神録伝承[Topic8【神力、象徴、権能】]
(自分は)どうしてストーリー性を作るかな~……
Topic8【神力、象徴、権能】
『神力』――それは、二十四神縁《あたし達》が生まれた瞬間から宿す、『力と命の源』みたいなもの。纏えば『現象』や『概念』にすら触れることができ、星の子達が扱う『魔力』や『気』、『オーラ』や『チャクラ』のそれに近いっちゃ近いけど、『神力』はもっと『根っこ』の部分――存在そのものを支える力って感じね。そして何より大事なのは――
『二十四神縁は神力を消費し続ける存在』。これが、あたし達にとっての基本認識よ。
けれど、不思議なことに、あたし達は誰ひとりとして『減ってる』と感覚をもってないのよね……。不足感っていうの? そういうのが、まったくないの。
たぶん、地上でいう『空気が当たり前すぎて意識していない』のと一緒なのかな?
それか……あたし達の神力が『あり過ぎる』、っていうのも原因なのかもしれないわね?
この前読んだ漫画で、『わたしの戦闘力は、530000です』っていう宇宙一強いらしいキャラが出てきたんだけど――正直、あたし達から見れば『53万倍あっても足りないよ?』って言い返せるぐらい、次元の違う(神)力量差があるのよ。……『全王』ぐらいじゃないと、あたし達とは遊べないんじゃないかな? 伊達に『天主神』やってないわけよ、ふふん!!
――ちなみに、消費した神力は『神域』『冥域』の影響で自然回復するようで、普段の生活では問題ないらしいの。でも、象徴や権能を『仕事』や『私事』で頻繁に使うと、さすがに回復が追いつかなくなるみたい。……これには珍しく、クエスが直々に『神力は使い過ぎないように』って、真面目な顔して『忠告』するくらいだから、みんなも極力使わないようにしているわね……もしかしたら、クエスが仕事を誰よりも多く引き受けてるのと関係あるのかしら?
――さて、そんな話を思い出して、ふと疑問がわいたと事があるの。それは――
『じゃあ、あたし達が『神力を使い切る』とどうなるの?』ということ。
簡単な予想だと、『回復するまで身動きが取れなくなる』とか、『意識を失う』とか……かな? オーラやシルヴィーも、そんな話は一度も聞いたことがない、って言っていたわ。
多分――あたし達って、『神力』があることが当たり前すぎて、『無くなること』を考えたことがないんだと思う。……それは、『神録伝承』の記録――先代たちが残した記録の中にも『神力がなくなった時のこと』『それに対する考察』が一切書かれてないことからも、はっきりと分かる。
…………これは、おかしくない? 今までに受けた授業の中でも、『この知識いるの?』って思うところまで教えるシルヴィー先生が、『象徴』と『権能』の説明では、持論なんかを長々と聞かされたのに、『神力』に関しては――
「わたしたちが生きるのに必要な『命の源』であり、象徴と権能を扱うために不可欠な『力』よ」……っていう、簡略しすぎな説明しかしなかったのよ。
そしてあたし自身、今この記録で『神力』について深く考えていたからこそ、当時の『違和感』と、今の『疑問』に気づけた。『もしも神力が尽きたら?』ってね。
ん~~? でも、そもそも尽きるのかなぁ? いや、尽きるのかもしれないけど、尽きる前に『回復する』のが先じゃない? って思うし。『尽きる』ことがないから、誰も考えたことないだけなのかなぁ? いやでも…………よし、あとでクエスに聞いておくことにするわ。あの『真剣な表情』が気になってたし、丁度いい。……ってことで、『追記』に記すから期待しててね!
『象徴』――それは、二十四神縁が掲げる『世界に作用する概念』――簡単に言えば、『その『象徴』があることで、銀河の法則が変わる』って感じね。
例えば、オーラの象徴〖良縁〗は、彼女の存在があるだけで、銀河のどこかで『運命的な出会い』や『繋がり』に関する出来事が生まれやすくなるの。
そして、シルヴィーの象徴〖幸福〗なら、『幸運』に関する『可能性』が増えるって感じよ。じゃあ、『権能』は何かっていうと――その象徴を『扱うための恩恵』であり、『活かすための付属能力』みたいなものよ。そして、象徴ほど範囲も影響力もないけど、『世界に作用する概念』が内包されている点は共通してるわね。
あたしで例えると、象徴〖記録〗に付随した権能は〖綴り〗なんだけど、それは『星の記録を整理』したり、『ちょっとした未来の書き換え』なんかが、『莫大な神力消費』でできるみたいなの。シルヴィー先生にも『すごいことよ』って褒められたんだから、むっふぅー!
