神録伝承[Topic2【冥域】]
Topic2【冥域】
キュプリア命名。こっちのことは、『神域』よりも知らないし行ったこともない。じゃぁ何で書いてるの? っていう質問には、『『神域』書いたから、ご近所さんも書かない訳にはいかないから』としか言えないわ…………。
ごほん。あたしが分かっているのは、土地が空中でなく地上に根ざしてあって、あっちにも神々――『十二深主神』ってのが居ること。それぞれの神が、あたし達とは逆の象徴を掲げ、銀河全体の均衡を支えている……共同経営者? 的な間柄ってことかしらね。
それに、『敵対している』なんてことはまったくなくて、それどころか、目の下にくま浮かべたクエストリスが、「また深主神さんに手伝ってもらっちゃったよ」と語りながら、オーラリアに『強制休憩室』へ運ばれていたぐらいよ? 良き隣神……かな? 上下だけど。まぁ、『いい関係』っていうのはたしかね……いったいどんな連中なのかしら?
それから、環境はジメジメで暗く殺風景――って思うでしょ? でも意外とそうじゃないみたい。 神域との差は、『空』か『地』の違いくらいで……あとは、全体的に神の性格が物静かなんだとか。『無口』や『寡黙』っていうよりは、話すのが遅かったり、言葉を慎重に選ぶタイプが多いんだって。オーラリアとシルヴィアが言ってたわ。
二神は仕事のことで話したことがあるらしい(セレリアとアリアもね)。あたし?……仕事はクエストリス達がやってくれるから、話す必要なかったし、知らないわよ! 仕事少ないってサイコー! あはははは――――――シルヴィア先生に、気配なく近づかれて怒られた挙句、勉強(管理の仕事)を課せられた。……高笑いしただけなのに、どうやって察したぁ、ぐすん。
……えっと、何だっけ? ――(読み返し)あぁそうそう、『物静か』って話。
冥域の神は、あたし達のような感情豊かでワイワイしている感じじゃなくて、まるで『幽かな波紋』って感じなんだって。……えっと、つまり、『静かだけど確かな存在感』ってことね? 例えたシルヴィア先生が、言って後で『真面目にクサい表現した』って顔で恥ずかしがっていたけど、あたしはイイと思うよ!! うふふぅ(ニヤニヤ)。
それとクエストリス曰く、冥域の神は、普段あたし達が見逃すような細かいところまでを、十二深主神で観察してるんだって。で、必要があれば神域へ報告してくれてるらしいの。とある星の言葉を使うなら――『縁の下の力持ち』ってことね!
……ふぅ、説明で褒めちぎったし(?)もういいかしら? では……深主神たち優秀かぁ! キュプリアに借りた『漫画』とかだと、『敵対しないけど相性最悪! 仕事も押し付けてくる!』みたいな間柄じゃないの!? 『天主神』と『深主神』って字面的にさぁ!?
天主神は半分以上(あたし以下七神)がまだ、シルヴィア先生の監督なしじゃ一神で管理もまともに出来ないのにぃ、負けたぁっ! ……うぅ~、全部クエストリスがあたし達を甘やかすからいけないんだぁー!! ……ッ、あれ、オーラ、さん? いつから。……さっき? あっ――
――――記録を再開する。『何があったか』は、書かないわよ?
上記の通り、仕事一筋のクエストリスを助けられるほどに冥域の神は優秀なようだ。そんな経緯があり、クエストリスは深主神達のことを――
「僕なんかじゃ、深主神さんが何を考えているのかいまだに分からないけど、信頼できる仲間だよ』と、オーラリアが居る前で評していた。察しの悪い『鈍感』ねぇ。
それから、神域と冥域では行き来が不可能らしいわ。シルヴィア先生曰く、『歪み』と呼ばれる現象のせいだ。これはあたしも見ていたから知ってる。ある時、『(エイル)グラント』が――
「いっちょ冥域に行ってくるらぁ!」と、馬鹿全開で神域端の崖から飛び降りたことがあるの。直前の授業で、シルヴィア先生が『行けない』と言ったからだろう。やっぱり馬鹿だ。
っあ、ちなみに『冥域』は、浮かぶ『神域』の真下にあるみたい。
あたしは興味無さげに、結果のみを記録するため付いていったわ。で、どうなったかと言うと――
飛び降りて数十秒後、下からかっ飛んできたの。つま先を上にしたバカが。どうやら、落ちた状態で戻って来てしまうようね。記録、記録っと。
……それにしても、結果はどうあれ、上がってきた時の「なん……だと……!?」みたいな顔には、無心で記録しに来たあたしもさすがに大笑いしちゃった。……と、いうことで、この馬鹿話も永久にここへ記録するわね。
追記(小さく書かれた文)
冥域の神って情報をくれるんだけど、言葉を選んだ結果の報告が端的なんだって。
例えば――「あの小さい星、ヤバい。至急、調整、手伝って」ってな感じ。
それに対し――「いやいや詳細っ!『あの』ってどれ? 『小さい星』ってどこ!? いっぱいあるわよ小さい星! もっと詳細ッ!――」って、一神ツッコみをしていたらしい。あのクールなシルヴィア先生が。
……そう、アリアが笑って教えてくれたの。あたしは悪くないわよ? だから読んでも怒らないでください。
一言……はぁ(継承者以外の外音消去・オン)
「(円卓でオーラとシルヴィーからの説教中)……はい。反省しました。
……はい、わかっています…………でも、仕事とか勉強がめんどくさいんじゃなくて、クエスがやりたそうだから、任せて――
あれ? これ、また怒られる感じ? いや別に反省してないからああ言ったんじゃなくて誰か助けてーッッ!!(早口)」
ということで、愛称・グラントこと――
【序列:第Ⅺ席・希望と勝利の男神・エイルグラント】です
⇒褐色肌に赤錆髪、『ヤクザのドン』みたいな男神
⇒口は悪いがまともなことを言う常識神
余裕がでたら、「天主神の日常話」を書くかも?