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「チャーリー博士!実験の準備が全て整いました」
『...うむ、デュラム君ご苦労だった』
「博士、いよいよですね!ボク、さっきから手が震えて止まりません」
目の前にいる端正な顔立ちの青年が、私の目を見て満面の笑みを浮かべている
『この研究結果を発表すれば、世界がひっくり返るじゃろうな』
「ひっくりカエルでしょうね!ゲロゲ~ロ!!ってww蛙だけにww」
『デュラム君...つまらない上にわしは知性のないジョークが嫌いじゃ...』
「す、すみませんでした博士...」
私の名前はチャーリー、世界的に最も名高い科学者だ
そして私と話している青年は助手のデュラム君だ
人類に多大な影響を与えた数多くの功績から
人は私のことを『ワンダフル・チャーリー』の二つ名で呼ぶ
今日は私の研究人生の中で間違いなく最高の日
後世まで名を轟かせるであろう実験の成果が結実する日である
私も平静を装ってはいるが、先ほどから目元が潤んできて仕方がない
ここ日本に極秘に研究所が開設されたのが3年前...
我が国の古代遺跡から未知の物質が発見され、その解析を依頼されたのが始まりであった
石板に刻まれた文字は損傷が激しく解読は難航を極めたが
研究が進むとともに、その物質がもたらす前代未聞の効果は科学界に留まらず
政治経済、果ては宗教哲学にまで波紋をもたらした
その効果とは
「チャーリー博士!博士のおかげでこの世はさらに良くなります
戦争も、飢えも、病気もない、素晴らしい世界になります
だって...」
「この世からダメ人間が消えて無くなるんですから!」