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現実系ショートショート

隣室の痴話喧嘩

 ある日の仕事帰り、友人と夕食がてら酒を飲んでいると、不意にその友人はニヤニヤと笑いながら隣人の話を始めた。

 彼の住んでいる部屋は安普請で、隣室からの声は普通の話し声くらいの大きさなら耳を澄ませば聞こえるし、大声であればなおさらなのだと言う。


 昨夜の話である。そろそろ寝るかと思って布団を用意していた友人の耳に、急に女の怒鳴り声が聞こえてきたらしい。

 隣人は男であるため、その声はおそらく付き合っている彼女なのだろうとアタリがついた。

 はじめのうちは何を言っているのか分からなかったが、聞いているとどうやらその隣人の部屋に長い髪が落ちており、その髪の長さが明らかに彼女のものとは違う、浮気をしているに違いない、と彼を責め立てるような内容だったらしい。


 野次馬根性を出した友人は、細大漏らさずに会話の内容を聞き取ろうと壁に耳を押し当てた。

 すると彼氏の方は誠実そうな声で職場や電車内でついたのではないか、まるで身に覚えがない、と言い続け、浮気なんてするはずがない、と潔白を訴えていた。

 やがて彼女はその彼氏の様子に心を動かされたのか、疑ってごめんなさい、としおらしく謝った。


 友人はここで一度話を止めると、ニヤニヤ笑いをさらに大きくしてここからどうなったと思う? と聞いてきた。


「どうって……そりゃ普通に仲直りして終わりでしょ?」


 私の言葉に友人は首を左右に振った。


「僕もそれで終わりかと思ったんだけど、彼氏のやつが最後に口を滑らせたんだよ」


 友人は楽しそうに笑いながらこう言った。


「本命は君だよ」


 直後にビンタの音がアパート全体に響き渡ったと、友人は楽しそうに話を締めくくった。

お読みいただきありがとうございます

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