天才の代償
体調を崩していたので初投稿です。
ミカ・バレッジ、アリシア・バレッジの子孫であり生まれ変わりとも呼ばれるほどの天才発明家にして科学者である。また、彼女は容姿も非常に整っている徹底ぶりである。
しかし彼女のことを語る際に必ずと言っていいほどに付け加えられる言葉がある。
――あの性癖さえなければ、と
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……ついてしまった。そう呟き僕は目の前に佇む仰々しい建物を見上げる。
――第七兵器開発局、通称『変態課』
「……いきたくない…」
情けないことに僕はまだミカと今回の件で関わることに対して渋っていた。そもそも『変態課』の面々と関わりあいたくない…。僕として彼女たちに関わること自体が『平穏に波風立てずに暮らす』という僕のポリシーに反するのだ。最も、セイラという爆弾を拾ってしまった時点でこうなることは半ば予想は出来ていたが……。
「でもなぁ…、やっぱり気が重い…。しっかしあの人以上に今回の件の適任がいないのも事実なんだよなぁ……、はぁ…」
しかしいつまでもこうして突っ立っているわけにもいかない。セイラとの約束がある以上僕も覚悟を決めるべきだろう。
そうして僕がドアをノックしようとしたその時――
ドオオオオォォォォン!!!!!
建物の中から爆発音があたり一面に響き渡った――
「……」
言葉が出なかった、流石に爆発が起きるような実験はここではしていないはずじゃないか…?
ふいにドアが開き困惑する僕の前に体中を真っ黒にした女性が倒れこんでくる。その女性は僕を見上げて驚いたような声を上げた。
「あーー!!ノア君じゃないか!!ずいぶんと久しぶりじゃあないか!」
「……はい、お久しぶりです、ミカ先輩…」
「なんだいなんだい、先輩だなんてずいぶんと他人行儀な呼び方じゃないか!君とボクの仲なんだし呼び捨てで呼んでくれといつも言っているだろう!」
「はいはい、わかりましたミカ先輩」
「まったく……、ホントに君はボクのことが苦手だよねぇ?」
「自覚があるならやめてほしいんですが……、そんなことよりそんなところに転がってたら汚いですよ。ほら、起きてください」
「もう全身真っ黒だし変わらないだろう?ボクはもう眠いんだよ……ふわぁ…」
「ちょっと!こんなところで寝ないでください!…ああもう!」
僕は先輩を担ぎ上げ開発局の中に入っていくと建物内の一部は先ほどの爆発によって焦げている部屋もあったが、幸いにも建物自体は無事のようだった。音に反して衝撃は大したものでもなかったのだろう。爆風などもなかったので窓も無事だった。
あのから、僕は眠ってしまった先輩をベットに下ろし散らかってしまった部屋の掃除を行っていた。
「ふぅ、とりあえずはこれでいいか」
掃除といっても散らばった器具や書類を片付けただけだが話し合いが出来る程度には部屋も片付いてきた。先輩が起きるまでもう少し掃除をしておこうかと立ち上がると僕に声が掛かった。
「いやいや、ボクはホントにいい後輩を持ったものだ」
「起きてきたんですか先輩、もう大丈夫ですか?」
「うん、心配をかけたね。ここ数日ろくに寝ずに実験ばかりしていたものだからついつい間違えて爆死するところだった!いやー、すまないすまない!」
先輩はそういって笑っているが普通に笑い事ではない。ミスが大きすぎる、ホントに何考えてんだこの人。
「いえ、まあ、大丈夫ならよかったです。」
「――で?今日はボクになんの用かな?用もないのに君がボクのところに来るわけがないからね」
先輩は微笑みながらぞっとするような目で僕の顔を覗き見る。だから苦手なんだ……。
「察するに君が知りたいことには彼女たち『魔法少女』がかかわっているんだろう?」
「ーーッ、バレてますかやっぱり」
「まあボクは君がボクのことが苦手なのを知っているからね。このボクに聞きたいことなんてそれくらいだろう」
「……『葬送の魔法少女』のことを教えてください」
「ふうん?『葬送の魔法少女』か、つい最近捕縛したとは聞いているけどね、まだボクは会えていないよ?」
「大丈夫です。情報をください、報酬は払います」
先輩は少し考え込むようなしぐさをして押し黙る。ほどなくして顔を上げて僕に答える。
「うん、いいよ。聞きたいことがあれば何でも聞いてくれたまえ。この私ミカ・バレッジの知識を必要だと君がいうのなら僕はそれにこたえようじゃないか」
「……ありがとうございます。じゃあ報酬はどうしますか、一応僕に出来ることであれば手伝います」
「いいよぉ報酬なんて、君と話が出来ればね。それは十分報酬になり得る。ただし!!お話は二人ではなく三人でしようか」
「……?」
「おいおい、とぼけないでくれよ。いるんだろう?」
「いや、だから何がですか」
「魔法少女」
「…はぁ……、やっぱり誤魔化せませんでしたか」
仕方ない、あきらめよう
「ふふ、じゃあいるんだね?」
「はい、その娘との約束のためにも協力してくださいね」
「もちろんさ!!!ああ楽しみだ!なにをゆっくりしているんだいノア君!!速くボクをその娘のところへ案内したまえ!!!」
「わかりました…、って、ちょっと!押さないでください!危ない!」
「ええい!!うるさい!!!今行くからな、待っていてくれよ!ふふふふふふふ……」
そういって先輩は気持ち悪い笑みを浮かべながら走って行ってしまった。
これが『天才ミカ・バレッジ』こと『天才ミカ・バレッジ』である。
ミカは書いていて楽しいキャラですね。
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