私メリーさん。今、私どこにいるの?
メリーさんがわからない方は『メリーさんの電話』でググると出てきます。
メ「私メリーさん。今、あなたの家の前にいるの」
男「え」
メ「今からあなたの家に入るわね」
男「え、ちょっと待って。やめといた方が……」
メ「(ふふふ、怖がってるの……)」
****** 数分後 ********
メ「私メリーさん」
男「またあんたか」
メ「……私今、どこにいるの……?」
男「は?」
メ「あなたの家のドアを開けた途端変な森に出ちゃったの! しかも扉も気が付いたら消えちゃうし……! ここどこなの!?」
男「異世界」
メ「い……え?」
男「だから異世界」
メ「……何……言ってるの」
男「だからやめとけって言ったのに。俺の家の玄関は今異世界と通じてるから開けないほうがいいって言おうとしたら、アンタがそれ聞かずに電話切っちまったんだぞ?」
メ「なんで一般家庭の一般家屋が異世界と繋がってるの!?」
男「俺勇者だから」
メ「はい?」
男「だから俺、その世界にこの間勇者として召喚されたんだよ。でまぁ、お約束の魔王退治を頼まれたからサラッと倒して昨日こっちに帰ってきたばっかなんだよね」
メ「……ふざけてるの?」
男「全然? で、今どこらへんにいるって?」
メ「だから変な森にいるの……」
男「トリップした地点から移動した?」
メ「ううん……」
男「じゃぁまずはその森を抜けなくちゃな。とりあえず歩け」
メ「迎えに来てほしいの……」
男「あー、悪いけどあの扉って一人しか通れないんだよね。すでにそっちにはメリーさん? が行ってるからこっちからは誰も行けないのよ」
メ「私ちゃんと帰れるの?」
男「それは大丈夫。お城に返還用の魔法陣があるから。まずは城下町を目指せ。いいな?」
メ「うん……」
****** 数十分後 ********
メ「私メリーさん」
男「なに? どうかした?」
メ「今、小汚い男の集団の前にいるの……」
男「あちゃー、野盗かぁ」
メ「今、有り金全部よこしやがれとか言われているの」
男「ちなみにメリーさんって所持金は?」
メ「あるわけないの……」
男「デスヨネー」
メ「なんか変な目で見られているの。『箱に向かって喋ってて気味の悪い女だぜ』とか言われているの」
男「ああ、そっちには携帯電話とか無いからなー。つーか、メリーさん携帯で電話してきてたんかい」
メ「当たり前なの。今時携帯電話も持ってないとかありえないの。そもそも移動しながら電話なんて携帯ないとやってられないの。最近は公衆電話も減ってきてやりにくい事この上ないの」
男「そんな裏話聞きたくなかったの……」
メ「私メリーさん。今、檻の中にいるの」
男「あらら。捕まっちゃったんだ」
メ「女の子の扱いが乱雑なの。これじゃきっと一生モテないの」
男「メリーさん余裕だね……最初の取り乱しようが嘘のよう」
メ「あれ以上の衝撃なんてそうそう無いの」
男「デスヨネー」