私メリーさん。今、デブい貴族の屋敷にいるの。
****** 数時間後 ********
メ「私メリーさん。今、デブい貴族の屋敷にいるの」
男「随分長い時間電話してこなかったけど、何かあったの?」
メ「キレてたの」
男「なるほど」
メ「デブの貴族が今夜私の部屋に来るとか言ってたの」
男「頑張れ」
メ「ふざけるななの」
男「でも、実際どうしようもないでしょう。どうせ鎖とかに繋がれてるんでしょ?」
メ「手足と首に鎖が繋がってるの」
男「でしょー」
メ「でもこんなのすり抜けられるの」
男「え?」
メ「スルッとな(ゴットン」
男「なんか今何かが床に落ちる音が……」
メ「私の体からすり抜けた鎖とかが落ちる音なの」
男「つーか、すり抜けるって何よ……」
メ「人の家に不法侵入するのに一々鍵を開けるためのピッキングとかするのは面倒くさいの」
男「ああ、なるほど……って、それじゃなんで俺んちのドアは普通に開けたんだ?」
メ「ああ言う場面では鍵のかかったドアをわざとガチャガチャして恐怖を煽るのがセオリーなの」
男「ホラーの定番っすね」
メ「でも予想に反して普通に開いちゃったからそのまま入ったらこの様なの……」
男「そこは自業自得なんでそんな悲しそうな声だしても同情しないよ」
メ「チッ……」
****** 数十分後 ********
メ「私メリーさん。今、デブ貴族の家の庭にいるの」
男「ああ、ちゃんと出られたんだ」
メ「侵入のプロは脱出のプロでもあるの」
男「かっこよく言ってるけどそれ犯罪だからね」
メ「細かい男なの」
男「まぁまずはその家から離れて今自分がどこの国のどの町にいるのか把握しないとな」
メ「わかったの。とりあえずそこらへん歩いて見るの」
****** 数分後 ********
メ「私メリーさん。今、舗装された道にいるの」
****** 数分後 ********
メ「私メリーさん。今、よくわからないお店の前にいるの」
****** 数分後 ********
メ「私メリーさん。今、宿屋っぽい店の前にいるの」
男「いちいち報告してこなくてよろしい」
メ「私の存在意義を完全否定されたの……」