……まぁ、クエスが『使っちゃ駄目』っていうし、そもそも使いどころも分からないから宝の持ち腐れだけどね。とほほぉ。
……でもさぁ、『うん?』ってなる『組み合わせ』もあるわけよ。それは、グローの象徴〖時間〗に付随した権能なんだけど、それが――〖時〗、なの! ……これをグローの『誕生』に居合わせた全員が聞いた時、みんなして『うん?……あー、うん???』って顔してたわよねぇ。いや、詳しくないけど、同じじゃないの? 違う意味なの……??
……うん、まぁ、この際グローはいい。何て言うか、『親和性?』みたいなのがあるから、ね? ……問題はもう一神――キューの象徴〖叡智〗に付随した権能よ!
……っていうか、自堕落なあのキューが〖叡智〗を掲げてる時点で納得いかないんだけど……権能が――〖娯楽〗だからなぁ。性格に思いっきり反映されてるわよね、あれは。
しかも、〖叡智〗と〖娯楽〗ってどんな並び? どういう繋がりなの!? なんか、美しくないのよね!
うちの末っ神で〖美〗の権能を持つウルも言ってたから間違いない! 〖美〗の女神の名に懸けて、あたしは納得しないぞキュー(理不尽)――!!
≪※封印指定※≫追記
本文で記した、『神力を使い切るとどうなるか?』を、クエスに聞いた。ちゃんと答えも返ってきた。……でもちょっと、予想外な回答で、困惑中。……あー……あと、オーラに内緒でクエスと『秘密の共有』を作ったから、あとが怖い。すごく怖い! あぁ~、オーラの笑顔がぁー!! ……れが『恐怖』っ! ……まぁでも、バレたとしても覚えてない、かな?
……はぁぁぁ~~、そんな訳で、記録するわよ。まぁでも、ここの『記録』は神録伝承の機能である『封印』で、しばらくは誰にも――あたしにも読めなくなるわ。したがって、これが読めるようになった時、あたしは『成長』したってことだから、大いに喜んでいいわよ、ノートリア! ……最悪、後輩も読めないままだったらごめんね?
……それじゃ、情報量が多いから箇条書きで済ませるわね?
〇クエスは一番最初に『神理樹』から生まれた『最古参の天主神』の一神である
(神録伝承の最初の頁、あたし達に読めない記録に、それに関する内容が書かれているらしい。そのことは、『神録伝承』の『記録』にも書くから、分かんない単語があっても後のあたしが書いてるかも?)
〇天主神と深主神は、対となった神同士で『神力を共有』している。そして、どちらかが使いすぎ枯渇すると、もう片方も一緒に消えてしまう。
〇本来なら、『神力の枯渇』について誰も疑問に思わないようになっている。それは『至上神』の、消えることに対する『怖がらせたくない、悲しんでほしくない』という想いが、『大樹』へ強く刻まれ、それが生まれくる二十四神縁に刷り込まれた――というのが、クエスの見解みたい。
(この意味は、神録伝承(最初の頁)を読めるようになったら分かる、とのこと。何年掛かるのやら……)
確かに『消えることに対する恐怖』は無かったわね……まぁ、『恐怖心』自体はあったけど。……主にオーラやシルヴィーに怒られた時の『あれ』がそうかも。
〇『初代象徴持ち』の大先輩方は、『至上神』の意思を汲んで、『神力』の真実を公開しないことにした。
〇でもあたしは気づいた。それは、あたしの『奇特な性格』が原因じゃないか? とクエスは言う。
なんでも、秘密に気づきやすい〖記録〗や〖叡智〗などの象徴や、それに近しい権能持ちは総じて……どこか抜けていたり、変神だったりするらしい。もっと言うと、『意欲が乏しい』か『何かにのめり込み』やすい性格になるんだとか。
……キューが『叡智』の象徴持ちらしくない理由が分かってしまったっ! そして、『記録』の先代が、あんな記録しか残せなかった理由も。(←ここも、『神録伝承』の『記録』で愚痴ってるわね、絶対ッ)
〇クエスは永い時間をかけ、自身の象徴〖創造〗で『内に神力を創造する』ことができるようになり、今まで生きながらえてきたらしい。
〇そして、最近になって、『神力を外に創り出せる』ようになった。それを、『飴』として創り変え、神殿の効果以外で天主神や『冥界の深主神』たちに補給させていたんだとか。
……あの『飴』はそういう意図で創ってたのかー!!
