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008.三人寄れば…

ミレイちゃん視点です。

【50話:修羅場…?】の裏エピソードです。

アウルが久しぶりに王都から帰ってくると聞いた。最近はエムリアさんに色々扱かれたおかげで、家事も雑事も割と出来るようになった。


アウルの好きだという料理も作れるようになった。さらには女の在り方というか、考え方なんかもエムリアさんに教えてもらった。


エムリアさんの言う通りのことばっかりで、あの人は本当に私の人生の師匠でありいずれは、お、お義母さんになったりするのかな?!


「ミレイちゃん、多分そろそろアウルが帰ってくるわよ〜!」


「はい!私も成長したんだぞってところを見せつけてやります!」


アウルが出ていった後も魔法の訓練はしていた。シアちゃんと一緒にできることはやって来たつもりだ。今では水魔法を困らない程度には使えるようになった。


アウルに比べれば私の魔法なんてまだまだかも知れないけど、それでも使えること自体が嬉しい。


最近だと井戸から水を汲まずに、水瓶に魔法で水を満たすのが私の仕事だ。訓練にもなるし、アウル風に言うと一石二鳥ってやつだ。


「ふふふっ、アウル早く帰ってこないかなぁ〜」


「ミレイちゃんはウチのアウルが大好きなのねぇ〜。あの子もこんな可愛い子に好かれて幸せだわぁ」


ふぇっ?!エムリアさん?!いつの間にそこにっ!


「も、もう!エムリアさん!!」


「うふふ、恥ずかしがらないでいいのよ〜。しかし若いっていいわねぇ…。私もこうやって恋したわね」


本当にエムリアさんって謎が多いというか…。たまに気配消すから困るんだよなぁ。


今度アウルに気配察知の魔法でも教えてもらおうかな?



※※※


アウルがそろそろ帰ってくるとしても私がやることは変わらない。


家の手伝いが夕方には終わるから、エムリアさんの家で花嫁修業をするのだ。


将来のためにも、シアちゃんで赤ちゃんのお世話をする練習もしているし、私のレベルは確実に上がっているはずだ。


さてそろそろ今日も頑張って修行しますか!


「エムリアさーん!おじさーん!今日も来ましたー!」


今日はどんなことをやるのかな~。包丁の使い方はだいぶ慣れてきたけど…。


干し肉の作り方とかかな?


「ミレイちゃん久しぶり」


「あれアウル!!帰ってきてたんだ!久しぶり!」


アウルやっと帰ってきてたんだ!なんかちょっと成長してる気がする!あんなに可愛かったのにちょっとカッコよくなったかも!


王都に出て少し都会感もでたかな?服装もおしゃれだし!


エムリアさんに教わった通り、『男を落とす技その①』で抱き着いてみたけど、アウルなんだか嬉しそう!胸を押し付けるのがこんなに効果的だったなんて!


少し恥ずかしいけど、ありがとうエムリアさん!




…ん?アウルの服から女の匂いがする。というかよく見たら、アウルの後ろに物凄く美人な人が2人もいるんですけど。


「ところでアウル」


「なに?」


「さっきからアウルの後ろに控えている美人な女性はどちら様かしら」


しかも2人とも年上かな?私よりも上だろうな。アウルが年上好きなのはなんとなく察してたけど、あんなに色っぽい人には勝てないよ…



「ご主人様、この奇麗な方がミレイ様でしょうか?」

「うふふ、私たちも自己紹介していいでしょうか」


ご主人様、って言った?ってことはこんなに綺麗な人が奴隷ってことなの?!


アウルに聞きたいことはあるけど、ここは先にこの人たちとの決着が先のようね。


「えっと、この子がミレイちゃん。俺のおさな「アウルの許嫁よ」じ・・・」


なにが幼馴染よ。私はエムリアさんの下でずっと花嫁修業してるんだから!


「私はご主人様の筆頭奴隷で、王都で毎日お世話をさせて頂いているルナと申します」


「私はご主人様の一番奴隷で、毎日お背中を流したりお世話をしているヨミと申します」


背中を?!しかも毎日ですって?!ぐぬぬぬ……負けない!


「改めて、私はエムリアさん公認の許嫁のミレイです。アウルとはずーっとっ小さいころから一緒にいました」


こんなぽっと出の女なんかに私のアウルは渡せないんだから!



しばし笑顔の睨み合いが続いだけど、エムリアさんによって遮られてしまった。


「ほらほら、自己紹介も済んだんだしご飯にしましょ!」



夜ご飯はエムリアさんが作ってくれたご飯をみんなで食べることになったんだけど、牽制も兼ねた笑顔の睨み合いで終始気を張っていた。


エムリアさんはなぜか楽しそうに笑っているけど、それどころじゃなんだから!


