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口減らしとして生贄にされた私はひょんなことから魔王殺しの神と共に過ごすことになりました

作者: 遠野紫

深夜テンションで書いた。

 この村では数年に一度、神に少女を生贄に出さねばならない。


「今回の生贄は……悪いが君に決まったのじゃ……」

「そう、ですか……」

「本当にすまぬ……」


 私が生贄に選ばれたのは、この村でただ1人の少女であり長女だからだ。

 だから、物心ついた頃にはこうなることがわかっていた。

 それでも、やっぱり怖いよ……。


ーーーーーー


「……」

「本当にすまぬ……」


 村長はそれしか言わない。

 それもそうだ。下手なことをすれば、村の者の怒り、もっと言えば神の怒りを買うかもしれない。

  

「私は村を救うべく、神への捧げ物となります。皆様、今までありがとうございました」


 私を山奥に置いて、村の者は帰って行った。

 わかっている。どうせ神なんていない。所詮は口減らしのための口実なのだろう。

 実際山奥から少女の遺体が見つかることもあったらしいが、見なかったことにされている。


「はあ……私もここで餓死するのかな」

「おや、君は」

「ふぇっ!?」


 気がつくと、目の前に誰かが立っていた。全く足音も無く、すぐそばまで近づいてきていた。

 理解するより早く、感じた。目の前にいる存在は人間では無い。


「……あなたは……?」

「そうですね……。神……なんて大層なものでは無いですが、まあ同じ用なものだと思ってもらえれば」

「そうですか……」

「ところで君こそなぜこんなところに? この辺りには魔物も多く危険ですよ?」

「私は……」


 私は、村のしきたりのことについて教えた。


「それはむごいことを……。ですが、村の維持も大変ですからね……一概には何とも……」

「はい……村長や村人は決して悪い方たちではないんです」

「そうですね。君の言葉からも、本心からそう言っていることがわかります。ところで、この後君はどうするのですか?」

「私は……飢えて死ぬか、魔物に食い荒らされて死ぬんだと思います」

「……」


 彼は一瞬神妙な顔をして考え込んだ。

 いや、顔は見えてないけどそう言った雰囲気がした。


「本来は良くないのですが、ここで会ったのも何かの縁。私と一緒に来ませんか?」

「え?」

 

