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無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~  作者: 絢乃


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038 満場一致

 今日も救助が来なかったら、俺たちは選択しなければならない。

 島で生活し続けるか、それともイカダを作って脱出を試みるか。


 どちらを選んでも前途多難――茨の道だ。


 島での生活を選んだ場合、健康上のリスクが怖い。

 医療がないこの状況下では、ただの風邪ですら致命傷になり得る。

 もしも猛獣に襲われて怪我をしようものならいっかんの終わりである。

 今のような快適さが持続するとは限らないのだ。


 脱出を試みる場合のリスクはもっと分かりやすい。

 ラフトやイカダのトラブルや、食糧が底を突くなど。

 無事に人のいる島へ辿り着ける可能性は低い。


「長生きしたいのであれば島での生活を継続するべきだ」


 島の暮らしで待ち受けるリスクには対処可能だ。

 完全に解決することは無理でも、多少の改善策は講じられる。

 それでも――。


「私はイカダで帰る道を選びたい」


 最初に言ったのは凛だ。


「この島での生活はすごく楽しい。日本じゃ経験できないことばかりだから。でも、お父さんやお母さん、それに友達と会えないのは寂しい。だから私は、危険でも帰る道を選びたいの」


 凛の言葉は力強く、俺たちの胸に突き刺さった。


「あたしも凛に同感だね」


 次に沙耶が脱出に一票を投じる。


「この島ではどうしても刹那に依存せざるを得ないからね。仮に刹那がダウンするようなことになったら、あたしらなんて一瞬でおしまいだよ。日本ですら健康を維持し続けるのは大変なのに、島でも病気に罹らずにいるなんて無理だと思う。だから、刹那が元気な間に挑戦したい」


 彼女の言葉に俺は驚いた。

 いや、俺だけではない。

 凛と陽葵も驚いている。


「沙耶がそこまで真面目に考えていたなんて意外」


 凛が真顔で呟く。

 沙耶は「うるせー」と笑った。


「陽葵はどうだ?」


 残すは俺と陽葵だけだ。


「私は……」


 陽葵は決めあぐねている様子だった。

 ブタ君が「大丈夫?」と言いたげな顔で見ている。

 ブタ君の頭に座っているシロちゃんも心配そうだ。


「私も日本に戻りたいけど……」


「けど?」と沙耶。


「ブタ君やシロちゃんとのお別れは寂しいよ」


 陽葵の目から涙がこぼれる。


「陽葵は動物が大好きだもんな」


「うん……」


 俺は陽葵の背中をさすった。

 彼女の悩む気持ちは理解できた。

 ブタ君やシロちゃんは、俺たちにとっても家族みたいなものだ。

 誰よりも動物好きの陽葵にとっては尚更だろう。


「でも、やっぱり、私も日本に帰りたい」


 最終的に、陽葵は脱出の方向で意志を固めた。

 女性陣の意見が出揃い、皆の視線が俺に集まる。


「俺も皆と同じだよ」


 前に凜と話した時から俺の心は決まっていた。

 日本に帰っても彼女らとは変わらぬ付き合いができる。

 それであれば、日本に戻りたいという気持ちが強い。


「満場一致だね」と凛。


「そのようだ」


 俺たちはイカダを作って脱出する方向で動き始めた。


 ◇


 昼の活動はイカダ作りだ。


「本当は今日の夜に皆の意思を確認する予定だったんだけど、朝の内から確認できたことだし、直ちに作っていくとしよう」


「「「おー!」」」


 俺たちの想定しているイカダは単純な代物だ。

 丸太を並べた底面に竹で作ったすのこを設置。

 あとは帆柱を突き刺し、帆を張ったら完成だ。


「皆は蔓を大量に入手して、それで紐を作ってくれ」


「「「了解!」」」


「残りは俺に任せておけ」


 二手に分かれて行動する。

 俺は単独で、残り全員が蔓の調達及び紐作りだ。


「良さそうな木だ。これにしよう」


 俺は丸太を調達するべく、適当な木を見繕っていた。

 ワンパンで根元をへし折ったあと、手刀を駆使して丸太に加工する。

 1本の木から2本の丸太を得ることができた。


「ふぅ」


 保管庫の隣に大量の丸太を運んだ。

 次は竹を加工してすのこを作っていく。

 この作業はとても簡単で、あっという間に終わった。


「あとは帆柱と帆か」


 帆柱は適当な木でいいだろう。

 問題は帆だ。


「理想的なのは布だが……」


 手元に布はない。

 カラムシの糸を大量に集めて布を作っていくべきか。

 いや、そんなことをする必要はない。


「まさかこんな形で使うことになるとはな……」


 俺は保管庫からある物を取り出した。


 ――革だ。

 前に倒したワニの皮を(なめ)した物。

 とりあえず大事に取っておいたこの革を帆にする。


「ふんっ!」


 サクッと手刀でカット。

 革を綺麗な二等辺三角形にした。


 この形の帆は「クラブクロウセイル」と呼ばれている。

 俺は勝手に「オセアニアンスタイル」と命名していた。

 なぜならオセアニアで昔から使われている形だからだ。


「あとはこの帆を帆柱とくっつけるだけか」


 まずは帆を帆桁(ほげた)に括り付ける。

 帆桁といっても、細長い竹を横向きにしただけだ。


 次に、帆桁を帆柱に固定する。

 保管庫に残っていた蔓の紐を使う。

 これで最低限の形になった。


「帆ってこれだけで問題ないのかな?」


 昔、ヨットの図鑑で帆の説明を見たことがある。

 その時はたしか、色々と細かいパーツがあったはず。

 だが、そんなことをいちいち覚えていなかった。


「ま、帆はオマケだし、なんでもいいか」


 帆による航海はそれほど期待していない。

 上手くいけばよし、ダメでも気にしない考えだ。

 メインはオールによる手漕ぎだ。


「そうだそうだ、オールを用意しないとな」


 適当な木材を調達し、それをカットしてオールにする。

 重すぎたら漕ぐのに苦労するから、可能な限り薄くしておいた。


「お待たせー!」


 沙耶たちが戻ってきた。

 誰もが大量の蔓を手に持っている。

 さらにブタ君の体が蔓によってぐるぐる巻きにされていた。


「さくっと()り合わせて紐にするから待ってろよー!」


 沙耶が元気よく蔓を紐にしていく。

 その間、俺はラフトの中で軽く休憩する。


「できたー!」


「お待たせ、刹那君!」


 沙耶と陽葵が起こしに来た。


「お疲れ様、あとは俺の仕事だ」


 皆が作った紐で丸太と竹のすのこを固定する。

 紐で一括りにしただけなのに、一気にイカダの形になった。


「帆柱を付けると保管に苦労するから、帆柱は明日だな」


 土台と帆柱は別々の状態で保管庫に入れる。

 こうして、俺たちはイカダをほぼ完成の状態まで仕上げた。

 現在の時刻は15時を過ぎたところだ。

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