胸を灼く炎に
熱血キャラでもないのです。
水面に揺らぎひとつない ぬるま湯をはった桶ならば
つむじ風が吹き荒れたって
儲け話のひとつもあがらないだろうさ
いざこざに身を置いた物好きが
人生を謳歌するというのは危険な定説
胸を灼く炎に 昼は苛まれようと
不毛な水掛け論をひっかけるんじゃないぜ
胸を灼く炎に 夜はうなされてようと
枕は高く積まずにクロールを掻いて
寝返りをうて
翅にも焦げめひとつない ステンドグラスのアゲハ蝶
砂煙の街 舞おうとも
嵐の前触れなんか告げはしないものさ
君子こそ危うきに活を見て
火中から栗 拾うというのも路傍の定石
胸を灼く炎が 絶えず渦巻いてようと
不穏な陰謀論に耳を貸すんじゃないぜ
胸を灼く炎が ときに燻ってようと
焚き木を高く組むうちスコールがやむの
手ぐすねをひく