表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

<Ⅲ>


少女は光を見る。


光は文字を映す。


――。


少女は言う。


「これが私の居場所なんだ」


少女は光に手を伸ばす。


ふと壺のことを思い出す。


自分が入っていた壺。


少女は腕を止める。


もしも、そこに戻ってしまったらどうしよう。


一瞬の不安。


そして。


不安が全身を埋め尽くす。






少女は恐れることを知ってしまった。






少女が感じた恐怖。


今までは希望に満ち溢れていた。


しかし、今は怖くて体を動かすことも出来ない。


この光に触れたとき、自分はいったいどうなるのだろうか。


目指してた場所に行けるかのしれない。


でも、もしかしたらまた壺の中に行くかもしれない。


希望。


恐怖。


2つが彼女の中でぶつかり合う。









彼女に足りないもの。


それは勇気。


それは自信。


それは知識。



しかし彼女にもすでに得ているものがある。


それは体。


それは命。


それは心。







命を持ったもの。


それは個々によって、有るもの、無いもの、がある。


しかし彼女は知らない。


知ることが出来なかった。


彼女が知っているのは自分の名だけ。


――。







彼女は目の前にある光の名を見る。


――。


自分の名前。


名前。


――。


――は、自分の名前。


――は何?


「――は、私」


「私は、――」


不思議。


自分の名前を言う。


それだけで、恐怖が弱まるのを感じた。


――。


――。


――。


私の名前の光。


触れてもいいような気がしてきた。


触れなければいけないような気がしてきた。


触れると、良いことがありそうな気がしてきた。


触れると、良いことがある。





私は、迷わなかった。





私は、光に触れた。





私は、光に包まれた。





私は、消えた。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