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アリサ  01  作者: 稔~Minoru
1/1

アリサ、エピソード 1

  プロローグ

 少年が、自転車で走っている。

坂道を下っている。前に交差点。信号は赤。

自動車が、バイクが、止まっている。

自転車は、ブレーキをかけて、速度をゆるめて行く。

もうすぐ交差点にさしかかる。

信号が、青に変わった。

自動車が、バイクの、エンジンが、鳴る。

その横を、自転車が走って行った。

バイクのおばちゃん、

「自転車の方が早いのね…。

「明日から、自転車にしょう。」

と、言った。


  その 2日後、

  おばちゃん。カゴにいっぱいの荷物をのせて、坂を

  押して上がっていく。

  バス亭のイスに座って、汗の出る体を休めている。

  手には、何本目かの、アイスクリームが、握られて

  いる。

  その横を、自転車が走って上がっていく。

 「高校生なのね、あの子。」

 「明日から、バイクにしょ。」

  


  第1章

 ママチャリに乗った、男の子。

 JRと、私鉄の乗り入れている、この街は、長い商店街をぬけると、海に出る。  

 JR線は、山の方にあり、砂浜まで3から4キロと言われている。.  

 私鉄は、約2キロ、デパートの中に、駅がある。トンネルの中に入るように作られている。

 商店街を、浜の方に歩いていく人びと。

 今日、海開きが行われている。

 その中、多くの自転車が、人の流れのあいだをぬうように走っていく。


 肉屋の前揚げたてのコロッケと、揚げイモを食べている、学生。

 今の時間は客がまばらだ。

 揚げ場のおばあさん。

 学生が、丸イスに座って、アツアツのコロッケを食べている。朝食がわりに。

 「ショー、今日はどうしたんだ?」

 口の中で踊る、コロッケ。肉屋の前の自動販売機で買った、お茶で流しこんだ、ショーと呼ばれた学生は。

 「期末テストが終わった後、友達のバースデーパーティー、するつもりなんだ。」

 「じゃあ、これはどうだい?」

 肉屋の店長が、ショーケースの中のステーキをさした。

 コロッケや肉を買いに来たお客さんが、見ている。

 「え? ステーキ2千円、」

 揚げイモを食べる、ショー。

 「金がないよ4枚、いるもの。」

 「その子、そんなに食べるのか?」

 店長が聞いた。

 「ちがう!4人集まるから!」


  次に、ショーに声をかけて人が。」

 「ショー君。どこに行くの?」

 無視しようとしたら、

 「いいのかなぁ?」

 女の人が笑って言った。

 「ショー君、どこに行くの?」

 副担任の、女教師。音楽担当の。

 「ショー‼」

 と、中から、男の人が出てきた。

 「父さん。友達のバースデープレゼント、探しているんだって!」

 「じゃあ、これがいい!」

 奥から、大きな箱を出した。

 アニメの宇宙戦艦。

 「いくら?」

 「3万円だ! ショーならローンOkだぞ。」

 「男の煮えたぎる、血とロマン!」

 「さらば~」

 店長が歌いはじめた。

 県のオーケストラで、オペラを歌う、店長。

 商店街の音楽は、かきけされた。

 歌い終わった後、多くの拍手が。

 「どうだ、ショー君?」

 「父さん! おし売りしすぎ‼」

 「高校生のお腹の具合、考えてよネ‼」

 言う、女教師。

 「それより、これ、いいと思うけど。」

 出したのが、新作の立体ジグソーパズル。

 「来月、誕生日なんだ。私の。」

 「先生、キモい。」

 声が聞こえた。

 同じクラスの女の子達。

 「恋人がいないからって、学生にねだるなんて。」

 「ネェ?」

 3人組が、自転車に乗って言う。

 「アンタ達、テスト、0点にするわょ!」

 女の先生が、大声で言った。

 笑いながら走り出す、女の子達。

 「いい人、見つけなさい!」

 手を振る、女教師。

 「先生。そんな事、できるの?」 

 「名前、書いてなかったらネ」

 舌を出した、女教師。


 ショーを捕まえた、男が。

 「ショー。よるか?」

 看板には、(地球防衛軍)と。

 友達のプレゼントをと、言うと、中から、カ○○ンの貯金箱を、出した。

 「これなら、どうだ?」

 「ぼくが欲しい!」

 硬貨を入れると、怪獣が鳴く、オモチャ。

 笑う店長。取り置きしてもらうことに。

 

 金曜日の昼食の時、学生食堂で。

 多くの学生が、ガッツイている。 

 休み時間に早弁していた学生や、電車の中で、超早弁の奴らもいる。

 500人を超える学生達の、食いざかりの胃ブクロを満たす、学生食堂。

 レジの横では、弁当や、おにぎり、菓子パンが、飛ぶように売れている。

 1時間の戦い。

 その中、ショーは中学からの仲間、吉田、田中、阿部、と、メシを喰ってい

 る。

 田中は、カツ定食。吉田は、ハンバーグ定食。阿部は、親子丼。

 ショーはカレーライスに、梅干しをのせている。

 ショーを見て、ため息をつ3人。

 「毎日、よくあきずに。」

 思う3人。1ヶ月は続いているだろうか?

 梅干しカレー。

 「辛さの中の、スッパさ! 

 「それが、美味い。」

 言う、ショー。

 口の中、どんなのだろうと、回りの学生達が見ている。

 阿部が言った。

 「今月、ぼくの誕生日なんだ。」

 「パーティー、するか?」

 田中が。

 「ファミレスで?」

 吉田が、言った。

 「どうだ?ショー?」

 「男だけで? パーティー?」

 「いいだろう。阿部の16、祝ってやろうぜ。」

 田中が。

 (高校生になって、なんで! ファミレスなんだ?) 

 思いながら、ショーは、聞いていた。 

 言わぬが、なんとやら。

 期末テストが終わった週の土曜に。

 「気持ちよ、気持ち」

 悪友2人は、決まっているみたいだ。

 (いつものか)

 ショーもクリスマスの時、もらった。

 吉田、田中の、アニキのDVD 。

 始めは、面白かったが、2回目、となると…。

 阿部にも、同じようなものを、あげるのだろうな、と、思う。

 

 彼女いない暦、16年。

 今年の夏こそは!!

 悪友と別れを!卒業を!!

 つい、立ち止まって、力を入れた。

 横を通る女性達が、

 「何、しているの?」

 「この姿で、ナンパするの?」

 笑われて、落ち込む、ショー。

 


  第2章

海水浴場の海岸通り。道路をはさんで、砂浜が。

人が混んでいる。

長い自動車の列が、続いている。駐車場は、満車の表示が。

浜辺の時計柱。時刻は、11時前。

水着のカップルや、浮き輪を持った子供達が、ママの手を握って歩いている。

レストラン、食堂が、オープンした。

海の家も、にぎやかなサンバミュージックを鳴らしている。

雑貨店。水着店。赤ん坊や子供のオモチャを、浮き輪を売っている店。

タトゥーシールも売っている。

タトゥーを入れる店も。

中を覗き込むと、シャツの中から出ている、刺青の人が、TVの、時代劇を見ている。

みんな、塾なんだろうな、と思って歩いていると、遠くに見馴れた顔が、二つ、歩いて来る。

ノッポと、フトッチョ。

ノッポが吉田で、フトッチョが、田中。ソフトクリームを食べながら、ナンパをしている、田中。断らているばかりだ。

少しずつ、近ずいて来る。

横道に入って、二人をやり過ごす、ショー。

「なにやっているんだ? ぼく」


みやげモノ屋、雑貨店と、見て回る、ショー。

「阿部に合いそうなものは?」

予算は2~3千円ぐらい。と、なると、なかなか見つけられない。

【インファント】雑貨店の横にレストランが。

水着を着た人びとが、列を作っている。スマホをいじる人、人。

黒板が、出ている。

『メニュー。おすすめ。パイナップルのピラフ。プレート。カレー。』

挨拶やメッセージの黒板。黒板アートも、飾ってある。

雑貨屋は、? クローズになっている。

ショウケースに、クマのぬいぐるみが、飾ってある。

『あいつにあうかな? まあ、ぼくの気持ちだから、これしょうか?』

思いつつ、クローズのドアのノブに手をおいた。

『エ?』 ドアが開いた。

中を覗きこむ?

