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あまのじゃく達は恋がしたい  作者: あらいぐま
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一話 あまのじゃく~boysサイド~

初投稿です。どうか温かい目で見て頂ければ幸いです。

 漫画やアニメのような恋愛に憧れた。物語の主人公とヒロインが幾つもの困難を乗り越えて、両想いとなって物語が終わる、そんな恋愛に。

 ただ、それと同時にこんなことは自分には無縁な世界だと思っていた。そう、あの日までは…。




 2018年、12月24日。東京の外れにあるT市にあるアパートの一室に暗い顔をした大学生の男二人が来襲していた。

「遂にこの日が来ちゃったね……」

 片方のややぽっちゃり気味で愛嬌のある顔な男がポツリと呟いた。

「あっという間だったな……」

 もう片方の背の高いややイケメン(僻み補正あり)が遠い目をしながら返事をする。

「ああ…、まあとりあえず上がれよ」




 部屋のリビングに上がった三人の目には、真ん中のこたつの上に置かれたプレート付きのケーキが映っていた。そのプレートには、

「祝‼ 独り身クリスマス会 in 宮城家」

 と書かれていた。

 三人の間にわずかな静寂が訪れたと思いきや、

「こんなところにいられるか! 僕は帰らせてもらうよ!」

「おい、逃げるなよ!お前もこちら側だろ!」

「離せ、離してくれ!後生の頼みだ。頼むよぅ…」

「自業自得だ、諦めるんだな。」

「宮っち、助けてくれ~!」

 とぽっちゃり男の木村雄大(きむら ゆうだい)(20)が逃げ出そうとするのを長身の柴田孝弘(しばた たかひろ)(22)が止める。

「木村も柴田も相変わらず仲がいいな。二人で付き合っちゃえば万事解決じゃない?」

「「ふざけんな‼」」

「冗談、冗談」

 と笑いながら流しつつ、そそくさとこたつに入る。それを見た二人も、からかわれたことに関しての不満を露わにしつつ、こたつに入り込む。

「ま、過ぎたことはどうにもならんし、ケーキでも食って元気出そうぜ(ムシャムシャ)」

「そうするしかないね…(ムシャムシャ)」

「俺はまだ諦めてないからよ、ちくしょう!(ムシャムシャ)」

 こうして和気あいあいと話しながら、(プレートを避けつつ)ケーキを食べ進めていった。




 事の発端は一年前の今日。同じサークルで彼女がいなかった三人は、来年の今日までに彼女を作るという目標を課し、できなかった者は「祝‼ 独り身クリスマス会」という名の罰ゲームに参加するという約束をしたのだった。

 結果は見ての通りの惨敗。木村は女子からかわいいかわいいと言われるものの異性として見られず、柴田は相手へのハードルが高く、告白はされるものの断ってきためである。そして俺はというと、

「宮っちはさ、女子に全然近づかないよね」

「うっ……」

「それそれ、女子の間でも宮城はあっち側なんじゃないかって噂されてたぞ」

「ぐはっ……」

「宮っちでもさすがに僕は無理だな~」

「こっちもお断りだよ!」

 勝手に噂されて、勝手に振られて、こっちの精神力はもうゼロになりそうだよ…と落ち込んでたら、スマホの通知を見た柴田が急に立ち上がった。


「お前ら明日は暇か?」

「ああ」

「暇だよ~」

「そんなかわいそうなお前らに俺からのクリスマスプレゼントだ!聞いて驚け!」

「「???」」

「明日18時に新宿で女子とのお食事会を開催することが決まった!明日三人で乗り込むぞ!」

「「!?!?」」

「絶対に来いよな。詳細は後でLineで送るから。んじゃ、俺は明日の用意があるからまたな!」

「「いや、ちょ待てっ」」

 バタンっと音がして部屋に静寂が訪れた。混乱で脳が正常に作動しない中、藁にも縋る思いで木村に話しかけた。

「なあ、木村。お前どうするんだ?さすがに急すぎるし、き、厳しいよな……?」

「いや、これはチャンスだかもしれないよ、宮っち。この時期でも来てくれて、しかもあの柴田がノリノリならもしかしたらもしかするかも」

「そ、そうか……?」

「きっとそうだよ!確かに急だけどこれは行くべきって僕の心が言ってるね」

「そ、そんなにか……」

「うん。ま、失敗しても被害はないし、あれだったら柴っちに全部おしつけるから。ということで、僕も準備のために早めに帰るね~」

「お、おう、気を付けて帰れよ」

 半分、混乱しながらそそくさと帰る木村を見送り、またこたつに入り込みながら思考にふける。




「(あいつら準備するとか言ってたけど、一体何の準備するんだ?服、話題作り、段取りの予習、あとは…、自己紹介とかか?一応俺も練習しておくか)」

 少し頭で考えつつ適当にスマホにメモしておく。

「えーと、T大S学部3年の宮城渉みやぎ わたるです。趣味は読書、特技は料理。名前は宮城ですが出身は埼玉なのでお気を付けください、って感じか?まあ、それと」

 自嘲気味に呟きながら、スマホのメモに「女性恐怖症」と書いて、すぐに消す。




 小学校のころの出来事以来、女性と話すと手汗や動悸が激しくなり短時間しか話せない体質になってしまった。おかげで年齢=彼女いない歴という始末。ただし、運がいいのか悪いのか、今までのコミュニティでばれたことはない。




 憧れていた漫画やアニメのような恋愛なんて、やっぱり自分には遠いなと自嘲しつつ、寝る準備を始めた。


マイペースに更新していきたいと思います。

もしこの世にこの作品を読んでくださる方がいましたら幸せです。

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