<Ⅳ>
気が付く。
そこは壺なんかじゃなかった。
そこは、よく分からない場所。
上は青くて、白いところもある。
下は緑で、茶色のところもある。
上のほうに眩しい何かがあった。
後ろのほうに、緑と茶色の細長いものが沢山ある。
横のほうに、動いてる黄色のものがあった。
突然、何かが私にぶつかった。
体を包み込まれるような何か、よくわからない。
それと一緒に、何かが聞こえた。
小さくてよくわからなかった。
しばらくして、また聞こえた。
今度ははっきり聞こえた。
聞こえたのは、私の名前。
――。
なんで私の名前が聞こえるのかわからない。
でも。
何故か、私を呼んでいる。
そんな気がした。
声のところに行こうと思った。
そうしたら、体が宙に浮いた。
私は飛んだ。
周りにあったものがどんどん動いていく。
私は、こんなことも出来たんだ。
私の中で、何かが広がる感じがする。
しばらくすると、さっきとは違う場所に着いた。
体が自然と止まっている。
ということは私を呼んだのはここかもしれない。
でも、何をしたらいいか分からない。
「*************」
突然、何かが起きた。
私は驚いたが、何かわからない。
頭に響くような、何か。
あ、そうだ、これは、何かが、大きく聞こえた。
「元気な声じゃないか!!」
「元気な男の子ですよ」
「これで私達も安心できる……」
元気、声、男の子、安心……
よくわからない声が聞こえる。
「…………今、私、声って思った??」
声って、何??
……そう、聞こえるのが声。
私には今、声が聞こえた。
じゃあ、最初のは、男の子の声……か。
男の子……なんでだろう。
聞いたことのない筈なのに、意味がわかるような気がする。
また、声が聞こえた。
私の名前が呼ばれた。
遠くからだ。
「行かなくちゃ」
そう思った。
私は飛ぶ。
着くと同時に、誰かの声が聞こえる。
「よし、完成だ。これで何十万人もの人を救うことができる!!」
誰がが喜んでいる声。
喜んでいる声。
何故か、嬉しい。
心が温かくなるような感じ。
また、呼ばれた。
あれ、別の場所からも呼ばれた。
もう1つ増えた。
更に増えた。
みんな、私を呼ぶんだね。
行かなくちゃ。
私を呼んでいる、全員のところに。