ロック?、ディスコサウンド?、大音量で、ミュージックが流れている。

その中、女の子が、一人、踊ている。

水着を着て、鏡の前で。

フラッシュが輝く。

リモコンで、カメラを操作しているみたいだ。

『なに?これ?』

女の子は、パソコンを覗き込む。

「よし!これでいこう‼ 次、つぎ。」

女の子は、試着ルームに入って行った。

ビキニの水着で現れた彼女。

姿見を移動させて、三面鏡のようにすると、ミュージック、スタートさせて、ダンスをした。

フラッシュが、何回も光る。

カーテンを、引っ張って、感じが変わったところを、撮影している。

彼女、試着ルームに入った。

また、他の水着を着ている。

そしてカメラの前に、立つた。

見ていると、次から次に、着て、フラッシュを、撮影を、していく。

ショーに気がつかない。

試着ルームの前に立つたショー。

カーテンが開いた。

女の子は、ビキニと体のあいだに手を入れて出てきた。

女の子と、目が合った。

「あのう…」

「アンタ。誰?」

ショーは、女の子の手?を見ていた。

「⁉」

女の子は、ショーを突飛ばし、従業員口の中に。

「ま、まてよ!」

女の子を追いかけて、ドアの中に、入ったショー。

ドアの向こうは?

レストランだった。

テーブルが。ピアノが。置いてある。

満席だ。

「お願い!」

女の人が、手を上げた。

「エ!」

「誰?」

ショーが見わたすと、誰もいない。

「そこの君!注文お願い!」

ショーは、ぼくのことだと思い、胸からボールペンを出した。

男、2人と、女の人、二組のカップル。

上から見ると、谷間がゆれている。

鼻から、流れるものが…。

「うぶネェ」

ティッシュをくれた、お姉さん達。

男は、笑っている。

女の人が、メニューを見て言った。聞いたことない、名前が。

「○○カクテル、二つ。」

「それって、お酒ですか?」

ショーが開いた。

「え?」

男が、意外な顔を。

「パインピラフのプレート。4つ」

「プレート? って?」

4人が、ショーを見た。

「ハイ、プレートですね?」

もって行こうとする、ショー。

「ネェ。君。確認してヨ!」

「え! 確認ですか?」

「そう! 間違っていないか?」

「ハ、ハイ。」

注文を、復唱する、ショー。

女の人が、怒った。

「教育、なっていないネ!」

男達は、笑っている。

「これ、おねがいします」

ピラフを作っている、女の人。

「声、出して言って! 忙しいンだから」

「○○カクテル2つ。」

「パインピラフのプレート。4つ」

手が止まった、女の人。

「ええぇ!⁉」

BGMを止めた、女の人も。

「アンタ。誰?」

静かになった、店内。お客さんが、店の人が、ショーを見ている。

みんな、手が止まっている。

「注文ですが。」

伝票を取り上げた、女の人。

見ている。そして、

「アンタ、誰? なんで、注文、とっているの?」

「エ! あのテーブルの人が、注文を。」

指さす、ショー。

「どこのテーブル? 教えて?」

連れいく。女の人を。

注文を復唱する、女の人。

伝票をカウンターにもっていく女の人。

が、叫んだ。

「ママ!ピラフが!!」

おこげのピラフ。 ボールに入れた。

「デ! この男の子。どこから来たのです?」

別の店の女の人が、聞いた。

4人は、従業員口を指さした。

「え!なぜ、ドアから来たの?」

「となりの店が止まっていて。クローズになっていて。」

ショーが話をする。

女の人が外に出た。

そして、従業員口から入って来た。

「ママ。アリサ。クローズにしている。」

2階を見る、ママ。

別の女の人が、テーブルをたたいた。

4人は、飛び上がった。

「それで!」

聞く、女の人。

「アリサ。いたよネ。何していたの!」

「女の子。水着着て、自撮りしていて。」

また、2階を見る、ママ。

「声をかけたら、従業員口に入って、追っかけたら、お姉さまが、ご注文を。」

「聞いた。お姉さまですって!」

男達に言う、女の人2人。

「それで、この人達のオーダー、取ったの?」

うなずく、ショー。

「君、ここの人でないの?」

うなずく、スタッフのお姉さん達。

「ゴメンね。間違って。」

「おかしいと思ったよ。」

抱きしめられた、ショー。4つの山にはさまれた。座りこむ、ショー。

「うぶな子。」

「もしかしたら女の人、知らなかったりして。」

「ねぇ。」

うなずく、ショー。

苦虫を噛んだような口をする、男達。

「アリサ!」

2階に大声を出す、女の人。

「アリサ。降りておいで!」

窓に映るものが。お客さんの女の人が、悲鳴を上げた。

窓を開ける女の人。

「逃げたら、水着代、こずかいから引くよ!」

立ち止まって、笑う、女の子。

ママと呼ばれる女の人。

「ねぇ。あんた、昼、まだ?」

「朝もまだです。」

大声で話をする、ショーとママ。

「失敗作だけど、食べてくれる?」

というと、焦げたピラフを出してくれた。

「アリサ、あんたも食べな。」

「この分、こずかいから引くから」

「ええぇ?」

抵抗する、女の子。

「それとも、」

女の人が、アリサの頭をたたいて、

「水着代にしようか。」

首をおもいっきり、横にふる、女の子。

「お姉ちゃん。それ、ダメ!」

カウンターのすみで食べる2人。

「さっきはゴメンね。」

「またね。ボーヤ。」

レジにいく男達と、女の人達。

「ボーヤ。だって。」

笑う、女の子。


お客さんが引いた、14時頃。

ショーは、動かなかった。動けなかった。

ママと、女の人が人をテーブルに呼んだ。

日焼けした、お兄さん達が入って来た。

「アリサ。また、何をしたんだ?」

 「なにも。」

「みんな、知っているぞ。」

ママが、座った。

 「どういう事。」

女の人も、座った。

左腕に、イルカのタトゥーをしている。

「スマホで、売っていた。」

「ハー、どういう事?」

アリサが言った。

「お姉ちゃんも、していたもの。」

「アケミ!」

にらみつける、ママ。

笑ってごまかす、アケミ。

アリサが、少しずつ、小さくなっていく。

「で、あんた、何しにきたの?」

聞く、女の人。

「ショーケースのクマのぬいぐるみが欲しくて。」

 話をする、ショー。

「16で、ぬいぐるみ?」

ため息をたてる、女の人。

「まあ、いいんじゃない。」

ママが、言った。

「名前、聞いてなかったね。」

「ショー。鈴木ショー。です」

「どこの学校?」

「県立○○西高の1年。」

「エ!」

ママと、女の人と、アリサが。

「クラスは?」

「A組。」

「アリサと同じクラスだ。!」

ママが言った。

「え!」

「えぇ!」 

女の人が、ダスターで、顔をこすっている。

「やめてよ!お姉ちゃん。」

首を強引に、ショーの方に。

「アー! 見たことある。」

「アリサは?」

「いたかなぁ?」

倒れた、ショー。 

 


 第3章

月曜日。朝、学校の廊下でショーに抱きつく、吉田と田中、2人が。

「ショー! ぼく達、彼女出来た。」

クラスの女の子達が、笑っている。

「そう?」

スマホを見せる、2人。

「ごはん食べて、夕方の空を見て、メール、交換して…」

「電話? した?」

ショーが聞いた。

「してないけど…」

「タカられただけじゃないの?」

アリサが、3人の横を通りしなに話をした。

「え!」

「えぇ!」

席について、空を見ている、アリサ。

クラスの人は、誰も、アリサに話をしない。

「おはよう。」

ぐるりと回って席に着く、ショー。


昼休み、吉田、田中、阿部の3人が、ショーを誘った。

「メシ、行こうぜ」

梅干しを持って歩くショー。

「また、梅カレーですか?」

阿部が、呆れて聞いた。

アリサを見る、ショー。

ひとりで食べている、アリサ。

女の子達で、食べないのかな?

