ца́пля
一月十二日、午前七時
浜地警備専門社付近にて……
「これより強制捜査を行う。それでは作戦通り始めろ!」
田宮は無線を使い、そう指示を出した。すると守谷班が建物の正面へと移動して行った
「大丈夫ですかね……」
そう言ったのは上条だった。けれどこの後どうなるかは誰にも分からなかった。なので秋好は「さぁな。しっかりと次に備えておけ」と言った
今回の強制捜査はこうだ。始めはいつも通り、インターホンを押して強制捜査の件を伝える。それですんなりと扉を開けてくれれば済む話だが、今回は激しい抵抗が予想された。なのでそうなった場合、昨日の作戦会議で伝えられた制圧作戦へと移行することになっていた
パンッ!
突然正面口から一発の銃声が聞こえた
「あ、あれは……」
佐田は正面口にいる守谷班を見るとそう言った
守谷班は銃声がすると全員が素早く死角へと飛び込んだ。けれど不幸にも守谷班の一人に弾丸が当たったらしく、道路に男性捜査官が倒れていた
「制圧開始!」
テロ対策1のメンバーがそんな状況をただ眺めていると、田宮が無線を使いながらそう言った。するとテロ対策1と一緒に待機していた田宮班と米原班は正面口へと向かって走っていった
「行きますよ!」
田宮はテロ対策1にそう言った。すると秋好も「行くぞ! 油断するなよ!」と言い、正面口へと向かって走っていった
「はは……」
杉谷や相澤、照屋、深見といった対策官歴が長い人達は秋好を追って正面口へと移動して行った。けれどその他の対策官歴の短い人達は覚悟が出来ておらず、走れずにいた
「無理だ。私には……」
佐田はそう言うと、力無く道路に座り込んだ。するとそれに続くように小田切も「同じく。俺には死ぬ覚悟なんてないよ」と言い、壁に寄りかかった
「しかし行かないと……」
そんな二人に上条はそう言った。けれど小田切は「行きたいなら上条も行ってきな」と他人事のように言った
「しかしそれでは……」
「そういう事だ。上条は励ましてるつもりなんだろうけど、お前もこっちの立場だ」
小田切は上条にそう言った。すると周りにいた田渕と速水も道路に座り込んだ
「一応秋好さんから参加しなくても良いと言われてるんですから、今回は甘えてもいいんじゃないですか?」
田渕がそう言った。するとそれに便乗するように速水も「そうですよ。秋好さんは死人が出ないようにそう言ってくれたんです。無理に参加して死んだら……」と言った
「上条、今回はパスしろ。俺や佐田さんもこうなんだから恥ずかしがることはない」
小田切は上条にそう言った。けれど上条にはまだ心の中に「作戦に参加しなくては……」という思いがあり、迷いがあった。するとそんな上条に佐田がこう言った
「私達は参加しない。これはもう決まってるの。だけど貴方はどうするの? 別に行こうが私はとめないし、むしろ尊敬するわ」
「……」
上条が突っ立ったまま悩んでいると小田切が「どっちだ! 早く答えろ!」と怒り混じりでそう聞いてきた。なのだ上条は「行きます!」と答え、正面口へと向かって走っていった
「いいんですか? これで……」
田渕が小田切にそう聞いた。なので小田切は「本人の意思だ。俺達にとめる権利はないよ」と言った
「ですが、あれで何かあったら……」
速水もそう言った。するとそれに対して佐田が「上条は日頃から相澤さんのサポートをしてたから、私達よりは大丈夫してなはずよ。それに何かあったら相澤さんが守ってくれるだろうし」と言った
「そういう事だ。俺達はここで作戦が終わるまで待ってよう」
小田切はそう言うと正面口を見た。そこには上条がおり、正面口から建物内へと突入しようとしていた
「全員無事だといいけど……」
佐田は浜地警備専門社を見ながらそう言った。すると突然、浜地警備専門社から爆発音が聞こえてきた。しかもそれは一回だけではなく、何回も……
「何ですか!? 今の音は!?」
一番最初に反応したのは田渕だった。するとそれに対して小田切も「爆弾? 手榴弾か?」と言った
「今のでも大丈夫なんですか?」
速水は三人にそう聞いた。しかし三人共ここで待機する事を選んだため建物内で何が起きているか分からなかった。なのでその質問には誰も答えず、ただ速水から顔を反らしていた……
田渕媛奈乃
一等ゾンビ対策官
武器……拳銃




