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無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~  作者: 絢乃


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033 誕プレの準備

「食材はこんなものでいいかな?」


 ラフトに戻り、沙耶に籠の中を見せる。


「十分! これなら最高に美味しい素揚げが作れるよ!」


 凛や陽葵も籠の中を見て感嘆する。


「ヤングコーンなんてよく見つけられたね」と凛。


「トウモロコシ畑ともいうべき小さな草原を発見してな。ヤングコーンだけじゃなくて育ちきったトウモロコシもあったぞ」


「この島って何気に食材の宝庫だよね」


「だな」


「そうなの?」と陽葵が首を傾げる。


「こうもサクサクと食材やら竹やらが見つかることって滅多にないよ。俺たちがこうして快適に過ごせているのは島の環境がいいからだ」


 島の環境は本当に素晴らしい。

 様々な食材があり、昼夜の寒暖差が少ない。

 それでいて危険な害虫が皆無に等しいのも嬉しい。


「これであたしの依頼は終わりだね! ありがとー、刹那!」


 沙耶が満面の笑みを浮かべる。

 それに対して、俺は「いや」と言って右の人差し指を立たせた。


「実はあと1つ、素揚げに最適な食材が残っているんだ」


「なになに!?」


「それはあとのお楽しみだ」


「あたしにも秘密にするのかよー! 料理担当だぞ!」


「素揚げなら直前まで秘密でも問題ないしな」


「それもそっか!」


「で、その食材だけ遅れてもいいかな?」


「遅れるって?」


「先に俺の用事を済ませておきたいんだ。そのあとで調達するから遅れる」


「あー、そういうことね。問題ないよー! 晩ご飯に間に合えばね!」


「その点は大丈夫だ」


「ならオッケー!」


 食材の入った背負い籠を沙耶に渡し、新たな籠を背負う。


「それじゃ、またあとで」


 再び森へ向かう俺。

 皆の「いってらっしゃい」が、優しく背中を押してくれた。


 ◇


 川にやってきた。

 まずはナマズの状態を確認しておく。


「よしよし、問題ないな」


 ナマズはすっかり元気を失っていた。

 竹筒に詰められて身動きが取れないからだ。

 可哀想に思うが、美味しく食べるためなので仕方ない。


 川沿いに数十メートル移動する。

 毎晩、体を洗うのに利用している場所に到着した。


「この辺りでいいか」


 俺は土器を作り始めた。

 といっても、ただの土器ではない。

 かまどと一体化した巨大な釜だ。


 この釜は浴槽になる。

 五右衛門風呂のようなイメージだ。


「ずっとお風呂に入りたがっていたからな、きっと喜ぶぞ」


 俺から陽葵に贈る誕生日プレゼント。

 ――それが風呂だ。

 大量の粘土があるので、作るのに苦労しない。


「こんなところか」


 とりあえず形だけは完成した。

 腕時計に目を向ける。

 川に来てから1時間以上が経過していた。

 黙々と頑張り過ぎたようだ。


「あとはこれを火にかけてっと」


 ベチャベチャのかまどで焚き火を作る。

 焼き上げと同時にかまどの試運転だ。


「悪くないな」


 かまどの炎がすぐ上の釜に当たっている。

 これなら十分に浴槽として機能するだろう。


「もう少し火力を高めるか」


 浴槽はかなりの大きさだ。

 かまどの中で燃える炎だけだと明らかに火力不足。


 そこで、かまどの周囲にも焚き火をこしらえた。

 かまどの中のものも含めて、全部で5箇所から焼き上げていく。

 薪の組み方は瞬間火力に特化した井桁型。


「ちょっとした……いや、わりと立派な火事だな」


 炎は俺の背丈ほどの高さに達していた。

 浴槽がすっぽり飲み込まれている。

 強風が吹いたら森に引火しそうだ。

 ま、大丈夫だろう。たぶん。


「さて、この間に次の任務だ」


 沙耶に渡す最後の食材を調達しよう。

 川の水で手を洗い、周囲を見渡す。


「いた! いたいた!」


 あっさり発見した。


「お前を探していたんだ!」


 そう言って捕まえたのはサワガニだ。

 本ワサビ同様、綺麗な渓流に棲息する川のカニである。

 その大きさは指で摘まめるほどしかなく、見た目に反して動きは速い。


「それにしても、どうしてお前はこんなところにいるんだ?」


 捕まえたサワガニに話しかける。

 もちろん返事はないし、俺も期待していなかった。

 独り言だ。


 サワガニは日本の固有種と言われている。

 何故だかこの島にも棲息していた。それもたくさん。


「スズキもそうだが、まるで日本にいるみたいだ」


 ここが日本である可能性は考えられない。

 ラフトで海を漂っていた時間的に、どうやっても日本に着かないからだ。


 それに、日本らしくない生物だって生息している。

 例えば巨大なアリゲーター種なんかがそうだ。


 全くもって未知の島である。


「こんなものでいいか……いや、もう少し獲っておくか」


 サワガニは素揚げのメイン食材だ。

 甲羅ごと食べられるので、パリパリした食感が楽しめる。

 小さいながら風味が豊かで美味しい。

 日本の飲食店――主に居酒屋――でもメニューにあるほどだ。


「そろそろ戻るとしよう」


 十分にサワガニを集めたら帰還だ。

 と、その前に、浴槽の様子を確認しておく。


「大丈夫そうだな」


 盛大な炎が土器を包み込んでいる。

 薪を井桁型で組んだため、既に燃料が底を突きそうだ。


「あと少し燃えていてほしいから補充しておくか」


 背負い籠を置いて付近の木に向かう。

 サクッと伐採したら、カットして薪にする。

 それを5つの焚き火に追加投入したら完了だ。


「知ってるか? こんなところで盛大に焚き火をするなんて馬鹿げているし、ましてや火を消さずに離れるなんて馬鹿げているんだぜ」


 籠の中のサワガニたちに話しかける。

 大量のサワガニは俺の話に耳を傾けず、脱獄しようと必死だ。

 竹の編み目に両手の小さなハサミを通し、強引によじ登ろうとする。

 もちろん登り切れることはなく、少し登ってはポロリと落下した。


「元気のいい奴等だな、全く。こりゃ絶対に美味いぞ」


 サワガニの味を想像して舌なめずりをする。

 森が全焼しないことを祈りつつ、俺はラフトに戻った。


 ◇


「すっげー! カニじゃん! カニ!」


 サワガニを見せると、沙耶は今日一番の興奮を見せた。


「コイツがあれば間違いなく最高の素揚げになるだろ?」


「なるなる! 流石は刹那! よく分かってるよ! ありがとう!」


 よほど嬉しかったらしい。

 沙耶は抱きついてきた。

 泥にまみれた彼女の手が、俺の背中をギュッとする。

 今日の洗濯は大変そうだと思うものの、嫌な気はしなかった。

 むしろ彼女のDカップの胸が押し付けられて嬉しい。


「これで依頼は終了だな」


「うん! お疲れ様!」


 沙耶は土器作りを終えて調理に取りかかる。

 綿実油の入った土器のバケツを調理用の焚き火にかけた。


(さて、俺は何をしようかな)


 ベンチに座って時間を確認する。

 もうじき17時になろうかという頃だった。

 休憩するには長すぎるし、作業をするには短すぎる。


 この中途半端な時間に名前を付けるとしようか。

 または木を伐採して薪の備蓄を増やしておくか。

 そんなことを考えていると話しかけられた。


「刹那君、ちょっといい?」


 陽葵だ。


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