「うまいよ。梅カレー。」

ショーが、言った。

「ぼ、ぼく達の口には。ネェ。」

阿部が、吉田と、田中に、同情を求めた。アリサが、見ている。


次の日も、ひとりで食べる、アリサ。

休み時間は、寝ているか、外を見ている。

その次の日も、ひとりのアリサ。

勉強は、よくできるみたいだ。

先生の質問に答えられない、学生。

その質問をアリサに持っていく。

「なんで、私にふるのよ!」

と、顔にだしながら、答える、アリサ。

店の顔と、学校での態度の違いが、面白く見えた。

ママや、姉ちゃんとケンカする少女と、いつも、ひとりで、空を見ている女の子。

気になりだしたら、止められない性格のショー。

悪い癖が、ぐずぐず、ぐんぐんと、頭を上げてきた。

授業中も、アリサを見ていた。

後ろから先生が近ずいてきて、

「鈴木君は、海渡さんに興味あるんだ。」

笑う、クラスの人達。

アリサも、目をまるくして、笑っている。

次の日。

ショーは、阿部に席の交換を言った。

「誰と?」

「ぼくと、阿部」

「どうして?」

顔が、赤くなるのを感じた。

「ア!」

『鈍い男だ!』

「ゴメン。」

机のものを出して、席を移動する、阿部。

周りが見ている。

アリサの前に座る、ショー。

にらみつける、アリサ。

「なに?」

「なにもない‼」

言って、眠る、アリサ。

担任の女教師が、怒る。

「勝手に変わって。」

それを、副担任の女の先生、なだめてくれた。

「こんなの許すから……」

廊下に聞こえる担任の声。

休み時間、アリサがボールペンで、つついた。

「なんで、かわったのよ」

「海渡さんが、気になるから。」

黙って空を見る、アリサ。

「私に関わらない方がいいよ。」

空を見る、アリサ。

鳥が、飛んでいる。

「鳥って、イジメられる事、無いんだろうなー。ねぇ、どう思う? 鈴木君。」

窓を背に座った、ショー。

「お前、イジメられてンのか。」

笑う、アリサ。

「見たら解るでしよう」

「なんで、」

横の女子学生を見た、ショー。

「私。不良だから。」

「どこが?」

声を詰まらせた。アリサ。

ショーとアリサの話を聞いていたクラスの女の子達に聞いた。

「海渡って、不良?」

「え!」

答えてくれない、女の子達。いや、答えられない。

「なんで?どう思う?」

ひとりの女の子が、答えた。

「担任の先生が、言った。」

「そう、不良って。」

「そうか…」

みんなが、聞いている。

「なんで、言ったのだろう?」

「海渡、刺青、しているから」

男の学生が言った。


授業中、小テストが。その後、自己採点を。

そして、授業が、始まった。

アリサ。背中をつついてくる。テストが流れて来た。ショーも、テストをアリサに。

それを見ていた、教師は、

「海渡さん、次、読んで。」

ページがわからない、アリサ。

ショーが、指差した。

「テストの回答は、休み時間にね」

笑われた、アリサが、ショーに『ありがとう』と、口パクで。


「ショー君、行こうか?」

阿部が、昼休みに学生食堂にと誘った。

ショーは、梅干しをもっている。

「また、梅カレーですが❓」

阿部が、言った。

「飽きないですね。」

「カレーの中に入る梅干し。辛い中に、スッパサが、いいンだよ」

ショーが、そのよさを、説明している。

「でも、ぼくには、そのよさが、解りません。」

阿部が、言った。

「そのうち、わかってくるよ。」

ショーが話す。

今日は朝から元気がない、吉田と田中。

2人とも、深く沈んでいる。

「どうしたんだ? 吉田も? 田中も?」

ショーが開いた。

「昨日、電話したそうです。」

阿部が、話を始めた。

「誰に?」

「ナンパした、女性に。」

「そんで?」

「電話に出たのですが…」

阿部は、2人の顔を見ながら、話をする。

「男性でした。」

吉田と、田中の顔写真が、赤くなっていく。

「それで、アレ、していたみたいで」

「阿部!」

吉田と田中、2人の怒りが阿部に、むけられた。

クラスの男性、女の子は、黙ってしまっている。

アリサだけ、声を殺して笑っている。

アリサを見る、学生達。

ショーがアリサに、ゲンコツを。

「イタイ!」

「なんだよ。人の不幸、笑って。」

学生食堂で、田中は、A 定食を、吉田は、ハムかつ定食を、食べている。

阿部は牛丼定食を。

ショーは、カレーに、牛肉を乗せた、牛カレーを。梅干しは、忘れていない。

落ち込む、吉田と田中。

ショーが聞いた。

「そんなにいい人だった?」

話は、学校中の生徒に広まっている。

うなずく、2人。

「どんなところが?」

2人は、髪が背中にかかって、背が、高くて胸が、腰が、とで話をしている。

横で、阿部が聞いた。

「どんな話、したの?」

「学生だった?」

「働いている人?」

阿部の聞きたいことに、2人は言葉につまった。

「美しい人だったよ」

「それで、何食べたんだよ?」

「ええーと、BBバーガーに、…」

色々言う。吉田と田中。

「そんで、カネ、出してくれた?」

「え!」

ショーの問にとまった、2人。

「男が出すもんだろう」

「俺なら、出さないけどナ」

後ろのテーブルで、かつ丼定食を食べている、3年の先輩達が、笑いながら、話をした。

「私も。知らない人に、おごってもらうなんて。」

「そう、下心、丸見えなんだから。」

「そうよ。ただより怖いものなし」

「食事、おごってもらって、ホテルなんて。」

「高い買い物だもの。」

なにか、女の子達が話に入ってきて、笑いながら、言う。

「そうなんだ!」

吉田が言った。

「そんで、次の約束は?」

女の子達が、2人を見ている。下を向いて、『怒っている』吉田と、『落ち込む』田中。

「俺達が、教えようだか?」

言う、親切な先輩達。


食後のコーヒータイム。吉田が、口を切った。

「海渡って、評判、悪いぞ!?」

黙って聞いているショー。

「腕に刺青しているし。」

「見たのか?阿部。」

