第十四話:ゴブリン退治へ行こう
「あ、やべ遅刻!」
朝日で目が覚めたが、昨日遅くまで考え込んだり準備したりしていたせいで若干寝坊する。
社会人としてあるまじき失態!
すぐに着替えて顔を洗い、朝食を食べると急いで待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所はギルド前だ。
*
ギルド前に到着すると、既にみんなが待っていた。
「よ、キョウスケ、遅かったな!」
「キョウスケさん、おはようございます」
「おはようございます。すみません遅くなって。……て、あれ、エレノアは?」
よくよく見るとアカネとコウスケだけが揃っており、エレノアの姿が無かった。
あれ、これもしかして急がなくて良かったやつ?
「エレノアなら、武器屋に寄ってからくるって。あいついつも時もマイペースなんだよなー」
「いいじゃない、急ぐ必要もないんだし。ね、キョウスケさん」
「ああ、そうだな」
とりあえず自分が最後じゃなくて良かった!
元社会人にもかかわらず、パーティに入った翌日に一番後に到着するのはちょっと恥ずかしい。
そんな感じで一先ず三人でエレノアのことを待つことにした。
ふと、ワタリドリの二人とエレノアがどうやって出会ったのか気になった。
無言のまま待っていても気まずいので、聞いてみる。
「そういえば、二人はどうやってエレノアと出会ったんだ?」
「あ、まだ話していませんでしたね。私とコウスケは、3か月程前に二人でこっちの世界に来たんですけど、冒険がなかなかうまくいかなくて。なんとかスキルの発現まではいったんですけど、Eランクが上がっても、思うように魔物退治が出来なくて困っていたんです。そんな時に、旅でこの街に来ていたエレノアと出会って助けてもらったんです。彼女、見かけによらず面倒見が良くて」
「ほんと、資金も尽きかけてたし、エレノアと会わなかったら今頃どうなってたかと考えると、ちょっと怖いよな」
コウスケがいたずらっぽく笑う。
「ほんと、笑いごとじゃなかったんだけどね……。で、そんな感じでエレノアと何度か冒険していくうちに、自然とパーティを組むようになったって感じですね。ちょうどエレノアも防御や回復が出来る人を探していたみたいで、私たちのスキルがうまくハマったってのもありますけど。」
「なるほど、そうだったのか。本当に良い出会いだったんだな」
正直、エレノアにことは少しあたりがキツいタイプかな、と思っていたが、そうではなかったようだ。
ほら、あんまり美人だときつそうに感じるし。
でも、面倒見がいいならなんだか安心だ。
それにしても、確かに高校生二人が急に異世界に放り投げられたら苦労もするよな。
なるべく高校生らしく、楽しく冒険が出来るように俺もフォローしなきゃな。
なんてことを考えているうちにエレノアが来た。
なんだか大荷物を抱えている。
「ごめん、待たせちゃったかしら?ちょうど矢も無くなってきたところだったから、補充ついでにいろいろ買っちゃった。あ、そうだキョウスケ、矢を沢山買っちゃったから持ってもらってもいい?」
あの大荷物は矢だったのか。
エレノアから矢の入った筒のようなものを受け取る。
結構重い。
「ああ、任せてくれ」
「ありがとう!ほんと、輸送スキル持ちがいてくれると便利!」
前言撤回。
意外と甘え上手でしたたかなのかもしれない。
さて、全員そろったので、早速クエストの目的地まで向かうことにした。
今日は街道に沿って歩いた先の森まで向かうことになっている。
クエストの依頼書によると、先日、ゴブリンが集落を築いている可能性があるという連絡があったそうだ。
森は街から徒歩で大体2時間程の位置にあるようだ。
ゴブリンは基本的には臆病なので、街を襲うといったことはないようだが、時折旅人や行商人を襲うことはあるらしい。
そんなわけで、調査と討伐が依頼されたという訳だ。
クエストの依頼書を読みながら、徒歩で目的の森に向かう。
天気も良く、絶好の冒険日和だ!
ただ、この世界の靴って底が薄くて疲れるんだよな。
ゴムでも発明したらおお金持ちになれそうなのに……。
なんて想像するが、化学に関する知識は受験と一緒に過去に置いてきたため、そんなことは出来そうにない。
とにかく今は地道にクエストをこなして生活費を稼ぐしかなさそうだ。
道中、特に大きな危険もなく街道沿いを4人で歩いていく。
1時間ほど歩いたところで軽く休憩することにした。
あらかじめ宿で飲み物をもらって入れておいたので、みんなに振る舞う。
「うまい!やっぱり輸送スキル持ちがいると全然違うな!」
「ほんと、生き返ります!キョウスケさんがパーティに入ってくれて本当に良かったです」
「いやいや、その分戦闘ではあまり役に立たないかもしれないしな」
「そういえばキョウスケさんの魔力適正は何なんですか?」
「俺は天属性だ。珍しいとは言われているんだけど、まだ魔法の練習を始めたばかりだから、良く分かってないんだよな」
天属性の魔法は複合魔法にあたるのだが、複合魔法自体が中級からしか存在しないため、まだ習得には入れていない。
一応、上級魔法まではギルドで魔導書を貸してくれるとのことだったので、習得できると思うのだが……。
「へぇ、補助属性に適正があるなんて初めて聞くわ!」
「私も初めて聞きます」
女性陣から驚きの声が上がる。
なんだかちょっと照れくさいが、悪い気持ちじゃない。
「なるべく早く複合属性の魔法も覚えて、貢献できるように頑張りますね!」
「はい、楽しみにしてます!」
「そういえば、みんなの魔力適正はどんな感じなんですか?」
せっかくなので聞いてみる。
今後の連携のためにも、みんなの魔力適正を覚えておくことは重要だ。
「そういえば話してなかったわね。私の魔力適正は風よ。闘気系だから、中級の風魔法が使える程度よ。」
「私は水属性です。魔力系で、一応水属性だけ上級魔法が使えるのと、癒属性の中級魔法が使えます。もし怪我をしたら、何時でもいってくださいね」
「俺は火属性だ。そして俺もエレノアと同じく闘気系で魔法は……まぁこれからだな」
「もう!生活魔法くらい覚えてっていつも言ってるじゃない!自分で髪も乾かせないんだから」
「いやーごめんごめん!」
まじでお前ら夫婦なのか?
日本では仕事ばかりで彼女もいなかった俺は遠い目で二人を見る。
早く爆魔法を覚えて爆発させてやりたい!
……あ、俺は爆属性を覚えられないのか。
残念。
そんな感じであっという間に休憩は終わり、また街道沿いを歩き始めるのだった。
ここまでお読みくださってありがとうございます!
また、いつも読んでくださっている方は本当にありがとうございます。
本話から、本格的にパーティでの冒険となります。
まだまだ表現が拙い部分などあるかと思いますが、引き続き応援頂ければと思います!




