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頭の痛い日(リンダ視点)


 ここはレンジャー協会にある地下室。

地下にはいくつかの施設がある。射撃場や格闘部屋。魔法部屋などの訓練施設の他、魔獣を隔離しておく部屋や解体部屋などだ。また、その下にも地下は続いており、そちらは牢屋や反省室などもある。


 そしては、私はまだ駆け出しであろう彼女ら二人を施設の中でも一番広い魔法部屋に連れてきた。

 ここであれば、周りの目に晒される事もなく、魔法結界によって衝撃や音も遮断してくれるからだ。

 魔法も上位の魔法使いになるとオリジナル魔法など秘匿したい事が沢山あるため、魔法部屋と呼ばれるものは何処も同じように厳重に守られるように作られている。個人で所有している物は知らないが少なくとも協会や統括で作られているところは信用できる。


「さあ、二人ともこちらにお入りください。」


 そうして、赤髪で赤い瞳の二つ星レンジャーと、金髪の黄色い瞳のレンジャー?ではなさそうな。一つ星の女の子がポシェットに手を入れたまま入ってきた。物凄い勢いで顔を左右とブンブンふってキョロキョロというよりは幼児が嫌だと大袈裟に首を振って主張しているように見えるけど。多分珍しくてキョロキョロして、、いるのでしょうね。


「うわーー。なにここー。なんにもなーい。壁だけ。あっ、でも隅に机がある。」


「ほーんと何にもないね。あっ、ミミリー下手に触っちゃダメだよ。」


「あっ。うん。分かってるよ。」


「では、二人ともこちらに来てください。」


そういうニルに従って、部屋中央に移動してくる。


「では、改めまして。私はここレンジャー協会のクエスト課課長のリンダよ。」


「私は受付のニルです。」


「あ、私は二つ星レンジャーのレイラです。」


「あー。はい。わたしが運び屋のミミリーです。」


「レイラにミミリーね。それで、先程の完了報告の件ですが、早速見せていただけますか?」


 そうして私が即すと、赤髪のレイラに突かれてミミリーという一つ星の運び屋さんがポシェットに突っ込んでいた手で

獲物を掴んで外に出した。

 前足が見えた時点でまさかとは思ったけど今上で騒がれていた、ウィンドリードラゴンが本当に出てきた。しかもまるまる一頭。


 あーーーーー。うん。ドラゴンね。ドラゴンだわ。


「うそーーーーー!ほんとにでてきたーーー。」


とニルも大騒ぎだ。

 やはり、ここに連れてきて正解ね。こんなに大きい個体上で出してたらえらい事だわ。ただのグリーンドラゴンが大体6メートル位に対して、このウィンドリードラゴンは15メートル位はあるはね。尻尾も二本あるし間違い無いわね。


「あ、あの。どう、ですか?」


 ミミリーがおずおずと聞いてくる。


「あー。はい。確かにウィンドリードラゴンで間違い無いわね。」


「うん。そうだとは思ってました。でも…」


「?でも?」


「はい。最初は黄色だったからチャレンジのつもりで仕事受けたんですけど、帰ってきたら赤になってて、それで私達のランクじゃ赤は受けられないじゃ無いですかー?だから、その。。」


「ああ。なるほど。違反した事になるのかと心配しているのね。」


「あー。はいー。」


「ウフフ。大丈夫よ。確かに貴方達のランクでは受けられない仕事だけど、そもそもその、基準は安全面を考えての事だから今回のようなイレギュラーでなら特に問題はないわ。安心して。」


「えっ?ほんとですか??良かったーー。ねっレイラ!」


「うん!!良かったー。じゃあ、無事仕事完遂だね!やったー。」


 と抱き合って喜ぶ二人。


 しかし…このドラゴン。


「でも、二人よくこのドラゴン倒せたね?しかも傷が頭にしか無い。いったいどうやって倒したの?」


 そうニルが言うようにこの個体には傷が頭の一つしかない。こんな倒し方が出来るのは普通五つ星の魔法使いや、投擲が得意な槍術士、弓士くらいね。しかも各協会のトップランカーや様々な職業者を集めたギルドの代表クラスの…