「うん。水泳の授業の時に。」

「どうだった?刺青、タトゥーは?」

「刺青、きれいだった。バラの花が。」

「泳ぎは?」

「エ!」

「速かった?」

「うん。」

「それに、」

「それに、住んでいるところが、悪いし。」

ショーが、田中を見た。

「海岸通りだろう!」

「レストランで、夜は、バーで…」

「なぁ、田中。聞いていいか?」

ショーが、田中と、吉田に言った。

周りの学生達が聞いている。

「何だよう…。」

吉田と田中が、ショーの言い方に、気がついた。

「さっき、海渡さんに笑われたから、言ってンのか?」

黙った2人。

「ぼくは、ショー君の為と思って。」

阿部が、言った。

「なぁ、田中、吉田。」

ショーが話をした。みんな、聞いている。

「海岸通りに家があって、レストラン。していて、何が、悪いンだ?」

「どこが、いけないンだ?」

「それは…。」

田中が。

吉田は。

「だって、そうだろう!」

「子供が、学生が、住むところじゃない。」

「塾にもいけないし、変な人も、多く来るしなぁ。そうだろう。」

と、みんなに同意を求める、吉田と田中。

「夏の海水浴で、この街、発展したんだろう。潤ってんだろう。」

「秋に、冬に、これだけの人々がきて、買い物を食事をしてくれるのか?」

ショーが聞いた。

田中と吉田を見て、

「この前、海岸通りで、ナンパした奴、誰だょ!」

静かな笑いが起こった。

「おまえら、アリサの事、知らないで、言うなよ!!」

「え!」

「アリサ? って誰?」

言う人も。

2人を睨むショー。その奥に、アリサが立っている。

「ゴメン。」

人垣をかき分けて、前に来る、アリサ。

「海渡…さん。」

女学生が。

「私の悪口を言っている人がいるって、聞いたものだから。」

「ゴメンなさい。私の為に。鈴木君。」

「行くぞ!アリサ。」

ショーはアリサの手をとって、走りだした。

「あの娘、アリサっていうンだ。」

ショーとアリサ。教室に戻った。

今の話が、伝染病のように広まっている。

「気にするな。」

「うん。」

立ち上がった、ショー。出て行った。

ひとりになった、アリサ。

周りからの視線がこわい。

『誰か助けて。』と思った時、ほっぺたに冷たいものが。

「キャ!」

缶コーヒーがおかれた。

「何?これ。」

「食後のコーヒー。」

「…ありがとう。」

ショー、一口飲んで

「気にするなヨ。」

「人は人。どう生きるかだろう!!」

「うん。」

「アリサのパパも、ママも、愛していたから、アリサが産まれたンだろう。」

「うん。」

「生まれた所で、言うなんて…」

「うん。」

「あいつらも、楽しんだのに。」

「うん。ありがとう。」

「飲めよ。」

「うん。」

コーヒーを飲む、アリサ。

「上手いか?ふたりで飲む、コーヒー。」

「うん。」

「でも、普通のコーヒーなんだ。」

「……」

「私。ミルクコーヒーのほうが、好き。」


次の週の月曜日。昼メシにと、阿部が、ショーに誘いを。

吉田と田中は、廊下で待っている。

「鈴木君。」

下を向いて、言う、アリサ。

このクラスには、鈴木が3人いる。

「ハイ?」

「何なの?」

赤くなって、大声で呼んだ、海渡アリサ。

ショーの方に歩いて行く。

「ショー君。行こう。」

阿部が、ショーの手を取った。

動かない、ショー。

「こ、これ、ママから。お弁当。ショー君の為に。」

下を向いて、顔をまっ赤にして、言う、アリサ。

「え!」

「うそ。」

「ママから⁉」

女の子達が、びっくりして、アリサを見ている。

アリサの顔が、トマトみたいに赤くなっている。

「ありがとう。アリサ。」

「一緒に食べようか。」

アリサの手を引いて机に戻る、ショー。

それを見ている。阿部、田中、吉田。

机をくっ付けるショーを見ている、アリサ。

静まりかえる、教室。

廊下も、ショーとアリサを、見ている。

「おい! ショー!」

手が止まった、アリサ。

「食堂は?」

田中が言った。

「今日は、教室で食べる。アリサの弁当。」

ショーが言った。

何も言えない、3人。

「食べよう。」

「ありがとう。」

見ている、吉田が、

「わかったよ。」

と出て行った。

続く田中。

ショーを見て、笑って、走って行く、阿部。

「いいの?私で?」

アリサが聞いた。

「男の友情より、女の愛情。ってね。」

周りから笑いが起こった。

「アホ!」

アリサが、言う。

カレーピラフのおにぎりに、ホーレン草をベーコンで、巻いたもの。玉子焼きと和風サラダ。

フォークをもつ手で、目をおさえる、アリサ。

「ありがとう。」

と、言う。

「でも、ひとつ、言っていい?」

アリサを見るショー。

「カレーに梅干し。合わないと思う。」


2日目、3日目と、アリサは毎日、弁当をもって来た。

アリサの弁当に興味がある、女の子達は、自然と集まってきた。

ショーとアリサの弁当を見て、スマホで、写真をとる学生達。

「アリサ。これ、全部、手づくり?」

「うん。」

笑う、アリサ。

今日は、ハンバーガー弁当。

パンに玉ねぎ。ソースは、食べる時に。

レタスとミニトマトのサラダ。

2人の食べる弁当を、女学生達は見ている。

そして、タメ息がてる。

彼女達の弁当は、半分、半分以上が、冷凍の惣菜。

「朝、忙しいのは解るけど。」

「本当! うらやましい。アリサが。」

ショーが、立とうとした。

止める、アリサ。

「いいのか。」

「うん。ショーが知っていてくれたら、それでいい。」

と言った、アリサ。

「美味しそう。」

「ねぇ、少しちょうだい。」

「これ、どうやって作ったの?」

アリサが作り方を言う。

しかし、女学生の手が止まった。

調味料の量を、言わない、アリサ。

「いつも、こんなものよね!」

と、舌で味加減をするアリサに、ついていけない、学生達。

毎日、アリサがショーに弁当を作ってくる。

うらやましい。ぼくにも、と。どうして知り会ったのか?

