第七話:魔法を覚えよう①
一週間も薬草摘みをしていると段々慣れてきた。
半日程で10束を集められるようになり時間も出来てきた。
相変わらず10束以上運べないという問題はあるし、討伐系のクエストもEランクからしか受けられないので、根本解決には至っていないけど。
そんなこともあり、そろそろ魔法を覚えようと思い、魔法の講習を受けることにした。
ギルドの受付でコーデリアに魔法を覚えたいことを告げると、すぐにギルドの奥へと通された。
どうやら魔法の講習は別の人から教えてもらうみたいだ。
ギルドの奥へ行くと、そこは中庭のようになっていて、赤髪のスラっとした女性が立っていた。
「こんにちは、魔法講習を受けに来た冒険者のキョウスケです。」
「講師のアイリーンだ、よろしくな。普段はBランク冒険者をしている。お前、ワタリドリなんだってな。しかも天属性しか適正が無いなんて、聞いたことないぞ。今から教えるのが楽しみだ!」
そういうとアイリーンはわはは、と豪快に笑った。
脳筋っぽいけど、大丈夫か?
アイリーンは隅にあったボードに文字を書き始める。
ちなみに、この世界の文字は見たことない文字だが、なぜか不思議と読める。
女神の加護的なやつかもしれない。
一通り書き終えると、アイリーンは俺の方に向き直って少し真面目な顔をする。
「さて、早速始めようと思う。まず、各々には六方元性に対する資質があることは聞いていると思うが、今日は魔力の使い方から教えようと思う。キョウスケ、そもそも魔力とは何に使うと思う?」
「えっと、魔法を使うため、じゃないですか?」
急な問いかけに驚きつつも、思ったことを答える。
「半分正解だ。」
アイリーンはまるで待っていたかのように、にやりと笑う。
うぜえ。
なんだろう、バトル系のラノベだと身体強化にも魔力を使っていたりもするな。
「身体強化、とかですか?」
「お、正解だ。良く知っていたな。」
おっし!
本の世界の知識が役に立ったな。
アイリーンは少し悔しそうにしつつ、説明を続ける。
「キョウスケがさっき答えたように、魔力には魔法を使うための魔導的用法と、身体強化のために使う闘気的用法がある。つまり、仮に剣士のような道を選ぶにしても、魔力の使い方をしっかりと覚える必要があるってことだな。」
なるほど。
強そうだから、俺も肉弾戦が出来る闘気タイプが良いな。
「で、だ。魔力適正と同じように、魔導系に適しているか、闘気系に適しているかは生まれつき決まっている。今日はそれを見極めようと思う。ちなみに私は見た目通り魔導系だ!」
アイリーンはふふん、と胸を張る。
いや、めっちゃ肉弾戦得意そうですけど。
なんてことを考えながらアイリーンの説明を聞く。
「どうやって見極めるんですか?」
「それはな、この振り子で見極める。振り子をもった状態で魔力を流して、右回りに回れば魔力的用法、左回りに回れば闘気的用法に適正があることが分かる。さっそく試してみるぞ。」
そう言ってアイリーンは振り子を手渡す。
振り子を受け取って、俺は魔力を流してみる。
いつものように、蒸気が体を覆うような感覚と同時に、振り子が右回りに回り始めた。
「お、キョウスケは魔導系だな。」
ちょっと残念だ。
身体強化しまくってモンスターをバッタバッタと倒したかったな。
ま、でも魔法が使えるってことならそれはそれでありか。
「魔導系だと闘気は使えないんですか?」
「ああ、基本的には使えないな。逆に闘気系は魔法も使うことが出来る。」
なにそれずるい!
闘気系が最強じゃないですか!
俺も闘気系が良かった。
「まぁ闘気が使えると、筋力を向上させたり、防御力を上げたりできるから便利なのは確かだ。ただ、少しコスパは悪いが身体強化する魔法を覚えることもできるし、そう落胆しなくても大丈夫だぞ。むしろ、魔力系だといろいろな魔法を覚えやすくなるから、便利だぞ。」
俺の気持ちを察したかのうようにアイリーンが付け足す。
そんなものなのか?
納得したようなしないような。
とりあえず、最後まで説明を受けるか。
「じゃ、説明を続けるぞ。」
そう言って、アイリーンは説明を続けた。
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