〇深主神は『負の感情』に強い耐性を持っているらしい。だから、クエスの対となる相方、〖虚無〗の象徴を掲げる深主神――『ナシロ』というらしい――と相談して、十二深主神には情報を共有し協力(神力の節約)してもらうことになったようなの。
どこかの『記録』で記した、クエスが『深主神』と頻繁に話してるっていう、『オーラのストーカ――げふん!――情報』は、その日の、『神力の消費具合』を確認していたからなんだって。……よかったね、オーラ……。
でも、最初は『無償』と太っ腹な対応だったらしいが、少し前から対価を要求してくるそうだ。それが――
『『神殿』かクエスが創った『食べ物』と『地上の衣装』『娯楽品』の提供』らしい。『安上りでかわいいな深主神』と、あたしの中で交流なき下の住神に好感を覚えた。
〇逆に、天主神のあたし達には言えなかった。『神力がなくなると消える』なんて聞かされたら、『恐怖心という『負の感情』を自覚してしまうから』らしい。
たしかに、そうかもしれない……二十四神縁として『管理』する以上、神域では賄えられない神力を消費することは確定=『消えることが確定』しているのだから。
あたしは、『自覚してしまった側』だからこそ、余計にそう思う。……これが、『恐怖』かぁ。……でも、漫画にラノベで『感情移入?』っていうのが、よりできるようになったわけよっ、見方が変わるかもね! あははは…………『そう思う』クエスも、結局あたしと同じ『奇特な性格』なんだなぁ、って思ったわ。
〇クエス自身は、最初から『消えること』を知っても、たいして気にしていなかったようだ。正直、達観しすぎてちょっと引いたわね。
……でも、仲間が消えることが苦しくてしょうがないらしい……。やっぱり、そっちこそ『奇特な性格』だよ。
〇あと、ついでとばかりにあたしの持つ『神録伝承』の『最初の頁がどうして読めないのか』を聞いてみたの。『理由だけなら』と、思いのほかすんなり教えてくれたわ。
――それが、『初代〖記録〗は象徴持ちが、『封印の設定』を『時間経過と理解力(天主神として『知識』『経験』など)によって徐々に読めるようになる』ってしたらしいけど……『遥か昔』の『時間感覚』と『知識・経験』の基準が、『今の二十四神縁』とでは、あまりにも隔絶しているらしいの!
クエスを除いて、神殿の最年長であり知識量もあるオーラですら、全然『子供』判定なんだとか。しかも、「僕が最初の頁を読めるようになったのも、実は最近(数億年くらい前)なんだよ?」って、クエスが言ってたのよ!?
……ムリじゃんっ!(もう無理じゃないけど)原因の理由、しょうもないうえイカレてたわっ!! 神秘性ゼロかッ!!! ――以降、割愛――
――最後、話が脱線したけど、これが、クエスに聞いた真相で、真実。……あたしは、『知らない方が良かった』って思ってる……原因も含めてね……。
いや、『隠された秘密』を知れたこと自体は、〖記録〗の象徴を掲げる神として名誉だし、『初めての特定者』ってなるともっと嬉しい!
…………でも、心が、負けたなぁ、ポッキリとね! ……クエスの話を聞くたびに、胸の中央から震えが広がっていって、聞き終わりに書いてる今では、全身に伝播してるもん……でも安心して、『筆』に書かせてるから字は達筆なはずよ! あっはっはっは――
……んで、これからクエスに提案されて、あたしの対となる、『喪失』の象徴を掲げる深主神・『クウメ』に『記憶を消してもらう』ことになりました! いえぇい!! ……あたしの『心』が弱いばっかりに、そういう処置をすることになったの。悔しいけど、『今のあたし』では受け止められない事実だったのよ。
――だから、ここに『記録』を残し、『あたしが自力で『神力』の本質を理解できるようになる』という『条件』を付けて、ここの『追記』を封印することにした。『記録』は消えない。ただし、今のあたしには読む資格がない。そう、これは『未来の自分への挑戦状』なのよ!