 聞いてくる、男ども。

でも、言わない。言えない。2人。そして、その時、ショーに抱きつく、かわいい、アリサが。



  第4章

日曜日。

朝、早くにレストラン“インファント”にショーが来た。

モーニングセットを、楽しむ、夫婦や、若い人達。

「マクドもいいけど、こんなところでモーニングもいいな。」

言う、カップルも、いる。

「おばさん。」

「来たのね。ショー君。」

「いつも、美味しい弁当、ありがとうございます。」

ショーは、頭を下げた。

「私、作ってないの。」

「アリサが、朝、早く起きて作っているのよ。」

アケミが2階を見る。

「この頃、元気なのはその為か。」

言う、アケミは、ショーのもっているケーキの箱を見ている。

ママは、

「ケーキ? じゃ、後で食べようね。」

言って、ケーキの箱が、冷蔵庫に消えた。

「アリサ! ショー君、来ているよ。」

2階から、ドタドタドタと聞こえる。

「ママ、変なこと、言わないでよ。」

階段から聞こえた。

アケミは、新しく来たお客さんに、モーニングセットを作っている。

アルバイトのお姉さんが、何人か入って来た。

「あら、この前の男の子だ。」

言う、お姉さんが。

「誰?」

エプロンを付けながら、話をする、お姉さん達。

「アリサの彼氏。」

「わたしの彼氏じゃ、ない。」

アリサが、階段から顔を出した。

ママが、カウンターにスープを置いた。

モーニングセットを2人に作ってくれた、アケミ。

「アリサ。あっちをしてね。」

冷ましながら、ゆっくりとスープを飲む、アリサ。

白いホットパンツに、Тシャツを着ている。

左の腕には、赤いバラのタトゥーが2輪咲いている。

「どうしたの?ショー。」

アリサが聞いた。

「綺麗だな、赤いバラのタトゥーが。」

「ありがとう。初めて、言ってもらった。」

アリサが赤くなりながら、言った。

「ショー、行こ!」

アリサはショーの手をとって、雑貨店の準備に入った。

従業員口は、手作りの看板に変わっていた。

「変えたんだ。」

「そう、私の手作りよ。スタッフルーム。」

アリサが笑って言った。

雑貨店の看板を、人形を出す、2人。

「オープンするね。」

アリサが、ひとりごとを言った。

ベルが鳴る。

「なにしたの。アリサ?」

アリサは笑って、

「魔法の言葉よ。」

言う。

誰もいない店内で、アリサは、掃除をしている。

薄暗い店が、明るくなって、音楽もなった。

「もう、お姉ちゃんったら、また、このCD にして。」

アリサは、コンボのCD を変えた。

「店の音楽、決まってないんだ。」

「うん、音楽で、照明も変えて、お客さんを楽しめるように、しているの。」

アリサが言った。

店内を見てまわる、ショー。

「え!」

軽くめまいが起こった。

「どうしたの?」

「モスラがいる。」

「ゴジラも ガメラも…」

「パパのコレクションなの。」

 アケミが入って

「そうなの。じゃまだから、捨てなさい、って、ママもうちも言っているのに、アリサ。反対するのよ。アリサは。」

「この店の名前も、なんとか言う、怪獣の名前なの。」

「ショー君、きみからも、言ってあげて。処分するように。」

「お姉ちゃん、パパの大事なコレクションよ。捨てるなんて、イヤ。」

「じゃまなの。アリサ!」

「ねぇ、アリサになんとか言ってよ。」

と、ショーを見た。

ショーは、1メートルぐらいのモスラで遊んでいる。

「なにか言った? アリサ?」

アケミは目を大きく開いて、まるで怪獣か? 化け物を、見ているみたいに、ショーを見た。

アリサは、目をうるうるさせている。

「マ、ママ! アリサが、2人になった。」

と、飛びだした。

アリサママが慌てて入って来た。

「ショー君、あなた、怪獣、好きなの?」

うなずく、ショー。

「ウソって言ってよ。」

落ち込む、アリサママ。

「ママ、大変よ。」

スタッフのお姉さんが呼びに来た。

モスラで遊んでいる、ショーとアリサを見て、

「う、ウソ。」

「増殖した?」

「アメーバじゃない。」

と、2人の攻撃を受ける、お姉さんだった。

「すごいでしょ。」

「すごいな!」

「私の基地。」

「え!」

「2階が、本部よ。後で見せてあげる‼」

「後は、頼むは。」

と、スタッフのお姉さんに言って、出て行くアケミママとアケミ。

「あの男の子が、怪獣オタクだなんて…」

お姉さんも、話に加わった。

お客さんが、入ってきた。

お客さんの相手をするアリサ。

お姉さんも、お客さんの相手をする。 

ぶらりと、入って来た、カップルのお客さん。

男性が、怪獣の話で盛り上がっている。

女の人は、座って、あくびをかみ殺している。

ショーが、レストランからアイスコーヒーをもってきた。

喜ぶ、女の人。


「なにが楽しいのかね?」

「でも、知らない世界を、見れて良かったでしょ。」

ショーが言った。

ショーが、動いた。

男性は、もっと話を。と思いながら、店を去る。

そのときに、アリサが、女の人に、プレゼントにと、いろいろ、薦めた。

男性は、いやがるが、女の人の目を見て、ショーの話で、買っていく。

「やり手ね!」

と、お姉さんが、褒めてくれた。

“インファント”のお客さんは、オタクも多い。

そんなお客さんの相手はアリサか、スタッフのオタクのお姉さんだった。

宅急便の荷物が届いた。

ショーがスタッフルームを通って倉庫に入れる。

アケミとママが、見ている。

昼のピークが過ぎた。

スタッフのお姉さん達が、レストランや雑貨店を見てくれている。

ママとアケミ、アリサ、ショーが、テーブルで遅い昼ご飯を、とっている。

「久しぶりだね3人いっしょって。」

アリサが喜んでいる。

ショーのもってきた、ケーキの詰め合わせを見て、にらみつける、アリサとアケミ。

ママから、1つだけ、と、言われて、抵抗の声を上げた、アケミとアリサ。

コーヒーを飲みながら、話を始める、アリサママ。

ケーキは、スタッフのお姉さんに移った。

「ねぇ、ショー君。夏休み、どうするの?」

「考えてないけど、夏期講習、行くつもりです。」

「そうか…。できたら、アルバイト、来てくれたら、嬉しいけど…」

「ママ!」

アリサが怒った。

「ハァ、でも、アリサさんは?」

「店の手伝い。今まで、塾にいった事、ないの。」

アリサママが言った。

「え!ウソ。」

アリサの顔を見る。

「な!なによ?」

アリサの顔は知らなくても、名前は知っている。

5月のテスト。6月のテスト。共に、壁に貼りたされていた。

「本当?」

ショーは、海渡って、ほかにいたかな?

「ねぇ。何か欲しい物ある?」

「マウンテンバイク。」

「バイクか?」

考えこむ、ママ。

そして、階段を上がっていく。

ショーは、雑貨店を見ている。

「あの、モスラ、可愛いね。」

アケミが、椅子から落ちそうになった。

スタッフのお姉さん方は、顔を、頭を抑えている。

「ねぇ、ショー。もって帰る?」

アリサが言った。

「金もってないよ。」

「ショーなら、あげる。」

アリサが言った。

ママが降りてきた。

「中古でよかったら、プレゼントするけど。」

「本当ですか?」

「ママ。甘やかしずぎ!」

アケミが怒った。

「ただし、修理、必要だよ。」

「ハイ。」

怒るアケミを見ながら、ショーに話をする、ママ。

「どう、バイト、プラス、マウンテンバイク。」

「アリサとのデートに、どう?」

顔が赤くなるのを感じた。ショー。

「決まっね。今日、手伝ってくれた分も考えているから。」

「もう、ママったら。」

アケミが言う。

「でも、履歴書もないし。」

「アケミ、履歴書、書いてもらいな。」

「ママ!!」

ママはカウンターに、アケミは2階に上がった。

「ショー、なにが好き。」

と、怪獣談義に咲く2人。

「これで、アリサの話、聞かなくて、良くなかったよ。」

ママがアケミに笑って言った。

「もう、仕方ないね。」

「アリサのあんな姿、久しぶりでしょ。」

ママに言われてうなずく、アケミ。 



   第5章

学校での昼休み。

ショーは、アリサの作った、何十回目の、弁当を食べている。

今日は手抜きするの?なのかな?と、思うぐらい、シンプルだ。

バクダンおにぎり、が机に並べてある200グラムのバクダンおにぎり。

アリサが言った。

「この中に、本当のバクダン、入れているよ。」

「え!」

10個以上のラップに巻いた、おかかや海、昆布などのおにぎり。

「一つだけ、バクダン入っているのよ。わさびの漬物。」

言った、アリサ。

「ウソ。」

何人かの女学生は、アリサの顔を見た。

男どもは、手を伸ばした。

ショーも一つとる。

アリサもおにぎりを取った

「楽しみね。ショー。」

「誰に当たるか。バクダン。」

笑って言う、アリサ。

アリサが、機嫌のいいところなので、ショーはアリサに、聞いた。

「なあ? なんで、アリサは、刺青、タトゥー。入れたんだ。」

誰も、アリサに聞いてはいけないところに、触れてはいけない所に、ショーが聞いた。

それは、みんなが、聞きたいと、知りたいと、思った事だった。

アリサは、少し恥ずかしがって話をした。

「私。マーク、欲しかったの。」

「マーク?」

教室にいるみんなが、聞いている。

「お姉ちゃん。しているでしょ。」

「うん。イルカ。ドルフィンの、しているよな」

「カッコよかった‼」

言う、アリサ。

「アリサも、マーク欲しくて。」

「だから、タトゥー入れようと思って。こずかいも、貯めて、家の手伝いもしていたの。」

「それで、高校に入って、お金、たまったから、バラのタトゥーを入れたの。」

「タトゥー、入れるのに、時間、かかって、終わって、バラのタトゥー、綺麗で美しくて、アリサの自慢のマークで、それで、だから、ママも、お姉ちゃんも、喜んでもらえると、ほめてもらえると、思ったのに…。」

