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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

猿の電車であの駅へ

作者: べるあっと。

 仕事が終わった、今日がようやく終わろうとしている。


その事実に私はホッとするような憂鬱なようなよくわからない感情で頭が痛くなっていた。


忘れものがないか確認し、職場を後にする。外は冷え切っていた。


今日は何日だっけ?


携帯で確認しようとするも充電がなくなっていた。だいぶ前に買ったものだからバッテリーが膨張して液晶が少し浮いていた。


まあいいかと思い、私は駅へと歩き出した。


いつも帰るのが遅くなるのは嫌だけど、街灯に照らされた真っ暗な道を歩くのは好きだ。

健常な人たちが明日に備えて寝ている中一人散歩している気分になれるからだ。


無意識にニヤニヤしながら歩いていると、駅に着いてしまった。楽しい時間は過ぎるのが早いのだ。


私は名残惜しく歩いてきた道を振り返り、おとなしく駅へと入って行った。


改札を抜け駅構内へと入ると、誰もいなかった。


私は少しニヤッとした。誰もいない公共施設も好きなのだ。


自販機で缶コーヒーを買い、ベンチに座った。時計の針は十一時十三分を指していた電車が来るまでまだ十分程度ある。


缶コーヒーで暖をとりつつぼーっとしていると、構内にアナウンスが流れた。


「えー、今から来る電車に乗ると酷い目に遭いますので、ご注意くださいませ。2番線に電車が参ります。」


酷い目に遭う?普通そんなアナウンスするだろうか?なんて考えていると私が立っていた2番線ホームに本当に電車がやってきた。


それは遊園地で見かけるようなお猿さんの可愛い電車だった。


「何、これ。」


社会人になってから三年間、私はほぼ毎日この駅に来ているが、こんなファンシーな電車は初めて見た。


何かのイベントだろうか?なんて思ったが、こんな時間にイベントなんかやるだろうか。


「ま、いいか。」


私は早く帰りたいからとその電車に乗り込んだ。


内装は存外普通の電車と変わらないように見えた。


乗客は私以外に女の人と男の人が一人ずつ乗っていた。


思ったより普通だなーなんて思いながら私は適当な席に腰掛けた。急行か鈍行か確認せずに乗ったのは私の最寄りの駅は大抵の電車が止まるから乗り過ごさない限り大丈夫だろうとたかを括っていたからだ。


しかし、いきなり聞きなれないアナウンスが流れた。


「お次は串刺し〜串刺し〜。」


すると、後ろから男の悲鳴とぐしゃぐしゃという音が聞こえた。


男が座っていた方を見てみると小人が男に人間の身長とほぼ変わらない針を何本も刺していた。男の意識はもうないだろう。


私は声が出なかった。今自分がどういう感情でその様を見ているのかわからなかった。


「まもなく電車が発進いたします。車両が揺れますのでご注意ください。」


電車が動き出した。いつから停まっていたのかそもそも今まで動いていたのかもわからないが、とにかく今動き出した。


「お次は挽肉〜挽肉〜」


程なくしてまたアナウンスが鳴り響く。すると電車が停まった。


私は急いで立ち上がり、電車から飛び降りた。その際また小人たちが女にドリルを突き立てようとしているのが視界に入った。


降りるとそこは見慣れない駅だった。


ホームは一つしかなく、真っ暗で駅があること以外何もわからない。


時刻表の文字は踊り何も読み取れず、人の気配がない。


でも、駅の名前だけはかろうじてわかった。


「きさらぎ駅」


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