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共同戦線

実質的な第一話なので初投稿です。

読みにくいなどご指摘もお待ちしています。

 結局あの後は普段よりかなり遅めの帰宅となってしまったが無事帰宅することができた。

彼女は僕の部屋の二階のベッドへと寝かせてある。彼女の傷は僕の見立て通り軽い打ち身程度で深刻な傷は一つもなかった。あと1~2時間もすれば目も覚ますことだろう。


「さてと…夕飯でも作って時間でも潰すか……彼女が起きないことには事態の把握も出来なさそうだしね」


 そうして僕は二人分の夕飯を作り始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「こんなもんでいいか…」


 適当に作ったものだけど男の一人飯なら十分だろう……

 そろそろ彼女も目を覚ましていいころだと思うし。


「んん……」


 二階からかすかに声ともにガタッという音が聞こえてきた。目が覚めたのかな…

 二人分の夕食を持ち二階へと上がっていく。


「――おはよう、気が付いたみたいだね」

「……あなたは?」


 彼女は僕に疑うような怪訝な目を向けてきた。


「安心していいよ、少なくともここは軍の施設ではないし、君を今すぐどうこうしようという事もないから」


 テーブルに持ってきた料理をサイドテーブルに並べながら僕は彼女に今は敵意がないことを示す。

 こんな狭いところで魔法少女に暴れられでもしたら僕の命が危ない。

 僕の言葉で少しは落ち着いたのかむけられる視線の敵意が薄まった。


「まずは、お互いの自己紹介から始めようか。僕はノア、軍の蒸気整備士だ。君の名前を聞いてもいいかな」

「……。セイラです。ありがとうございます、助けてもらった…んですよね?」

「成行きの自己保身が第一だよ。あのままじゃ僕も軍に捕まっていたからね…。それよりも、君は…クリアの魔法少女だよね、どうしてあんなところに、っていうのは聞いてもいいことかな?」


 彼女セイラは僕に魔法少女だという事を指摘されると途端に顔を険しくする。

 それもそうだろう、僕の住んでいるこのギリング帝国とセイラの魔法国家クリアは数百年にわたり戦争を続けている。曲がりなりにも軍属の僕にとって彼女たち魔法少女は敵兵であり決して危険を冒して匿い料理を宿と飯を提供するような相手ではない。


「恩着せがましいことは言いたくないけれど僕は君を助けた、通報するにしろ見なかったことにするにせよ少なくとも納得できるだけの情報が欲しい」

「…わかりました。お察しの通り私はクリアからやってきた魔法少女です。この国には人を探しに来ました」

「…人?」


 僕はてっきりクリアからの侵攻兵か何かだと思っていたけれど……。


「人探しってことは君はクリアから指示を受けたわけではない…?」

「はい、私は私の親友がギリングの軍に捕まったと聞いて助けに来ました。」

「助けに…って君一人で?それは…ずいぶんと…無茶なことをするもんだね」


 敵国に乗り込むことすら普通に考えればとんでもないことだが、単身しかも独力で軽く二~三百キロ先の国に入り込むとかこの娘はいろいろと普通じゃない。

 それにしても捕まった親友、か…。確か2週間ほど前に捕虜の魔法少女の噂を耳にした気がする。


「セイラ、君の言う親友ってもしかして『葬送の魔法少女』のことだったりする?」

「!!、お、お兄さんはルナのこと知ってるんですか!?」

「いや、ルナって娘のことは知らないけど最近捕縛された魔法少女の噂を聞いたからさ」

「お、お願いします!ルナのことを教えてください!」


 ずいぶんとその『ルナ』という娘のことを助けたいらしい。

 ただ、僕は一応軍属なわけで敵国の兵士に情報を渡す事は出来ない、僕も噂ぐらいしかその娘のことは知らないし。さてとどうするかな…。


「んー……確認なんだけどそのルナって娘を助けた後はどうするつもりなの?」

「それは…えーと、ふ、二人で逃げて国に帰ります。」


 ……多分ノープランだな…。僕にもわかってきたけどこの娘かなりの直情型の性格をしている。

 となるとこのまま放置して捕まったりでもすれば僕のところまで芋づる式に足がつきかねないな…。仕方ない、かくなる上は…。


「お兄さんに迷惑は掛けません!私一人でも「いいよ」……えっ?なんて?」

「いやだからいいよって。ルナ…だっけ?その君の親友の魔法少女を助けるのに協力するよ」

「い、いいんですか!?軍の人間のお兄さんは動いたらまずいんじゃあ……?」

「乗りかかった船だしね……、それに君が軍に捕まったりすると僕もヤバいんだよ」


 正直僕のほうから軍にバレる分にはいくらでも言い訳も出来るかもしれないがセイラのほうから僕の名前が出ると誤魔化しようがない、最悪反逆罪の適用で即死刑もあり得る。

 ならすこしでもリスクの少ないほうに逃げたい。

 僕がセイラにその考えを正直に伝えると。


「お兄さんは私の命の恩人です!お兄さんのことは絶対話しません!!」

「感謝してくれるのはうれしいけどね、正直僕は君のことを信用してるわけじゃない、この申し出は君の監視の意味もあるんだよ。最初に言っておくと僕は君が君の親友を助ける以外のことをしていることに気づいた時点で君のことは軍に通報させてもらう。もし、本当にそれでもいいなら僕は君に協力するし、君と君の親友がこの国を出るまで君のことは口外しないことを約束する」


 僕の生死がかかわってくる話だ、なあなあには出来なかった


「……わかりました、お兄さん。私はルナを助けたい!私達がこの国から逃げるのを手伝ってください!!」

「わかった、僕も早くいつもの日常を送りたいからね、君たちの逃亡に協力する」


 そうして僕たちは戦争中の敵同士でありながら自分の、そして自分の大切な人のために手を取り合い握手をする。


「よろしく、セイラ」

「よろしくお願いします、お兄さん」

「ノアでいいよ、敬語もいらない。ほとんど年も変わらないだろうし」

「そう?じゃあ改めて、よろしく!ノア!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 と、いい雰囲気だったはずなんだけど…「ぐぅ……」という腹の音によってそれまでの雰囲気は消え去ってしまった。もちろん僕ではない。


「……ごはんにしようか、ありもので悪いけど」

「………はいぃ…」


 消え入りそうな声だった。

本日のノアの献立、5日ほど前に買った野菜を入れた適当パスタと野菜いり塩スープ


ノアは料理は出来るけど冷蔵庫をきれいに使えないタイプ

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