2/3
デスエリア
荒野の大岩から南へ下った所に、その森はある。葉が枯れ落ちて痩せた木が枝を伸ばすシルエットは、森というより無数の亡者の腕だ。半世紀ほど前はかなり豊かな森だったので、木の密度だけは高い。それも段々と少なくなってきてはいた。
此処はもう、生命活動に適した場所ではない。ヒトが限りなくゼロに近いのはもちろんのこと、他に生き残っている生命体といえば捕食動物のごく一部と昆虫、微生物だけだろう。
人工的なフィールドに守られた『生存可能エリア』から一歩外に出れば、こうなのだ。地球の急激な温度変化や空気の汚染が進んだこの時代、激減したヒトという種は最後の悪足掻きを試みている。
最高権力の下、利用し得る科学技術の全てを駆使して生存可能エリア…通称『セーフティ・エリア』を確保した。
そして堅固なフィールドの外は、ある意味での自然状態。ヒトが生きていける範囲を越えた劣悪な環境があてもなく広がる。通常であれば生存の見込めない『生存不可能エリア』を、フィールド内に収まった者たちは恐怖を込めてこう呼ぶ。
『死の領域』或いは『デス・エリア』と。