結局ご飯を食べ終わった今も、笑顔の牽制が続いている。


「ちょ、ちょっと俺風呂に入ってくるね!ごゆっくり!」


お風呂かぁ。私もたまに入らせてもらうけどあれは本当に素晴らしいものだ。


水は私が出せるし、温めるのは焼いた石を入れればそれで済む。エムリアさんと何回も一緒に入ったものだ。


私の家族もお邪魔させてもらって、家族ぐるみで仲がいいのは私の強みかな。


私も勇気を出してアウルと一緒に入ろうかしら?



「うふふ、いつものようにお背中お流ししますね」

「ご主人様、私もお背中お流しします」



なぁっ!?先手を取られた!くそ~、勝ち誇ったかおしてるのが余計に腹が立つ!


「いや、今日は1人で入る!」


そうだそうだ!いいぞアウル!


「あらあら。今日は、ね?」


…あ!アウル、やっぱりいつもは3人で入っているてことね?!


問い詰めてやろうと思ったけど、アウルはそそくさと行ってしまった。


しかし、アウルがいなくなったのは好都合だ。2人とは喋ってみたかったからちょうどいい。



「…ミレイ様、アウル様の手前、引くに引けなくなりましたが、無礼をお詫びします」


へっ?

確かこの綺麗な銀髪の人はルナさんだったかな?


「うふふ、私もつい目の前でイチャつかれてムキになってしまいました。すみません」


この色っぽい人はヨミさんだったはずだ。


けど急に謝ってきてどうしたのだろう。


「えっと、いや、私も張り合ってしまってごめんなさい」



そこからはエムリアさん主導のもと、ルナさんとヨミさんの話を聞いた。


ルナさんは元々酷い怪我をしていて、買い手がなかなかつかなかったところをアウルが買ったという話や、ヨミさんが言い寄っても全く手を出してこないこと。2人が奴隷とは思えないほどいい環境で生活できていること。


他にもアウルの王都で何をやっているかなど、詳しく教えてくれた。


この人たちは純粋にアウルに感謝して、そして本当に好きなのだろうと思った。


私もどこか意地になっていたのかもしれない。正確には許嫁ですらないけど、アウルは押しに弱いとエムリアさんに聞いたから、半ば押しかけ女房になろと思っていた。


アウルも私のことは嫌いではないと思っていたし、スタンピードから助けてもらって以来どんどん好きになっている気がする。


アウルがお風呂から上がるまでに、昔話やアウルの凄いところなどの話に花を咲かせた。


一時はどうなるかと思ったけど、2人ともとても素晴らしい人だ。こんな人たちが傍にいてくれるならアウルが王都にいても安心できる。


私もミュール夫人から『学院の話』は来ているし、もう少しの辛抱かな?


あ、アウルがちょうどお風呂から上がったみたいだ。



「ご主人様!私たちはミレイさんと一緒にお風呂に入ってきますね!」

「うふふ、女子会というやつです」

「アウル、2人を借りるわね!」



少し心の整理に時間はかかるかもしれないけど、好きになってしまったものはしょうがない。


それにこの人たちならきっと信用できる。だってアウルが選んだ2人だもんね!


「でも、正妻の座は譲らないからね?」


「…いえ、私たちは奴隷ですから性奴隷にはなれてもそれ以上は…」


ふふふ、ルナさんより私のほうがアウルのことを分かっていそうね!


「何を言ってるの。アウルがいつまでも2人を奴隷にしておくはずないじゃない」


「うふふ、その時にならないと分かりませんが、もしそうなったとしても一筋縄では負けませんよ?」

「私も負けません!…でも私は当分は奴隷のままがいいです。まだ恩を全然返せていませんから」


ルナさんはほんとに真面目なんだなぁ。アウルもルナさんのこんなところを気に入ったのかもしれない。


「にしても、3人で入ると少し狭いわね」

「そうですね。けど私はこういうのも好きです」

「うふふ、そうね。ミレイ様は私たちより年下なのに、ずいぶん成長が早いですね?」


モミモミ


「あっちょっ!どこ触ってるのよ~!!」



久々に更新です。遅くなりまして申し訳ないです。


今後もちょっとずつですが更新予定です。評価・ブクマしてもらえたら嬉しいです。


本編が双葉社様にて書籍化致します。


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― 新着の感想 ―
[一言] リクエストに応えていただき、ありがとうございます! ルナ・ヨミのコンビの印象が強すぎて、ややミレイちゃんが目立たない感じがあったので、 それを補ういい閑話だと思いました。
[一言] これでアウルがガキ大将で同年代に色々教えてたら 子供世代が化け物だらけの村になってたな(棒
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