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凶器  作者: 冬木 詩
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言葉の刃物

重い沈黙の後、通話終了ボタンを押した。何度目だろうか。

人を傷つけたのは。いつも良かれと思って、嫌われたくなくてとる行動が裏目にでる。


何もする気が起きず、ベットに意味もなく横たわる。

言葉は人を救う利器である一方、人を殺す凶器でもる。何気なく放った一言、相手をいたわって発した一言が刃物のように心臓をえぐる。


首に縄をかけて自殺を図った彼女は、偶然にも縄が切れて救われた。そんな話を僕に涙ながらに語った彼女に、死ななくてよかったと僕が心から安堵した彼女に対して僕は言葉の凶器を取り出し、刺した。

本当は救いたかった、力になりたかった。でも、そんな偽善も、結局は僕の自己満足で後々感謝されたいからとった行動だと気づいた。

気づいてしまってからはもうどうしようもなく自分が嫌になり、現実逃避をする様にyoutubeで好きなお笑い芸人の動画を見続けた。こんな時でも芸人に対して笑いを放つ事ができる自分に吐き気がしたが、ほかにやることはない。いつからだろうか。理想の自分と現実の自分が大きく離れていき、嘘や見栄で体裁ばかりを取り繕うようになったのは。いつからだろうか。友人が皆自分の陰口を言ってるように感じ始めたのは。


幼い頃の僕は、それはそれは泣き虫で、家族の大きな愛情を受けて甘やかされて育った。

しかし、幼馴染みの勧めで野球を始めたことが僕の人生の大きな転機となった。スポーツをやる人は大概活発で少し暴力的だ。でも、その活発な世界は幼い頃の僕にはとても魅力的で無理やり活発を演じ、その世界へ足を踏み入れた。とても怖いけれども、楽しい世界。僕は無敵だと思っていた。

しかし、僕の化けの皮は唐突に剥がされた。いじめである。小学3年生の夏に始まったそれは僕の性格を大きく変えた。







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