 想像もしていない答えだった。神ってもっと自由奔放で人の事なんてどうでもいいみたいなところがあるのかと思っていた。


「いいんですか……?」

「もちろんですよ」

「それでは……お言葉に甘えますね」


 どうせここに居ても死ぬ未来しか見えない。なら少しでも可能性のある方に賭ける。

 でも、食物として連れて行かれる可能性もあるのか……。

 まあ遅かれ早かれ死ぬと言うことで……。


「そんなに緊張しなくても。取って食べたりなんてしませんよ」

「そ、そうですか……はい。」


 よかった。少なくとも食物ではないらいし。


ーーーーーー


「ここが私の家です。あまり広くはありませんが、どうぞ」

「はい。おじゃまします」


 少し広めの広間に、部屋がいくつか。

 全くの貧乏小屋と言うわけではないが、豪勢なお屋敷と言うほどでもない。

 神様のようなものなら、もっと凄いところに済んでいるのだと思っていた。


「物置に使ってしまっている部屋が多くて……空いている部屋はここしか無いのですが」

「いえ、そんなお気になさらず!」

「そう言ってもらえると助かります。それでは私は夕飯の準備を始めますので少し失礼しますね」


 そう言うと彼は行ってしまった。


「……ひとまず、部屋を見てみようかな」


 部屋には布団と箪笥。そして魔石で光る魔力灯が置いてある。


「これ、魔力灯だ。魔石を使うからとても高いんだよね……」


 良く見れば、布団も箪笥も使用している素材はかなり高価なものだった。

 建物こそそこまでのものでないが、家具などの普段使いするものには拘っているのが窺い知れる。


「……私はどうすれば良いんだろう」


 このままここで何もかもを与えられるだけの生活をするのか。

 でも、それは出来過ぎてる気がする。


「何か、出来ないかな」


ーーーーーー


「それではいただきましょうか」

「はい。いただきます」


 彼が作ってくれた夕食は、男爵イモを使ったスープに川魚の塩焼き。いたって普通の人間用の食事であった。

 付け焼き刃で作ったものでも無いだろうし、普段からこのような食事なのだろう。


「……美味しい」

「それは良かった」


 村周辺のものとは全く違う、素材そのもののランクが違う気がする。


「人に料理を振る舞うのは久しぶりですから、緊張してしまいましたよ」

「そうなんですか?」

「はい。ここに来て早数十年、長いこと1人で暮らしてきましたからねぇ」


 数十年。やっぱり寿命のスケールが人間とは違うんだ。


「気分を害してしまったら申し訳ないのですが、あなたは一体何者なのでしょうか……」

「確かに、今の今まで忘れていました。そうですね……私の姿をまだ見せていませんでしたね……」


 彼は顔を覆っているベールを取る。

 するとそこには、山羊のような頭骨があった。

 高位アンデッドかとも思ったが、通常の食事を取っている辺りそうでは無いのだろう。

 だが、大事なのはそこでは無い。


「……超タイプです」

「……そうですよね。この顔は恐いですよね……え?」

「そのスラッとした輪郭の曲線美。見事なまでの角。間違いなく私のタイプです!」

「えっ……えぇ?」


 私はドが付く頭骨フェチであった。

 アンデッド系亜人種の本を何冊も持っており、その数は10冊を超える。

 このフェチもあり、私は一部から悪魔崇拝者の疑いをかけられていた。

 つまりは私以外に生贄の対象がいたとしても私が選ばれていたであろう。


「私のこの顔を見ても恐くないのですか……?」

「恐いどころか、すっごく好き……です」

「そこまで言われるとなんだかむず痒いというか、君の目線を浴びると寒気すら感じますね……」

「あの、私をあなたの妻にしてくれませんか!」

「妻!? えっと、その……いきなりのことで少し、いえ大分驚いているのですが、私なんかで良いのですか?」

「なんか、じゃないですよ。あなただから良いんです!」

「その覚悟、本物のようですね……。はい。いきなりのことでは有りますが、よろしくお願いしますね」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 こうして私は彼の妻として生活を共にすることになった。


ーーーーーー


「凄い手際ですね」

「料理や洗濯など、家のことを任せられていたので……」

「それは頼もしい限りです」

「ありがとうございます……」

「その……先程から何か距離を感じると言いますか……」

「顔が……顔が近くて……////」


 彼の顔が近くて集中できない! 

 格好良すぎる!

 好き! 


「それはすみません!」


 彼は顔を赤くしながら離れる。

 それがまた可愛い!


「その、ここまで人に好意を向けられるのは久しぶりなので」

「そういえば、ここに来る前はどこにいたんですか?」

「そうですね。元々はここから西に行った国で冒険者をしていたのです。ですがある魔王を倒し、『神格』が付いてしまいこの姿に……。当然人々から忌み嫌われ、国を出てこの山奥で暮らしているということですね」

「こんな良い人を国から追い出すなんて……」

「まあ人は自分たちとは違うものを受け入れられないですからね」

「確かにそうですね」


 私も一歩間違えば悪魔崇拝者として処刑されていた。

 村唯一の生贄対象だということで生かされていただけだ。


「私は魔王殺しの神となってしまったわけですが、そのおかげで君と会うことが出来ました。これもある種の運命なのかもしれないですね」

「はい!」


ーーーーーー


「君が私を好きなことは理解しています。ですが」

「はい。なんでしょう?」

「距離を詰めるの、早すぎませんか?」

「二日目なので、布団に夜這いに来ました」

「そんな簡単に体を売るものではありませんよ」

「あなただから……です////」

「……そう言われると困ってしまいますね」

「ねえ……ダメ?」


 渾身の色仕掛け!


「……ダメ……です////」


 惜しい!


「そんなこと言わずに……ね?」

「……」


 ガバッ


「君から誘って来たんですからね」

「……ひゃい」


 押し倒されてしまった。勢いに負けて声が裏返ってしまったけど、結果良ければ全て良し!


「今夜は激しくなりそうですね」


ーーーーーー


「んっんぁ♥️」

「はぁ……はぁ……どう、ですか……」

「凄く気持ちいい♥️ もっと、もっとちょうだい♥️」

「もう、何回目……なん……ですか……」


 私はどうやらとてつもない絶倫だったようで、彼が先に果ててしまった。


「神格化して……いても……限界が……」


 そこで彼は事切れた。


「……その、ごめんなさい」


ーーーーーー


「……昨日は酷い目に遭いましたよ」

「……ごめんなさい」

「これからは回数を決めるのと、日にちもある程度開けましょう。でないと私が死んでしまう……」


 まさか私がこんなに強いとは思わなかった。

 これからは少し自重しないと……。


 そんなこんなで始まった彼との生活。

 これから幸せな毎日を送っていくのだと思うと、胸がドキドキすると共にお腹が疼く。

 あぁ。私って変態。

読み返してみるとなんだコレ。派手にイカれてんな。

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