私メリーさん。今、暗殺依頼男の屋敷にいるの。
****** 数時間後 ********
メ「私メリーさん。今、暗殺依頼男の屋敷にいるの」
男「依頼受けたんかい」
メ「仕方ないの。死なないといっても剣で切られるのは心地良いものではないの」
男「まぁなんとなく分かるけども」
メ「暗殺依頼男が言うには、5日後に聖誕祭が行われて、その時王子に花束を渡す役目を私に当てるから、王子に近づいた瞬間殺れって」
男「あまりの計画の杜撰さにさすがの俺も唖然としたわ」
メ「仕方ないの。見かけからして頭が良いとはとても思えなかったの」
男「でもそのどう考えても失敗するであろう計画で一番危険なのってメリーさんだよね。どうするの?」
メ「とりあえず私なりに動いてみるの」
男「メリーさんが……自ら行動を起こす……だと?」
メ「なんかむかつく言い方なの」
男「いやいや、今までの他人事みたいなどうでもよさそうな流され方見てたから余計に……」
メ「本当に失礼な奴なの」
サイド:暗殺依頼の男
並々とカップに注がれたワインを飲み干し、私はそれはそれは上機嫌に笑った。明日は遂に長年の悲願が達せられる日なのだと思うと、湧き上がる喜びを抑え切れなかった。
長かった。先代の王の時代から表向き王家に忠誠を誓い、裏では様々な工作をしてやっとこの宰相という地位にまで上り詰めた。
あと少しだ。常人には宰相という地位はこれ以上なく最上の物と思えるだろうが、私にはまだ役不足だ。私はさらに上を行くべき人間だ。そう……この王国の支配者という地位こそ、この私には相応しい。
「あの憎たらしい王子よ……明日でその命も終わりだ。精々最後の夜を楽しむが良い……ふふふ……ふわーはっはっはっはっはっは!」
サイド:メリーさん達
メ「豚の鳴き声みたいな笑い声なの」
男「下品をそのまま形にしましたって感じの声だな」
メ「これで計画が外に漏れないとか思ってるのには本当に笑っちゃうの」
男「まぁそう言ってやるな。多分腹にばかり栄養が偏って、脳ミソには行き渡らなかったんだろ」
メ「あなたも十分酷いの」
****** 数時間後 ********
メ「私メリーさん。今、聖誕祭の会場にいるの」
男「展開の速さについていけないです」
メ「もうすぐ花束を渡す時間なの」
男「おう、まぁなんだ……」
メ「?」
男「程よく頑張れ」
メ「ありがとうなの」