「えっ?倒し方ですか?えーと…。」


とミミリーが話してくれたのはとても信じられない事実。


「えーーーーーー!うそーーーーーー!石でーーー!」


「ほんとですよーー。こういう感じで、えいっ!って。」


 ミミリーがその様子をジェスチャーを交えて教えてくれるがそれってただ投げているモーションを表してるだけで何も特別な事はない。


「リンダさん、どう思いますかー?そんなのないですよねー。」


 ニルも大分興奮してるわね。言葉遣いが…。まぁいいわ。


「確かに信じがたい事ね。でも、これが目の前にあるのも事実。投げ方はともかく恐らくミミリーがもつスキルのせいかもしれないわね。ミミリーはどんなスキルをお持ちなの?あ、個人情報にも当たるから言いたくないなら結構よ。」


「あー。はい。別に大丈夫ですよ。わたしそういうのあんま気にしないのでー。えーと。多分、怪力、だと思います。」


「怪力ですか…。そう。でも、なんの怪力ですか?」


「はい。それがなんの怪力なのかは分からないんです。頭の中で怪力のスキルがあるのは理解できるのですが、なんの。ってゆーのは出てこないんです。」


「わからない。ですか、そんなはずは無いのですけどね。例えば、トロールの怪力とか、虎の怪力とか。珍しいのだとドラゴンというのもあるのよ。だから、何も無いと言うのは聞いた事はないわね。」


「はい。それはレイラにも言われました。だから、職業統括で調べようかと思ってたんです。」


「なるほど。そうね。今後の事もあるからそうした方がいいわね。じゃあ、今回の仕事でのイレギュラーもあるから私から話を通してあげるわ。報酬もあるからね。」


「そっか!報酬!!レイラー。報酬だってー。」


「うん!素材によって値段が違うってあったから楽しみだねー。確か最低で1000リルだったよねー。2000リルくらいもらえるかなー?」


「うん!きっと貰えるよー。」


 なんか凄くはしゃいでるわね。。スキルの内容によっては頭の痛い事になりそうなのに呑気なものね。まだ一つ星の駆け出しちゃん。 それが、ウィンドリードラゴンを一撃で倒したなんて普通じゃないわ。

 

 ただでさえ、今王都は不安定な時にあるのに、火種にならなきゃいいけど。


 決算が近くて、ギルドの優秀なルーキーをスカウトするスカウトシーズン。将来の組織強化にやっきになってる職場学院。様々な思惑が錯綜するこの時期に…はぁ。あまり公にはしたく無いわ。

 でも、あんなに喜んでる姿はなんだか懐かしいわね。私も最初はあんなだったなぁ。リーンやクリス達と一喜一憂したものね。なんとか真っ当に進んで欲しいわね。今時の子にしては二人とも素直だし。


 しょうがない。私が一肌ぬいであげますわ。


「ニル?準備してもらえるかしら?運び屋協会に連絡して依頼主への報酬の見積もりの打診と、職業統括へスキル鑑定とドラゴンバスター報酬の推薦を至急連絡してもらえる?」


「はい!分かりました。リンダさん!」


「ええ。お願い。それから、さん!じゃなくて課長と言いなさい。仕事なんだから。」


「あ、すみません。リンダさ、課長!」


 そう言ってそそくさとニルは出て行った。仕事は優秀なんだけどね。すぐ調子に…まぁ、いいわ。


「では、2人とも私と一緒に来てもらえるかしら?」


「「わかりました!」」

と肩を組んでいいお返事の二人。


「あっ、でもこのドラゴンはどうしますか?」


「ああ。それはこのままで大丈夫よ。この後依頼主主に見てもらうから。では、着いてきて!」


 そうして、二人を連れて統括に向かう。

 そこで、ミミリーのスキル鑑定とドラゴンバスターの面接をしてもらうために。


 まったく。これだから若者は…おっと、こんな事言い始めたら年寄りみたいになっちゃう。まだまだ私は若いわ!






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