ショーは、アリサの後ろで、口に箸を入れて、固まっている、クラスの女の子が、目に入ってきた。

「でも、見せたら、ママもお姉ちゃんも、ものすごく怒って!」

みんなが、アリサの話に、耳を立てている。

「だから、アリサ、家出して、おばあちゃん家に行ったの。」

「つまり?」

ショーが聞いた。

「ストライキよ! ストライキ。」

「おばあちゃん。ものすごく困って…。」

「ママ、迎えに来たので、ストライキ、止めて帰ったの。」

「すごい事だね。」

ショーは、ママやアケミ姉さんの気持ちを考えた。

「そう、大変だったのよ。」

「解ってくれるでしょう。ショー。」

「お姉ちゃんのときは、怒らなかったのに、アリサの時、ガミガミうるうる!」

「ねえ! ハラたつでしょ。ショー。」

「アケミ姉さん。いつ、タトゥーを?」

「え~ト、アリサが中2の時だから、お姉ちゃん。大学2年 20の時よ。」

言った。

アリサは、怒りをショーに聞いもらって、喜んでいる。

アリサ、小さい口を、大きく開けて、バクダンおにぎりを食べた。

口が、手が、止まった。

アリサの目から、涙が、たまっている。

「どうした?」

ショーが聞いた。

泣き出すアリサ。

「バクダン、食べた。わさび漬け…」




  第6章

七月の七夕の日。鈴木家では、久しぶりにみんなが集まって食事をしていた。

JRの駅前から、歩いて20~30分の、山の手にある鈴木家。

同じような家が並んでいる。

少し遅い夕食。

ショーの父親、洋平。母親、歌子。兄の、薫と、フィアンセの玲子さんが、話をしながら、TV を見ながら楽しんでいる。

唐揚げに枝豆。フルーツの入ったサラダなど、テーブルに置かれている。

玲子さんが、ショーに冷たいスープを入れてくれた。

テレビ、コマーシャルに入った。

親父が、リモコンをいじる。

「私、見ているんだから!」

おふくろが怒っている。

旅番組なか、女優が、気持ち良く、温泉に、入っている。

旅館の夕食が、おいしい。女優のレポートが、よけい美味しく見えた。

「行きたいなぁ。」

おふくろが、親父を見た。

「俺はダメだよ。今の、急ぐから。」

次に、薫と玲子さんを見た。

「ダメ!仕事だし、玲子は卒論で忙しいし、」

ショーを見た、おふくろ。

「行って来たら!」

あっさりと言うショー。

「え!ひとりで?」

「ショーも行くでしょ。」

「ひとりで? 楽しくない!」

「塾、あるから、ダメ。」

おふくろが、甘えてくる。

「ねぇ。ショーの学力なら休んでも…」

なにかあると、末息子を、おもちゃにする、母親。

「ねぇ、行こう。ショー。」

親父も、カオルもレイコも、呆れて見ている。

そし数分の攻防戦の後、おふくろが負けた。

「やっぱり。」

あきれて行った、レイコさん。

カオルのそばで、何回も見ている、戦い。

カオルと、八つ離れている、ショー。ショーから離れられない、母親であった。

カオルの親も、レイコさんの親も、結婚を前提に、認めあった付き合いである。

ショーは時計を見た、20時すぎている。

“店、終わったところだな。”ショーは、思った。

少しして、スマホが鳴った。

アリサからメールが、『問題が、解けない!』と、

ショーは、テーブルから、ソファーに動いて問題を解いていく。

何回もの、メールのやり取りを。

「まったく。あいつは。」

親父が、怒った。

「夕食ぐらい、みんなで食べられないのか?」

親父の話に笑う、カオルとレイコ。

「この頃、多いわね。メールのやり取り。」

おふくろが言った。

アリサから、

『解った。サンクス ブレンズ。』

メールが、来た。

テーブルに戻るショーに、またメールが。

ビキニ姿のアリサが、モスラと、写っている。苦笑いのショー。

おふくろが、

「なにをしていたの?」

と、聞いてきた。

メールを見せて、

「送られた、問題。」

親父も、カオルも、覗きこんた。

「食事の中、あまりつかうな。」

親父が言った。

たまの、家族だんらん。スマホでメールで、つぶされたくない。

親父は、親父風を吹かしたいのだよ。

「でも、いま、ネット塾あるの、知っている?親父。」

カオルが言った。

「いや?なんだ、それ?」

「インターネットを使った塾でさ、家にいても、いつでも、学べるのよ。」

「ね。!ショー君。」

「えっ!ぼくにふるの?レイコ姉さん。」

「姉さんだって!かわいい。」

カオルが、にらんでいる。

「ショー君、高校だから、私たちより、知っているでしょ。」

レイコさんが言った。

そして、レイコさん、カオルに抱きついて、言った。

「もしかして、弟くんに、やきもち。カオル。かわいい。」

親父とおふくろの前で。

タメ息がでる、親父とおふくろ。


レイコさんの両親も、人前で抱きあっていたなと、ショーは、思った。

レイコさん。3人兄妹の、3番目に生まれたそうである。

レイコさんの両親に会ったとき、夕食の時も、抱きあっていた。

「毎日しているのよ。」

レイコさんのお姉さんが、言っていた。


「おふくろ。」

ショーが話を。

「覚えている? 昔、ライフセーバーの人で、なくなった人のこと。」

「なんだ?その、ライフなんとか?」

親父が、聞いた。

「それって10年ぐらい前の話よね。」

おふくろが、答てくれた。

「確か、お子さんと、お父さんは、助かったけれど、セーバーの人、亡くなったって。」

「どうして、そんな事、聞くの?」

レイコさんが、聞いた。

「確か、ショーと同い年の子供がいたのよ‼」

「それで覚えているのかでるのか…」

親父が、おふくろに。

「どうして、そんな事を?」

「学校。同じなんだ。」

兄貴が、タブレットをまわしてくれた。

「載っているぞ。」

ショーが見た。

「海渡誠二。さんか。」

「元気かな?」

ショーは、おふくろの顔を見た。

「その人の奥さんと、学校、同じだったんだ。」

おふくろが言った。

「でも、海渡さんと一緒になって。」

「今、どうしているのかな?」

おふくろが言った。 

  



    

