵倒や追い出そうとしないだけでも有り難い。


「あ。私のことで開示すべきことがあります。そちらを先に話してもよろしいですか?」

「もちろんです」

「無論だ」

「拙者も右に同じく」


 全員の賛同を得られたことで、私は自分の持つ最大の秘密を明かすことにした。それはこの三人なら、話しておいたほうが良いと思ったからでもある。また私の現状を正確に理解するためでもあった。ちょっと緊張する。これを話してランドルフ様たちがどう反応するのか、少し怖いけれど──。

 ふう、と息を吐いて口を開く。


「まず私の実年齢は6歳ではありません」

「でしょうね」

「そうだな」

「だと思っておった」


 え? 全員、気付いていたの!?

 いやまあ、こんな6歳児はいないだろうけれど。受け入れるの早くない?


『普通に考えて、こんな6歳児はいないと思う』


 三人ともアッサリと私の秘密に気付いていたらしい。ハクに至っては『いや普通気付くよ』というスタンスだ。自分の中では重大発表だと思っていたのに、なにこれ恥ずかしい。


「~~~っ、私としては結構勇気のいる発言だったのですが、気付いていたのですね」

「聖女様なので、外見イコール年齢と結び付けないほうが良いと思った次第です」

「ナルホド」


 そういえばこの世界はファンタスティックな世界でした。人外とかいるのなら、外見イコール実年齢とはならないのかもしれない。


「改めて、私の実年齢は二十七歳です。たぶん、本来の姿には自分の意思で切り替えができる──はず」

「なんとあの貫禄で、二十七歳とは……」


 三人とも実年齢を聞いてなんだか衝撃を受けていた。彼らからすれば年下だろうけれど、そんなに驚くようなことがあっただろうか。まあ、問題はここからだ。


「女神様からの勅命(オーダー)を考えると、聖女としての肩書きがあることは理解できるのですが、なぜ6歳の姿なのか。これがどうにも引っかかるのです。転移する際の誤作動か、あるいは()()()()()()()()()()()()()とか」

「「「!」」」


 あ、あたりっぽい。

 つまりは聖女である私が子どもの姿でなければ、私に不都合が生じる可能性。この世界のランドルフ様たちなら知っているかと思って、相談をしてみたのだ。私の意図に気付き、三人とも腕を組んだり、顎の髭に触れたりと各々反応を見せる。

 ランドルフ様が口火を切った。


「そうですね……。この世界で女性の結婚適齢期は十六歳から三十歳となっています。貴族令嬢などは十六歳から二十歳前後ですが、聖職者に限っては勤めなどもあり、肉体の老化が三十重を過ぎてから少しずつ変わっていくとされます」

「それって三十歳までは、十代の肉体を維持しているということですか?」

「はい」


 ないんそれ。すごく羨ましい!!

 三十歳まで肉体的老化が遅れるなんて羨ましすぎる。そう思っていたけれど、そこ実年齢を思い出す。


「あー、もしかして私が6歳児になったのって……」

「もし本来の姿でしたら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 こんやく。

 婚約……。婚約!!!

 はああああああああああああああ!?


楽しんでいただけたのなら幸いです。

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