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第五話「ノーマンズウオークライ」


        


神聖歴2379年六月八日


装甲列車が所定の位置に付き、パワードスーツ隊を射出する。


バーニアレッグで高機動着地して先行する正規軍の浮遊歩兵戦闘車と装甲化高機動車両の戦闘支援に入って行く。


俺は着地して空を一瞬見た。


空中で魔道砲撃を繰り返し魔道誘導弾を延々とぶっ放し回避機動を取り続ける大型戦闘ヘリ。


その飛行音を聞きながら装甲ブーツのバーニアを起動し突っ走る。


最前線でのオーガパワードスーツ隊の役目は突撃だ。


どいつもこいつも目標に向け突っ走る。


目標は、冬精霊の眷属である雪と氷でできた戦闘ゴーレムたちだ。


 デザインばかり優れた古式ゆかし騎士像に、


魔導士像に、


小銃歩兵像に、


装甲化魔道砲兵像が眼前に立ち塞がる。


砲撃や白兵戦を繰り広げる。


その音に誘われた現地の浮遊軟体型の魔物たちが奇妙な姿のまま戦闘に参加している。


大乱戦だ。


魔法を使える貴重な兵士は止めを刺す役割を担う。


物理攻撃しかできない兵士や兵器は氷像を粉砕。


物理攻撃兵は、一時的戦闘不能にして復活時間を火炎放射部隊で燃やすことで復活阻止を続ける。


彼らは止めを刺せる兵科を待ち続けている。


敵の数がどんどん増えて行く。


進出は可能だが何時まで保てるか判らない中、俺たちは戦い続けた。


俺は友軍が砕いた氷像を積極的に魔法で止めを刺し、走り続けた。


俺と同じ魔法を使えるエルフ兵は貴重な魔道小銃を放つ。


俺と同じく止めを刺していくが俺に出くわすと顔をひきつらせた。


気分の腐った俺は月光のピアノ曲を切り忘れていたことを思い出した。


狂おしい月光曲に別れを告げる。


音楽再生装置をオフにし魔道式擲弾を投げつける。


纏めて敵の氷像は爆砕され止めを刺すまでも無く内部構造を魔法的に損壊。


標的は復帰不能に成った。


四個師団が投入された大作戦とあり戦場では様々な兵器を見かけた。


だが進撃路を開く兵器群は途中から後退して行く。


浮遊式重爆撃機が爆弾を落とし終えていく。


ジェット式戦闘ヘリが高機動砲台の役割を終え後退。


浮遊式歩兵戦闘車両も引いて行く。


残された歩兵と装甲化高機動車両とパワードスーツ隊が敵の本格攻勢を受け止め始めた。


味方主力が反撃の準備を整えるまで激戦と消耗を強いられた。


 戦って戦って三日が過ぎた。


 まだ友軍主力は攻勢に出ない。


 小隊長の芳賀大和が死んだ。

 副官の花田郁夫が指揮を引き継いで今日死んだ。


 分隊長の、小菅と日野と連歌屋がそれぞれ若干後退と戦力再配置と抗戦を上官に訴えた所、俺の所属した分隊がしんがりに残された。


3日連戦で減耗した分隊は瞬く間に撃破され生存者は俺だけとなった。


 それでも映像を投影するレーダー付きフードの情報装置からは命令が届く。

先に後退した分隊が反撃準備を整えるまで時間が必要だと俺に伝えた。


命令の中身は、突撃して時間を稼げだとさ。


俺は逃げなかった。

それもこれも三等臣民から二等臣民に成る為だ。

 その執念で俺は戦場に踏みとどまる。


自警団の任務を三年間遂行し続ければ正規軍人になる道が三等臣民の俺にも与えられる。


正規軍人に成って従軍義務五年を勤め上げれば俺は二等臣民に成れる。


こんな所で死んでいる場合ではない。


俺は差別される境遇から抜け出すのだ。


二等臣民待遇を手にするまで死ぬわけにいかない。


……だが二等臣民に成って差別から逃れそれでどう生きれば良いのだろう……


迷う悩む惑う。


だがそれは判断の遅れが死をもたらす戦場で不要だ。


俺は思考を切り替える。


こんな時俺は必ず胸内で唱える。


俺は人だ。


人は義務を遂行するものだ。


 其処まで思い出し、輪弾倉砲を放ち終えハルバートを構える。


 俺の放った輪弾倉砲から最後の魔道榴弾が炸裂し四発とも弾着。


 狙い通り敵の戦列が崩れるのでそこに鋭く飛び込む。


狼夜はエネルギー弾をビーム状に放つ。


標的の騎馬兵像を複数撃ち抜き白兵の瞬間鋭くハルバートを振り回し重々しい斧部分で両断しては突っ走る。


振り向きざまに輪弾倉砲を抜く。


再装填していたタングステン弾芯の徹甲弾を放つべく発砲。


標的を射抜き追撃を断ち再装填二秒後に跳躍。


敵魔道砲撃を躱した。


近づく軟体浮遊生命の魔物の融解性触手攻撃を躱す。


反撃のハルバートで貫いて切断し切り抜け走る。


前へ前へ突っ走る。


魔道障壁のバッテリーがついに尽き野生の魔物の魔法ブレスで燃やされる。


急いで炎の中、魔物をハルバートで両断して血を浴び鎮火。


進出方向を変えレーダーが示す先行残存友軍地点を目指し走り続けた。


生き残れる場所を探した。


ふと月光の旋律が恋しくなる。


あの初めの静かな旋律が恋しくなった。


いや、未練だ。


俺は断ち切る。


辿り着いた場所はタッチの差で全滅して行く抵抗拠点。


そこで、歩兵部隊が魔物の圧倒的な身体能力を押さえ込めず噛みつかれ喰い殺されて行く地獄絵図を見た。


俺もハルバートで迎撃した。


クラゲ型の浮遊触手を躱しては切り裂く。


敵の魔法弾を躱し肉薄しては両断する。


数の多すぎる敵にはハルバートのライフル機構を起こし狙撃して行く。


走って撃って切断して槍部分で貫き雪に捨てられ、まだ生きて居る友軍を探す。


俺は現場に転がる歩兵用魔法障壁用バッテリーを拾い上げる。


急いで戦闘服のそれと交換。


雪と血にまみれた携帯食料を拾い上げ齧り飲み下しながら戦った。


そこからさらに二日。

今どこにいるのかもわからなくなった。


ハルバートのライフル機構に収めるエネルギー弾の残量は十二発だけとなった。


擲弾を使い果たした。


輪弾倉砲の弾薬も撃ち尽くした。


敵の死体の山とぶっ壊した氷像の残骸の山で埋め尽くされた蔵王連峰の片隅で力を使い果たした。


しゃがみこみハルバートに縋って姿勢を維持した。


俺は氷精霊の王冠を目指し突っ走る。


王冠とは作戦上の地図位置を示す。


冬精霊の推定位置に俺は向かう。


その先の生存を目指し走る。



第五話予約投稿です。実験開始から何日経つんですかね?

今は2025年9月12日予約投稿ですので皆さまの顔は見えませんが,今からドキドキしています。

ワクワクはしませんな、己の人気と言う物をカクヨムで味わっていますので、ですが少なく居ながら読者様が付いてくれる現実はある者です。そんな読者様に誓い十万字実験を遂行します。

だから何と言うか、よりよい作品を多くの皆様に届ける努力、これを続けたくあります。敬具。

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