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<Ⅱ>
――という名の少女は歩く。
壺から出た少女はいったい何処に行こうとしているのか。
それは誰も知らない。
それは誰も知ることが出来ない。
誰もが知らない場所。
それでも少女は辿り着こうとしている。
自分だけの世界に。
少女を囲むは白い空間。
壁も、天井も、床もない。
あるのは強い意志の道標。
「行きたい」
「辿り着きたい」
少女はただ、想うだけ。
何日、何年、何万年経ってでもいい。
少女は自分の居場所を手にするために。
歩く。
歩く。
歩く。
立ち止まることも忘れて。
そしてその瞬間が、来た。
少女の前にあるのは光。
白よりも光り輝く。
純白の光。