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第十二話:はじめての討伐クエスト

スキルが発現してから、クエスト効率が飛躍的に向上した。

これまでの数倍のヒール草を一度に採取できるようになり、一気に懐具合も改善した!

やっぱりお金ってものは心を豊かにするな。

この頃は宿の夕食に麦酒を追加してもらっている。

労働のあとの酒は最高にウマい!!


あとは、魔法の練習も続けていたので、苦戦していた地属性の下級魔法、ソイルも習得出来た。

ソイルはその名の通り、土を生成する魔法だ。

はっきり言って今のところ実用性はない。

いや、もし俺が農家だったらめちゃくちゃ重宝すると思うんだけど、冒険者をやっている分には不要そうだった。

でも冒険者に疲れたら農家をするのもありかもしれない。

異世界農家は良くある設定だしな!


これで生活魔法は網羅出来た。

とはいえ、生活魔法だけではあまり冒険に役立たないので、アイリーンから中級の魔導書を借り、魔法の練習を続けた。


どうやら俺は火と風属性の魔法と相性が良いらしい。

魔導書を読み始めてからすぐに火属性の中級魔法、『ファイアアロー』を習得することが出来た。

六方原性は近接する属性ほど習得しやすいって話なので、天に近接する火と風は覚えやすいのかもしれない。

あとはゲームや漫画でイメージがしやすくなっているってのもありそうだけど。


そんなこともあって、俺はついに魔物討伐のクエストを受けることにした。

どんなクエストから受ければ良いか分からないので、いつものようにコーデリアさんに聞いてみる。



「こんにちは。魔法もある程度覚えてきたので、そろそろ討伐クエストを受けたいと考えているのですが、おススメはありますか?」

「キョウスケさん、こんにちは。はじめての魔物討伐であれば、ラビリスの討伐がおすすめですよ。危険も少ないですし、キョウスケさんでも十分倒せると思います。あと、ラビリスのお肉は美味しいので、損傷が少なければギルドでの買取もできます。こちらが手配書になります」

「ありがとうございます」


コーデリアから手配書を受け取り、確認する。

ラビリスというのは名前の通り、うさぎとリスの中間のような魔物だった。

「これ、狂暴だったりしますか?」

「いえ、そんなことないですよ。ただ、群れで生息していることが多く、群れている時は攻撃的になりやすいので注意してください」


群れると厄介ってことね。

覚えておこう。


「わかりました。ありがとうございます」

「ぜひスキルを使って沢山持って帰ってきてくださいね。いってらっしゃい!」


コーデリアさんに礼を告げて、いつもと反対側の門から街を出る。

反対側は主に商業地区となっていて、多くの露店や商店でにぎわっていた。

そういえば、こっちの方にはあまり来たことが無いな。

手配書によると、どうやら商業地区を抜けた先に畑地区があるのだが、そこの野菜をラビリスが食い荒らしていることから討伐対象になっているようだった。


衛兵にギルチョを見せて街を抜けると、早速一面に畑が広がっていた。

ちらほらと農作業している人が見える。

何人かに声をかけ、目撃情報を聞くと、少し先の茂みの中に住み着いているらしい。


ラビリスを探しながら、はずれの茂みの方に行くと数匹のラビリスを発見する。

あれがラビリスか。

ってか意外と大きい!

大型犬くらいあるぞ!


逃げないようにそっと近づく。

――と、足音でラビリスに気付かれる。

やばっ、と思った時にはすでに遅く、振り向いたラビリスと目が合う。

あ、やばい、逃げられるか?

そう思った時、「シャーっ!」と牙をむき出し、こっちに向かってきた!


コーデリアさんの嘘つき!

めちゃくちゃ好戦的じゃないか!

初めての魔物の迫力に驚き、俺は思わずその場を後に逃げ出す。

逃げながら後ろを振り向くとラビリスが3匹程追いかけてきていた。

怖い怖い怖い!

しかも結構足早いじゃん!

逃げてばかりでは追いつかれてしまうので、走りながら習得したばかりのファイアアローの詠唱をする。


「炎の矢よ、颯の如く敵を撃て。ファイアアロー」


振振り向きざまに魔法を発動させる。

手から矢のような形の炎が射出され、ラビリスの1体に命中する。


「ぎいいいぃぃ!!」


命中したラビリスは炎に包まれながらしばらく悶えたあと、動かなくなり絶命した。

Eランクの魔物なだけあって、防御力は低いらしい。


「はぁ、はぁ、何とか倒せた」


はじめて命を奪ったことに多少の罪悪感を覚えつつも、魔物を倒したことによる充足感を感じる。

ちょっと可愛いそうだけど、お互い生きていくためにしょうがないよな。


その調子で残りのラビリスを倒した。

本来は右耳を持ち帰れば討伐自体は成功なのだが、持ち帰れば買い取りもしてくれるということなので、ラビリス3体を鞄にしまうとギルドに戻った。



「ただいま帰りました」

「おかえりなさい。お怪我はありませんか?」

「はい、なんとか。3匹だけですが、倒すことが出来ました」

「まぁ、おめでとうございます!」


そう言って、俺は鞄から丸焦げになったラビリス3体をカウンターの上に出す。


「丸焦げにしちゃいましたけど……」

「あら、ほんとですね。一応キレイな状態であれば毛皮も買い取りが出来るのですが、この状態だと難しそうですね。でも、お肉は無事そうなので、その分の買い取り額を上乗せさせていただきますね」


確かに、火魔法だと毛皮がダメになるのか。

ちょっと盲点だったな。

今度から気を付けよう。

確か風属性であれば敵を切り裂くような魔法があったはずだ。


しかし、比較的弱い魔物だったから良かったものの、さすがにこれ以上は一人ではちょっと怖いな。


「ところで、コーデリアさん、以前話していたパーティーの件、紹介してもらうことって可能ですか?やっぱり討伐クエストをこなすには一人は心もとなくて」

「もちろんですよ。ちょうど、キョウスケさんのような方を探しているパーティーがあるんです。明日紹介するので、お昼ごろにギルドに来ていただけますか?」


お、早速いるのか!

いいタイミングだ!


「ありがとうございます。分かりました。では明日昼頃にまた来ますね」

「はい、お待ちしています」


にっこりと笑うコーデリアさんを後に、宿へと帰宅した。

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