   第7章

学期末テストが終わった。

今日は、各学年の、上位50名の名前が、廊下に張りだされた。

アリサが見ている。

隣の女学生が、驚いている。

アリサの顔がまっ赤になっていく。

ショー、見ている。

「ウソだろう。」

ショーの顔から、血が無くなっていく。

「負けた。」

座りこんだ、アリサ。

「どうしたのよ‼」

涙が出てくるアリサ。

みんなはアリサを 見ている。

アリサは、ショーを、ショーだけを見ている。

「ショーに負けた!」

もっている消しゴムを、ショーに投げつけた。

「えっ?」

「えぇ?」

先生も学生も、ビックリした。

「ショーなんか、キライ。」

アリサが、ショーをにらみつけた。

まるで、子供が、だだをこねるように。

「な、なんだよ。」

アリサとショーのケンカ?を見ている学生が、先生に

「次、どうなんの?」

と聞いた。

先生は、先輩に、

「さぁ?どうしますか?先生。」

と2人の、仲裁役を、降ってしまった。

「知らない‼ こんな事で、ケンカするなんて!」

「初めてだな。こんな事で、ケンカなんて。」

と、笑っている、先生も。

「はぁ!」

タメ息をつく先生。

「先生も大変ですね?」

「きみ達に言われるほうが、ショックだ!」

昼休み、アリサとショーは、机をくっ付けて、アリサの作った、弁当を開けている。

「ハイ、ショー。」

弁当を渡すアリサ。

その後、口を聞かない、アリサとショー。

アリサの弁当を頼りにしている、女の子達は、雰囲気が違うので、小さくなっている。

弁当のおかずを味見?しょうと、手を伸ばしたりしたら、にらみつける、アリサ。

「ショー、全部食べてね。残さないでよ!」

教室の雰囲気は、悪くなっていく。

別のグループの女の子が、

「まるで、うちのパパとママのケンカを見ているみたい。」

と、言った。

アリサとショーが、言った子のグループにを見た。

女の子は、すぐに、寝たふりをした。

回りの女の子達に、槍のような視線が、注がれた。

「ア~、ダメ。」

「私、逃げる。」

「どこに?」

聞く、女の子が。

「職員室。」

職員室は、学生のシェルターに変わっていた。

「なんなの、この学生の数は?」

女子学生のひとりが、言った。

教室にいるのが、恐い、と。

「アリサのオーラ。いつもより、すごいんです。」

「でも、いつも、話しているでしょ。」

と、ひとりの教師が聞いた。

「それは、鈴木君が、アリサといるからです。」

驚いいた、教師達。

「そうね。」

「アリサがショーと一緒にいるだけで、変わったは。」

「先生!」

学生達は、言った。

「でも、私達も、アリサには、苦手なの。」

言う、教師達。

「はー、しょうがないな。」

タメ息をつきながら、立ち上がった教師が。

「私が2人にめんどうを見ます。」

言った。

「あの子達の扱いなれてますから。」

言う、副担任の音楽教師。

「ちょうど、音楽の授業もないし。」

「でも、できるのですか?」

と、教頭先生が、聞いた。

「ハイ、あの子達、いつも、店に来てますから。」

「店?」

「パパのプラモデル屋で、遊んでいるから。」

「あの子達の、ワガママに、見ているので。」

笑って言うと、出て行った。 


数日後、音楽の先生は、レストラン【インファント】でモーニングコーヒーを楽しんでいた。

カウンターに座って、アリサママと話をしている。

「本当?アリサ、ショー君とケンカしたの?」

ママが言った。

「ウソ? ケンカ? アリサ。何も言わないから。」

「なんで?」

「言わないの?」

先生が言った。

ショーが現れた。

「アリサ。ショー君来たよ!」

返事がない。

アケミ姉さんが、ショーの肩に手を置いた。

「ねぇ?ショー君。アリサとケンカしたの?」

先生が、下を向いて、笑っている。

「えっ!」

ショーの回りには、バイトのお姉さん達が、笑っている。

「なにがあったのかな?」

じわりじわりと、追い詰められる、ショー。

背中が壁にあたった。

ママも、笑いながら見ている。

「なにがあったのかな?」

アケミと、お姉さん達に追い詰められて、逃げ場がなくなった、ショー。

先生に助けをと、見たけど、笑っている。

「じつは、テストの点で、ケ、ケンカに」

「えっ?」

「と言うより、ひとりで落ち込んで、」

「あの子が?」

ママが、2階を見た。

階段には、アリサがいない。

「なに、それ?」

アケミが言う。

うなづくスタッフの姉さん達。

「我が娘ながら、扱いにくい!」

ママが。

「調教、しっかりしておくべきだった。」

アケミが笑って言った。

お客さん、目をむいて、アケミ達を見ている。

「こんな事で、ケンカするんだ!」

ママが、ショーを呼んだ。

「私も、テストの点で、ケンカしたい!」

お客さんが言った。

「ショー君。これなんだか知っている?」

「いいえ。」

「アリサを、呼ぶのに使うの。」

「アリサ!ショー君、来たよ。」

「これは?」

「伝声菅よ。」

「パパのおじいちゃんが海軍の工場で、働いていて、」

「この辺も、戦争で、家、なくなったの。」

言う、ママ。

「敗戦の時、船の鉄骨を、退職金代わりに、黙って、もって帰って、この辺の家を建てたの。」

ママが笑って言った。

バイトの姉さんも先生も、お客さんも、呆れて聞いていた。

「この伝声菅も、ひいじいちゃんの、お遊びなんだ。」

アケミが言った。

ママとアケミの話を聞いている、ショー。

アリサが降りて来ない。返事がない。

「アリサ、降りておいで。」

「ショー君、アリサの顔、見に来たのだから。」

無言だ。

「もう、この子は!」

アケミ達は、モーニングセットを作りながら、楽しんでいる。

「アリサ!降りておいで!」

「ショー君、待たせるの?」

伝声菅が唸った。

「うるさい!」

「ねぇ!おもしろいでしょう。」

と、伝声菅の前で、アリサに聞こえるように話をする、ママ。

先生も、知っているみたいで、コロコロ、笑っている。

「アリサ!早く降りておいで!」

「い、や!」

ショーが落ち込んだ。

「ぼく、帰ります。」

「ち、ちょっと待って!」

アケミ姉さんが止めた。

「仕方ないももうひとついくか!」

と、赤いロープを、ほどいた。

「この紐引っ張って。」

チリンチリン。

2階から聞こえてくる。

「懐かしい。アリサを起こすのに鳴らしたのよ!」

アケミが言った。

「あら、私もよ。アケミが、いつまでも降りて来ないから。」

「なんかすごいですね!」

驚いたショー。

お客さんのモーニングセットを作りながら、階段を見るアケミ。

「降りて来ないね!」

「ショー君、もう1回、行こうか?」

紐を引っ張る。ベルが鳴った。

「その調子で、引っ張って。」

お姉さん達が、笑っている。

「私がやりたい。」

と、先生が紐をとった。

何回も、鳴らす、先生。

ベルが鳴り響く。

「もうすぐかな?」

笑いながら、言った、お姉さん達。

チリンチリン、チリリン。

「うるさい!」

階段から降りて来て言った、アリサ。

「ア!」

「な、なによ。ショー。」

「降りて来た。」

笑いだす、ママとお姉さん達。

仕事が、出来なくなっている。

「なにかあったの。」

「おばあちゃん。」

アケミが、外に連れ出した。

「ショー君。朝、まだでしょ。」

ママが言った。

「アリサも、顔、洗ってらっしゃい。」

言った、ママ。

「なに、考えているの。ママ。」

お姉さんが、聞いた。

「なにも。アリサの顔、見に来てくれたのだから。」

ママは、ビックビックバーガーを、2つ作った。

ママとアケミが、雑貨店のほうにもって行った。

ビールジョッキをアリサに渡した。

ショーにはコップと水を。

「むこうの店で食べなさい。」

「仲良くなるまで、来なくていいから。」

ママが言った。

2人が、雑貨店に行ったのを見て、お姉さんが聞いた。

「いいのですか?」

「いいのよ。知りたいでしょう。ケンカの理由。」

先生も、うなずいた。

「ハイ‼」

元気な声がかえって来た

。BGM を切ったお姉さん。

伝声菅に、マイクをおく。

SDカードを入れたアケミ。

「アリサが怒っても知らないよ!」

おばあちゃんが、ママに言った。

「なにしに来たのよ!」

スピーカーに流れる。

ショー、ビックビックバーガーをもって、口を大きく開けた。

「ショー!」

アリサは、フォークとナイフを持ってバーガーを食べ始めた。

「マクドのビックバーガーの2倍あるの。」

