2016年から2022年、我が家の鈴虫
新エピソード追加に合わせてこちらも微調整。
## 2016年
一昨日辺りから、洗面所方面で鈴虫らしい虫の音がする。近付くと音が止まるので現認できず、昨日は放置して出掛けた。昨夜は玄関方面に移動したようで、廊下に面する部屋のドアを閉めてもベッドまで聞こえてくる。
今朝ごみを回収場所に持って行きがてら音を探ると、ほぼ間違いなく括り付けの下駄箱の下から聞こえてくる。朝から埃に塗れるのも嫌なので、殺虫剤を噴き込んでみる。死なないまでも、出てくるかと期待するも姿を見せない。
それでも静かになったので安心して食事の支度に取り掛かる。そうして食事をしているとまた虫の息……でなくて鈴の音……でもない虫の音。
どうやら殺虫剤はお気に召さなかったようで、壁に立て掛けている箒の蔭をよたよたと歩いては羽を鳴らしている。最早影に潜む気力もないようなので、玄関ドアを開け放ちご退出願うとそろそろと出て行った。
見送った私は安心してもう一眠り……じゃないよ、急がないと遅刻だ!
## 2022年
そして今年。暑さと湿気がやっと落ち着いてきたので窓を開け放して仕事をしている。そう、6年前と違ってテレワークなのだ。外から盛大に虫の音が聞こえてくる。今年は特に暑い気がしているが、それでも季節はちゃんと巡っているらしい。
今年もまた例年のように、外の音に呼応するように家の中でも音がする。出所を探ると、どうやら一人暮らしになってから使っていない部屋のクローゼットのようだ。
実は数日前から昼夜を分かたず鳴いているようなのだが、どう空気を読むのか私が寝ようとする時間帯は鳴かない。かと言って元々夜行性なのだし深夜に気付くと鳴いている。どうやら私が廊下を移動すると暫く静かにしているようだ。
それならそれで、好きなように鳴いてくれ給え。それはいいが、縄張り争いに負けて我が家で鳴いているような奴だ。果たして連れ添う気になってくれる雌はいるのだろうか。まぁ、願わくば出会いのあらんことを。