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終わりの少女と不幸な男  作者: 心根響
5/7

不思議な庭の家



ゆさっゆさっ


「ん……?」


何だ…?


ゆさっゆさっ


「んー……」


誰かに揺らされてる?


ゆさっゆさっ


誰だよ?

まだ眠…い。


「誰?……だ…」




綺麗な青い瞳がこっちを真っ直ぐ見てる。


「うわっ?!」


ビックリして即座に起きようとするが意思に反してそれが実行されることはなかった。

ってか、動けない!

歩夢が目を覚ましたらコトネがお腹の上にまるで馬やバイクに乗るように跨っていた。


「おはっ」


「お、おはよう」


さっきから揺らしていたのはコトネだったみたいだ。

起きたばかりで混乱した思考を落ち着かせると、まだお腹に乗っているコトネは一言呟く。


「お昼」


「えっ?」


「今、お昼ご飯の時間」


もう一度、えっ?と繰り返し。

この部屋では時計はないがもう昼の時間になるらしい、ということは12時だ。


「うわぁ、こんなに寝てたのか俺」


昨日の温かな食事で満腹になった後、眠気を訴えた体のままベットで横になってしまったが電源が落ちるようにそのまま寝てしまったらしい。

いつもだったら休みの日でも朝6時くらいに起きてしまう生活が普通だったのにやはり疲れが溜まっていたということなのだろう。


スッキリした思考と視界でまた一度コトネを見る。


「起きるから降りてくれるか?というか何故俺の上に?」


「ジョンを起こす時にミリーがこうやっていた」


それは新婚旅行の男女の話だったはずだ。

なるほど新婚でラブラブだと起こす時もスキンシップが過剰なんだな。

変な知識を身につけた気がするが念のためコトネには注意しておくことにした。


「独身の男に今度からこんな起こし方をしてはダメだよ?」



「?」


リィン、意味がわからないのか首を傾げるコトネ。その仕草に髪を結んでいる鈴の音が鳴る。



「お昼ご飯食べよ」



そして2日目が始まった。





「おおっ」


お昼ご飯は野菜炒めに味噌汁とご飯に漬物、食欲をそそる野菜炒めの調味料の匂いと味噌汁の温かな湯気の香りでお腹がク〜、と腹ぺこの合図を鳴らしてしまった。


「お腹ペコペコ」


にこりと笑って歩夢のお腹を指差すコトネに少し恥ずかしくお腹をさすりながら昨日と同じテーブルの席につく。


「飲み物、お茶、レモン水、烏龍茶、どれにする?」


コトネは席につかずに飲み物の種類を聞いてきた。

それに対して歩夢は烏龍茶と答える。


「取ってくる」


「あっ、俺にもキッチンの場所を教えてくれるか?しばらくこの家で生活するわけだし」


「いいよ、ついてきて」


ウッドデッキから家の中に戻り、最初にカタログなどを見せた部屋を通り過ぎて廊下も横切ると扉のない部屋に行き着いた。


「キッチン」


まるでレストランの厨房のように広いそこでは流しが2つに業務用で使うような冷蔵庫が2つ、皿やカップが納められている棚がずらりと並びその隣には米や砂糖、塩、他にも見たことがない調味料や保存のきく缶詰なども置いてあった。


「すごい…」


「こっち」


冷蔵庫の一つを開ける。

そこに飲み物が置いているらしい。


「開けたら閉める」


「それもサツキさんが教えてくれたの」


「うん」


まるで新人の見習いに教えるように自慢げに答えるコトネを微笑ましく見つめる。

それから烏龍茶を歩夢がコップ2つをコトネがそれぞれ運び、お昼ご飯を食べるのであった。




「ふぅ、ご馳走様。とても美味しかったよ」


「うん」


歩夢は先に食べ終わって昼ご飯の感想を述べた。

それに対してまだ食べている途中のコトネは言葉は少ないが美味しいと言われて嬉しいらしく、座っている椅子で足をぶらぶらさせて喜びを表現している。


しばらく烏龍茶を飲みながらコトネが食べ終わるのを待ち、一緒に食べ終えた食器を持って先程のキッチンへと向かう。


お盆があるので重ねて重くなった食器とコップはお盆を使って歩夢が、烏龍茶をコトネが運び汚れた皿は水につけてしばらく放置しておくらしい。


「フキンはあるかな?机を拭いておきたい」


「ここ」


棚の横にある収納スペースに未使用のフキンが置いてあった。歩夢はそれを水に浸ししっかり絞るとウッドデッキのテーブルを綺麗に拭いて使ったフキンは台所で軽く水につけて汚れを落とした。

普通だったらどこかに干すのだがわからなかったのでコトネに聞いてみる。


「フキンはどこで干せばいいのかな?」


「こっち」


キッチンの上のほうにある筒状の棒を引っ張りそこにフキンをかけて干しておくらしい。


「へぇ、こんなものもあるだな」


「うん」


コトネはここでもエッヘンと胸を張った。

やはり何かを誰かに教えたり褒められたりするのが好きなのかもしれない。歩夢はもっと褒めるために幼子にするようにコトネの頭を撫でる。


「よしよし、コトネは凄いな!」


「〜〜〜……?!!」


するとコトネは顔を真っ赤にして逃げるようにキッチンから出て行ってしまった。


「しまった、やり過ぎたか…?」








「コトネー」


玄関や2階の客間そしてご飯を食べたウッドデッキに出てコトネの名前を呼ぶ。


「いない、まだ恥ずかしいのか…」


ウッドデッキから見える花壇、そういえば玄関に入って最初に目についたのは様々な花を咲かせる庭だった。


「少し歩いてみるか?」


玄関に回り、靴を履いて外に出る。そして庭の方に周り色とりどりの花を見ながらゆっくりと散歩することにした。


「それにしても広いな」


庭は歩夢が思っているよりも広く、迷路のように右や左に折れ曲がった道を進んでいるとそれまでの花とは全く違うものを見つけた。


「これはひまわりだな」


小さな花とは違う大きな花びらを太陽の方に向けた向日葵が一輪、鉢植えに植えられたそこからツルが伸びてそのツルが綺麗な水色のジョウロに絡み付いている。


「それにしても立派な向日葵だ」


近づいてみてその大きさに驚いた。

歩夢の身長は176センチでそこそこ高いはずだがそれよりも30センチ以上は背が高い。そして向日葵の花の部分も大の男が掌を広げても包まないほど大きい。


「コトネが世話してるのか?」


そう思って周りを見てコトネを探してみるがあれから一度も出くわしていない。


「もっとあっちの方を探してみるか?」


まだ行っていないほうに体を向けて歩き出そうとした時、不意に肩を誰かな叩かれた気がした。


「えっ、コトネか…?」


しかし先ほどの向日葵以外誰もいない。

気のせいかと思い歩き出そうとしたら頭の上から水が降ってきた。


「うわっ、雨か?!えっ??!!」


一気に混乱した。

雨が降ってきたからではない。

服が濡れたからでもない。

上を見れば先ほど見た水色のジョウロがこちらに向かって傾けられているのだ。

当然、その中に水があればジョウロの先端から細かく空いた穴に分かれて水が出てくるのは当たり前。だが先ほど確かに地面に置かれていて向日葵のツルも絡まっていたはずだ。


なら何故?




向日葵の植木鉢から伸びたツルが動いてジョウロを動かしていたのである。





どんな庭がいいのか?

うちの実家は芝生でその先にある畑では今は育てていませんがレタスが植えられていました。


向日葵は隣のハウスの人が育てていたので何なく印象に残っています。


週一投稿、早めにできたらすぐあげます。


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