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終末戦線  作者: ラストリア
プロローグ
1/2

戦線状況 - A

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轟音と悲鳴が轟く。飛び起きた彼の視界に広がるは焦土。

溶けた土の上で黒い狼と煤けた戦士達が咆哮を上げて衝突する地獄絵図を這いずりながら見る。

彼は、その戦士達の同僚だった者だ。

同じ戦場に居ながらもうだったと呼ぶのには理由が有る。

彼の両脚は、もう無くなってしまっているからだ。

戦場を征く脚と武器を振るう腕、これらに欠けが生まれた時点で彼はもう戦士とは呼ばれ得ない人間に成り果てた。



ここは戦場。

人類存亡が懸かる3本目の終末戦線。

現在までに400万人以上が死に絶えた屍体の荒野。

南北に40キロにも及ぶ屍の大地。

体が欠けた時点で帰れず沈むしかない泥沼であるからだ。



焦土の中で、黒い狼は足を踏ん張り、咆哮をあげる。

狼の目前にいた戦士は持っていた盾を掲げるより速く、音圧にて爆ぜて散る。

その咆哮に耳を潰しながら側面にて振われた剣は狼の腹を切り、中身ごと切り裂いた。

咆哮しながら振り向こうとした狼は、痛みにその行動を中断させられた。

腹を裂いた自身の剣に驚きつつも手を返してもう一度と斬りつけようとしたその戦士は高く跳ねた狼により空振り、その頭を踏み砕けれて一瞬の追撃できるかもしれないという油断の代償を支払った。


死んだ戦士を含めて6名の戦士が死に物狂いで狼に抗う。

それは魔法を使えない彼らのできる唯一の行動で有るゆえに。

数秒後の戦場では黒い狼の左耳の真上で剣がぶつかり合い、金属同士の衝突音を撒き散らすという結果をもたらした。

耳が潰れた戦士には何も影響のない音だが、まだ聴こえていた狼にとっては脚がすくむという行動を引き起こさせる音だった。



その瞬間、戦場に生きてる全員は死を直感した。


狼の怯んだその瞬間、遠く、北の森の奥で光が煌めく。

それは破滅の輝き。戦線が焼き爛れている元凶。

全長40メートルを越す森を背負う黒い亀の口よりあふれる太陽の極光。

同じ獣が戦士如きに殺されるのが気に食わないと吠える理不尽な一撃。


摂氏4000度を越す熱線は鍛えられた鋼鉄の戦士も怪我を負った狼を含めた周囲の獣も蒸発させてかき消した。




終末戦線 第8地区 自動報告書

「2231/3/14/17:00/ID43561」

「コードネーム Bwolf 脇腹の切断に成功」

「コードネーム sun 推定4キロメートル北からの射撃」

「コードネーム sun 第7、8、9地区焼却」

「概算4000人の死滅、300名近い軽傷」


「コードネーム sun の思考解析が一段階進行しました。」

「コードネーム sun の形状観測によりコードネームが変更されます。」

「コードネーム sun-turtle の討滅を申請します。」


「終末戦線第7、8、9地区にはアルデヒラ王国より3000名が補給されます。」

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