『星降る夜に貴女と』
遥か、未来、ある星で
その町は、『チャーリーズタウン』と呼ばれてました
地球から来訪した人々には、この壁に東西を塞がれた町が、昔の『チェックポイント』にソックリだと言われて、それで私たちも自分の住む町を『チャーリーズタウン』というようになりました
壁の向こう側には、私たちより、ずっと生き続ける事が、出来る人々(かれらは、自分たちの事を、『時を刻まぬ者』と名乗っていました
私たちは、時無人と呼んいました)
が、私たちとおなじような、普通の人達を、支配していました
もう片方(いわゆる、壁のこちら側)には、私たちのような、普通に生き、普通に学び、普通に遊び、普通に泣いて、普通に死んでいく人々が、暮らしていました
さて、順序は逆になりましたが、なぜ、私が、こういう話を、書かなければならないか、という事を、話さないといけませんね
そもそも私は、こういう事には、向いていない人間です
ええ、それは隣り近所の住民たちも、うなずいてくれるでしょう
そもそも、私は、このように、字をかくのが、苦手なのです
現に、今も、ない頭を使って、必至に文字をつむいでいるところなのです
ほんとう、なんで、こんな事を、しなきゃ、ならないのかしら?
…、でも、多分、この話は、私にしか、書けないのでしょうね
ながながと、書いてしまいましたけど、その訳を書いてみようと、思います
さて、その当時、花も恥じらう乙女(失礼な、私だって、そんな時はありましたよ!!)だった、私の家の、となりに、一人の少女が住んでいました
彼女は(私は、彼女の事をずっと、『彼女』と呼んでいたので、これからの話でも、よほどのことが、ない限り、『彼女』と呼ぶことにします)、ずっと、そこに、一人で暮らしていたようです
私のママが、話に行くまでは、あとあと書くような事でしか、外に出ることもなく、たいてい、一人で起きて、一人でご飯を食べて、一人で買いものに行き、一人で、一人で、一人で、一人で、一人で、…、そして、一人で眠る、そんな生活をしていました
ある日の事です
私は、ママにたのまれて、彼女のもとに、おつかいに、いくことに、なりました
ママは言いました
『あのねえ、彼女が、ほんとうに、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうにしてるんだよ
だからさ、ともだちに、なってあけないかねえ
貴女がいやっていうなら、別にいいけれども』
私は
『ええ、良いわ、だって、とっても、とっても、とっても、とっても、とっても、さびしそうにしていたんですもの』
そうして私は、彼女の家に行きました
『あら、貴女のママはどこ?』
『ええ、貴女が、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうに、さびしそうにしていたから、私に行けだって
私の気持ちはどうなのかしら?』
彼女は、可笑しそうに、言います
『はははは、はははは、ははははは、ははははははは、しょうじきな人ね、私、しょうじきな人好きなのよ』
…そんなわけで、私たちの友情が、始まりました
…話してみると、彼女は、たんに、そのちからのせいで、皆から、遠目に見られていただけで、彼女自身は、とても、気さくな、とにかく『普通』というかんむりがつきそうなくらい、『普通』の『女の子』でした
私たちは、いろんな話を、しました
いままでの生き方、これからやりたい、したいこと、とにかくいろんな話をしました
そして、彼女が、想っていた少年の話も
彼女と、彼が、いつ出会ったのかは、恥ずかしがって、聞けませんでしたが、遠い、遠い、遠い、遠い、遠い昔の、話のようでした
彼等は、多分、壁のない時に、出会って、愛をはぐくんで、そうして、壁によって、別れ別れに、なってしまったのでしょう
とはいうものの、私と、彼女は、そんな話を、直接したわけではなく、彼女との、話の中から、じょじょに、わかっていった事です
当然、私の恋についても、話しましたが、それは、この話と関係ないので、はしょりますね
壁がなぜ築かれたかは、私たちにはわかりませんが、壁の向こう側を支配している方は
『あんな魔法をつかう少女と闘いたくない』
というような事を言っていたそうです
しかし、私はその少女と友達だったのですが、彼女はその力以外は、普通の少女でした
そう、壁の向こう側にいる、好きな人を思うと、泣いてしまうような
彼女には、しかし、確かに、不思議な力がありました
というより、彼女の力がなければ、壁のこちら側の私たちは、生きてはいけなかったでしょう
例えば、ある日の事です
私の家の近くで、大騒ぎがありました
『なにが、あったのかしら?』
『おじさんが、ケガをしているよ』
とみると、確かに近所のおじさんが、全身から赤色の液体がでるほどの、ケガをしていました
彼女が、駆けつけました
彼女が、おじさんに向かって、手をかざすと
あっという間に、おじさんの、ケガが、なくなり、赤色の液体も、もと通りになりました
おじさんが、言いました
『ありがとう!!
木に登って、木の実を取ろうと、思ったら、木から、落ちてしまったよ
おれも、歳なんだから、気を付けなければなあ
はははは、はははは』
…というような事がありました
またある日の事
一人の、男の子がいなくなりました
男の子のママは、あまりの事に、病にふせってしまい、男の子のパパは、嘆き悲しんでいました
とうぜん、皆で、捜す事になりました
でも、彼女だけは、哀しそうな顔をして、こういいました
『うん、多分ね、もう二度と、帰って来ないと、思うの』
それを聞いたのは、私だけでしたが、私は
(彼女は、なんで、そんなひどい事を、いうのかしら?)
と思っていました
でも、確かに、その通りだったのです
少年は、よりによって、壁にぬりかためられていました
そして、さらに、ひどい、ひどい、ひどい、とてもひどい、ひどい事が、わかってしまいます
少年の、パパと、ママが、少年を、壁に、ぬりかためていたのです
少年にとても、とても、とても、とても、とても、ひどい、ひどい、ひどい、ひどい、ひどい事をしていた、少年のパパとママは、少年を死なせてしまったそうなのです
それで、あわてて、彼等は、少年を、壁に、ぬりかためたのです
(実際は、そういう事をして、生き返らせれる信仰が、あったそうですが、そのときの、私は、知りませんでした)
ある日の事です
彼女は、思い立って、好きな人と一緒にいたいと、壁の向こう側にいきました
当然、壁の向こう側を支配してる方は、手下を派遣します
その日は、壁の向こう側が、とても、うるさかった、ただそれだけ、私はおぼえています
ヒュン、カーン、キーン、カーン、ドカーン
彼女は、追手をかいくぐり、とうとう好きな人のもとにたどりつきました
彼女は言いました
『さあ、逃げましょう』
『なんで、来てしまったんだ、ここに!?』
『だって、だって、だって、だって、だって、私は貴方の事が、好きなのよ!!貴方はどうなの?』
『…!、ああ、僕も大好きだ!!』
しかし、彼は首をふって
『だめだよ、足を斬られてしまったんだ』
と言います
そして彼らのもとに、追手がせまっています
彼女はふいに、彼の手を握ります
彼女は言いました
『私の手をはなさないで』
と、次の瞬間
そして、そのまま、帰って来ませんでした
それから後、皆がこういう事をいい始めました
『彼女は、想っていた人と一緒に星空を駆けているんだ』
と
実際の事はわかりません
でも、私たちの側の町では、彼女が出かけた日に星空を観る習慣が出来ました
ほら、今彼女たちが、駆けていきましたよ
童話としては正直どうなのかと、自分でも思ったりしますが、オチで、勘弁してください(;´д`)