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短編小説

先生、恋人になりませんか?!〜エイプリルフール〜

作者: 雨宮雨霧

日付が変わりまして今日はエイプリルフールです。嘘、をつくのは好きではないしつくことがないんだけどどうしよう?春休みだから夜ふかししてもいいんだよ。少し遅めに起きてもなにも問題がない。ずっと春休みならいいのに。

「エイプリルフールですよ。」

「へぇ。」

SNSのタイムラインに流れていく嘘を見ながらスクロールしていく。これといってつく嘘がないからなにかいい嘘ないかなと思って探し中。つかなくてもいいんだけどね。

「嘘はつくものじゃないよ。何のために嘘つくの?」

そのとおりです。わざわざ嘘をつく必要なんてないし人が幸せになる嘘ってなにか分からないし。相手のためにつく嘘ならともかく相手を騙すような嘘はあってはならない。先生に嘘をつくことはしません。つきません。ついたら怒られる。

「叶、向こうに桜咲いてる。」

「本当ですね、知らなかった。」

ベランダから見える桜は遠いけど満開になっているのが分かる。もう春か、早いものだ。ベランダで洗濯物を干しているのになんで気付かなかったんだろう。先生のおかげで気付けたよ、ありがとう。私の知らない景色を見せてくれる先生がとても輝いて見える。ずっと一人だったら気付けなかった景色に想い。春のやわらかい風が頬を撫でるように流れていく。先生の片手にお酒があるのは気にしないで横顔を見つめて。嘘なんてなくても幸せになれる、先生と一緒だと不思議と心が温かくなる。先生が好きだよ、これからもずっと。

「ずっと綾音様と居たいです。」

「そう?それなら一緒にフリスビーでも。」

「なんでそうなるんですか。」

夜の公園(深夜バージョン)でなぜかフリスビーをやります。嘘じゃなかった、本当にやる羽目になった。楽しいからいいよ、いいんだけどね。なんで深夜に遊んでいるんだろう。夜桜は珍しい客人が来たと思っているんだろうな。非日常で楽しいから全然いいし先生と私以外人が居ないからなんか背徳感があっていい。謎の背徳感。先生は私の大切な人なので誰にも指一本触れさせたくない。無理なのは分かっている。分かっているからそう思うんだ。ちなみにフリスビーは相変わらず下手。運動音痴が更に増している気がする。もうこれから運動音痴を極めようかな。

「暑いね。」

暑くないけどなと思っていると先生に抱きつかれた。暑いのに抱きつくんだ、先生はかわいいね。肌寒いから抱きついてきたことくらい私でも分かる。幸せな嘘、幸せでしかない嘘。そっと頬をよぎる風が涙を誘ってくる。泣きたいんじゃない、ただ幸せなだけ。野原に寝転んで見上げる月と星と桜。時が止まってくれたらいいのに、この幸せをずっと覚えていられたらいいのに。固く繋いだ手は嘘なんかない。それ以上にもっと、素敵なものだ。

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