ショーもフォークとナイフで切って食べた。

「これ、セーバーの兄ちゃん達の昼にパパが考えたの。」

アリサが食べながら、言った。

「美味しいな。」

「大人の男の人、1つで満足できるンだって。」

ジョッキのジュースを飲みながら、言った。

「アリサには、多いな。」

「もったいないから、残ったら、ショー、食べて。」

「あぁ、いいよ。」

伝声菅から聞こえてくる。

「へー、もう、そんな仲なんだ。」

うなずいている。お姉さん達。

「で、なにしに来たのよ!」

レストランのみんな!耳を傾けた。

「いよいよ、本題ね!」

先生が言った。

「で、どうなの?」

「心配になって!」

「な、なにが心配なのよ!」

「泣いていたから。」

「だ、だって、私より、いい点なのに。」

「だから!なんだ。」

「ぼくは、アリサのこと、すごいと思っているんだぞ。」

モーニングセットを作りながら、耳をかたむけている。ママとお姉さん達。

「どうして?」

「アリサ、塾も行かずに、あの点だろう。」

「アリサは、家の事情で、いかないの!」

「ショーこそ、塾に行っているのに!」

「なにが、気に入らないのよ!」

「言うな!アリサ!」

「アリサは、家の手伝いを、レストランで働いていて、ぼくの点に、手が届いたんだ。」

レストランのお客さんは、2人の話を楽しんでいる。

「なのに、ぼくは、塾にいかせてもらって。」

ママは、満席になったので、レストランを閉めてしまった。

「仕方ないでしょう! アリサは、パパとママと、ここで住んでいるのだから。」

「だから、悔しいんだ。ぼくは楽して。」

「アリサがいけないの?」

「ねぇ、アケミ?」

ママが聞いた。

「これって、ケンカ?」

先生が言う。

「本人は、ケンカよねぇ。」

「と、言うより、良いところ、誉め合っているみたいだけど。」

ビキニ姿のお姉さん3人は、

「頭がいいと、こんなケンカするのね。」

「私も学生の時、こんなケンカしたかったな。」

見ながら、ママが言った。

「頭が痛い!」

「我が娘ながら。」

2人のケンカは、激しくなっている。

「どうするの?これ?」

先生がママに聞いてしまった。

「これ以上、燃やさないで。」

おばあちゃんが、言った。

「あの時みたいに。」

「こんどは大丈夫よ、ショー君がいるから。」

「うるるるる!」

唸り声が、響いた。

『アリサ、どうするのかな?」

アケミが言う。

「バーガー喰ったら帰ってよ。」

「わかった!!」

「マ、ママ!」

スタッフルームのドアが音を立てて開いた。

「ママ!聞いていたのね!!!」

笑いながら、うなづく、ママ。

お客さんも、スタッフのお姉さん達も笑いをこらえている。

「バ!バカ!!」

店のドアに体当たりした、アリサ。

倒れてしまった。

「なんで?」

言いながら、ドアを開けて、外に走った、アリサ。

見ている、ショーに、

「早く、追いかけて!」

スタッフのお姉さんが。

「アリサを、泣かせるの?」

アリサを追っかけて走るショー。

「どうするの。ママ!」

「どうなるかな?」

笑う、ママ。

「アリサ? どこに?」

「どいて! いかせて!」

アリサの声が。

人で動きが悪いなか、アリサはマウンテンバイクに乗って出てきた。

「どいて!」

人で走れない。

無理やり、車道に進めた、アリサ。

渋滞の自動車の間に入ったマウンテンバイク。

ショーがハンドルを抑えて止めた。

「どいて!」

「イヤだ!」

「離して!」

「ダメ!」

「いかせて!」

『イヤだ!」

バランスを崩したバイク。

アリサは、倒れた。

座りこむ、アリサとショー。

自動車から

「どけ!」

「うるさい!」

「うるさい!」

言う、アリサとショー。

マウンテンバイクが、何台か、走ってきた。

まっ黒に日焼けした、お兄さん、お姉さんが、5人、6人、7人と、集まってきた。

みんな、筋肉をピクピクと、動かしている。

大泣きする、アリサ。

アリサのバイクを雑貨屋に入れた、筋肉漢達。

人が集まって、自動車が動けなくなった。

「なに、しているんじゃ。」

老人が聞いた。

「ケンカだよ。じいちゃん。」

アケミが、白いカッターを着て、タトゥーをかくして、見ている。

「よくある、男と女のね。」

「ふーん。」

「で、どっちが勝った?」

「まだ、続いているんだ。」

言う、兄さん達、姉さん達。

「どっちが勝つのかね。」

「男の子でしょう。」

ビキニ姿のお姉さんが言った。

「イヤ、女の方だろう。」

言う、歩いている人が言う。

日焼けした、カッターをきた女の人が、

「引き分けに、」

1万円を上げた。

「仕方ないな!ここに入れな。」

と、じいちゃんのかぶつていた麦ワラ帽子を出した次々と札が入ってくる。

「どうにかしな!」

カッターを腰に巻いた、アケミが、ショーの頭を叩いた。

「ど、どうにかって!」

泣き続ける、アリサ。

「ショー、こうするのさ。」

セーバーの兄さんが、アケミを肩に担いだ。

「やめてよ! やめろ!!」

アケミは尻を撫でられ、叩かれた。

「ギャー!」

「わかったか!ショー!」

「よくもみんなの前で!!!」

ショーに教えたセーバーの兄さん。

まだアケミの尻を撫でている。

うなづく、ショーは、アリサを担いだ。

「やめてよ!みんな見ている!」

「もう、ショーったら。」

ベンチに座らせた。

まっ赤な顔をして、床に座り込んだ。

「ショー? どうしたの?」

アリサの顔を見て、

「重い。」

「重い?」

「アリサ、50ないのよ。」

「ショーに重いって言われた!!!」

泣き出した。アリサ。

セーバーの兄さん達は、

「もっと、鍛え上げンと、アカン!」

ショーが見た。

「俺たちの妹を、泣かすようじゃ。」

「な! ショー!!」

アケミは、お玉をもって、セーバーの兄さんを追いかけ回した。

多くの人の前で、担がれ、尻を撫で回わされ、叩かれた、アケミ。

「悪かった!」

お玉でセーバーの兄さんを叩いく、アケミ。

「俺が悪い! ゴメン!」

兄さん。逃げ回っている。

「ゆるして。アケミ様。」

逃げられなくなった、セーバーの兄さん。

「さあ、どう料理しようかな!!」

肩を大きくゆらしながら、言う、アケミ。

「あっちは、どうします。ボス。」

「知らん!アケミを起こらせた、あいつが悪い。」

「いた! イタイ! 痛い! いたい!」

お玉を降りおろす、アケミ。

「許して、アケミ様。」

お玉で、腕を、股を、足を、連打する、アケミ。

「ゴメンなさい! ゆるして! アケミ様。」

じいちゃんが麦ワラ帽子をかかえて、【インファント】に消えた。

「ママ、店、どうする?」

スタッフのお姉さんが、言った。

「忘れていた。」

アケミの腕を引っ張って、店に入った、お姉さん達。

「あとで見るから。」

カメラを回している、兄さん達に言った、ママ。

泣きやまないアリサを見て、お姉さんが、ショーに言った。

ビンのコーラを持ってきた、ショー。

「ありがとう。」

と、一口、飲んだ、アリサ。

「でも、アリサ、ファンタのほうが好き。」

「そう…なんだ。」

ベンチに座って話する、アリサとショー。

「パパの事、思いだすは。」

お姉さん達が、

「本当?」

お姉さんの方を見て、

「私、食ちゃおかな?」

「止めてよ!高校生のパパなんて!」

アケミが言った。

「それより、満席。」

「ピークよ。早く!」

アケミがママの手をとって店の中に。

残された、人達。

「どっちが勝ったの?」

「引き分け?」

「おじいちゃんは?」

「帽子は?」

探す男ども。

「なにするのよ!」

顔にモミジを作る若者が、いく人も、現れた。

3階の物置き。

窓から見ている、アケミが。

「おじいちゃん。」

麦ワラの中を調べている、じいちゃん。

「な、なんじゃ。」

「おばあちゃんに、ナイショね。」

にらみつける、じいちゃん。

「なにが、ほしいんじゃ。」

「今度、モールに行こ。」

孫に見られて、金を数える、老人だった。

30年間、飲食店に勤めた、自分が、見て、聞いて、感じた事を、『アリサ』に書いて見ました。初めての、小説の投稿です。『アリサ』何年も、原稿に書いた小説で、寝かせていました。『アリサ』原稿用紙に、1000枚近い枚数です。第2段以降、続きます。よかったら、感想を聞かせてください。

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