……曖昧な表現なうえ、この性格で成長するかなぁ? って自分で自分を疑ってるけど、奇特な性格らしいから何とかするでしょ! の精神で決行しまーす。……まぁ、今ならクエスの『神力補給』があるし、『消える』心配はいらないんだけどね!
だからって、怖いものは怖いのよ! がんばれあたし! そして――クエスと皆のためにも、この真実を共有したうえで、『楽しい神殿生活』を手に入れるんだぁーー!
≪※秘密の会話※≫
「(神殿最上階にて)クエス来たわよー。
……うん、『記録』して『封印』の設定もしてきた。っあ、『このこと』で絶っ対、あたしが荒れるだろうから宥めてね?
……考えがある、って、頼りないなぁ。……ふぅ、しっかし、最上階に来たの生まれた時以来なのよねぇ、まぁ、まだ管理の仕事してないから来る意味ないだけなんだけどね! …………あー、クエスが、他より管理を多く引き受けてるのって、あたし達の――『神力の消費』があったからなのよね……?
……え、違う? 趣味っ!? たっ、ただの出不精の仕事馬鹿かぁ! 心配して損したわ、この鈍感っ!
……鈍感は鈍感よっ。意味は長生きしてるんだから自分でかんが――察しなさいよね。オーラは苦労するわぁ(ボソッ)。
……なんでもない。それで、あたしの対となる神に話は……ああ、もう待機中なんだ? それじゃ、行きますかっ。
……解ってる、意識して抵抗せず、受け入れればいいんでしょ? 『大樹』を通した『神力の使用』っていっても、象徴と権能で『記憶』に防壁張ったり、バックアップつくったりしたから、『余分な忘却』があっても防げるわ。シルヴィー先生の授業で………………制御はバッチリよ!(過去の授業を思い出し不安になってきた)
…………クエス、あたしが『封印した記録』を読めるようになったら、あなたも加えてみんなに『真実』を話そうとする筈だから、覚悟しててね。『消える心配がなくなったんだから大丈夫!』って開き直っちゃえばいいのよ! ……まぁ、あたしはダメだったけどね。でも、『みんなで共有』すれば受け止められるわ。これ、あたしの持論ね!
……じゃっ、『しばらくのお別れ』。またねクエスっ――――」
……うん! もう一言じゃないや!(あとバレそう!)
「(翌日の自室にて)――うん? なんか、違和感……って、うぇ!? えっうっそぉー! なっ何であたしの記録に『封印』が掛かってんのよぉーー!? えっ? ええ?? ちょ、えぇーー!?(語彙力皆無)――
(少し落ち着いて円卓へ)どういうことっ? この機能ってあたしにしか設定できないはずなのに、なんで『封印』されてるの? 神録伝承が勝手に?? あたし以外でも操作ができたの??? ……それとも、『筆』か? 勝手に宙浮くわ、たまにあたしの『考え』を誇張した表現で記録するし……『意思がある』って疑惑もあったしぃ(じぃー)…………。
――ッ! あっ、クエスっ! ちょっ、あの、神録伝承が変なの! 何か勝手に『封印』されててぇ、見れない項目があってぇ……うあ~どうしよぉ~クエス!(混乱)
……え! もしかしたら、ってなんか思い当たることでもあるのっ、教えてっっ、早くっっっ!!?
……あ゛ぁ? 寝惚けた拍子に『封印』したんじゃないか、ってぇ? …………あたし、本気で困ってるんだけどぉ、なにそのドヤ顔ォ? なに、本気で言ってたの? ねぇ?? 『封印』には設定とか他にも幾つかの工程が必要なわけで……あたしってすっごい器用に寝惚けるにねぇーあっはははは――はァ?
……ううん、謝らなくても大丈夫! 『本気』に対して『てきとう』に返したことなんて、気にするわよ、あたしは――
(ガシッ!!)クエス。あたしが納得できる原因を考えつくまで、円卓からぜっったいに、出さないから、覚悟してね――」