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001.私の名前は『クイン』


私はジェノサイドビーという種族の魔物である。名前はまだ無い。アザレ霊山という山を住処にしている。


ジェノサイドビーの中でも女王蜂という役職持ちの魔物だ。


普段は部下たちに外で蜜を集めさせたり周辺の警戒をさせて、巣の中で子供を産んだり育てたりするのが私の仕事だ。


私たちは蜜以外に肉も食べるので、肉を集めてくる班もいる。


肉は確保には、基本的にどの魔物からも嫌われているオーク達を狩るようにしている。


そのため山に住む魔物とはある程度上手くやれていると思っていたのだが、近ごろ山が慌ただしい。


部下の報告によると、人間がどこかからかなり危険な魔物を連れてきてしまったらしい。


人間というのは本当に厄介な生き物だ。弱いくせに数は多いし、すぐに調子に乗る。弱いかと思えばたまに強い個体もいるので厄介極まりない。


人間が連れてきた魔物は恐ろしく強いらしく、かなりの魔物たちが喰われてしまった。私の部下が数体帰ってきていないのは、もしかしたらそいつのせいかもしれない。


上位個体ともなれば、危機管理能力が必須とされる。私は比較的に頭がよく、危険に関しても敏感なほうだと自負している。


今までも部下が帰ってこないことは稀にあったが、今回の要因はおそらく『例の魔物』のせいだろう。


アザレ霊山の主のあのお方は、ちょうど休眠期だから当てにはできないだろう。


あまり人間には関わりたくはないが、人里近い森へと住処を移すほかないだろう。


部下を総動員して巣を移し始めるが、長年使ってきた巣は大きすぎて運べない。


よって新たに巣を作りつつの作業になってしまう。


途中『例の魔物』が襲ってこないかヒヤヒヤしたけどなんとか無事に巣の移動は完了した。


住まなくなってしまえば前の巣は他の魔物に食べられてしまうだろう。


あそこまで大きくするのは時間がかかったのに・・・。





巣を移動させてからは『例の魔物』の被害も無いし、順調である。


近辺に住んでいる人間も大人しい個体なのかほとんど森へ入ってくることも無い。


やっと安寧の地を得たのだと思った矢先、一人の人間の子供が現れたと報告が入った。


私の知識からすれば人間の子供など脆弱な生き物のはずだ。しかし、ここに巣があることを他の人間に知られれば厄介である。


部下に殲滅するよう指示を出そうとした途端に周囲に障壁が展開されるのに気が付いた。


それと同時にその子供はただの子供ではないと言うことも直感的に理解した。


部下が言うにはその少年は障壁内に炎を発現させているという。なぜだかは分からないが、何か意味があるに違いない!


瞬時に風魔法で風の障壁を展開した。これが私の命運を分けたと言っても過言ではないだろう。


時間が経つにつれてどんどん落下し死に絶えていく部下たち。なんとか耐えていたが私もそろそろ限界だ。


最後に一目少年と言うのを見てやろうと巣の外に出ると、やはり限界でフラフラと地面に落ちてしまった。


地面に落ちると周囲に張られていた少年の障壁が解除され、なぜだか急に気分が楽になった。


もしかしたら何かしらの毒でも撒かれていたのかもしれない。


近寄ってくる少年に視線を移すと、今までにない感情が体の中を駆け巡った。


部下を殺されたとは言え、私も魔物。強い物には抗えないと言うことなのかもしれない。


純粋に「配下になりたい」という気持ちを少年に念じてみると、思いが通じたのか少年が話しかけてきた。



「お前、俺と一緒に来たいのか?」


気分が楽になったとは言えまだ本調子じゃないために、弱々しく羽を動かして肯定する。


「たまにはちみつを貰うかもしれないが、それでもいいかい?」


この少年の配下になれるのなら蜜など安いものだ。よく見ると幼いながらも力強い良いをしている気がする。



「そうか、今日からお前は俺の従魔だ。名前はクイン。よろしくね」



クイン。今から私はクインというらしい。なんだか素晴らしい名前なような気がする。


いままで名前が無くても不便に思うことは無かったが、名を貰った今となっては無くてはならないもののように感じる。


未だ地面で横ったわっている私を気遣ってくれたのか、物凄い回復魔法を使ってくれたのだ!


「それにしても仲間殺してしまってごめんな、辛いだろ。今回復してやるからな。"エクスヒール"」



今更だが、不思議と人間の言葉が分かるのはなんでだろう?以前人間と戦った時は何を言っているか分からなかったのに・・・。


あるじが特別なのかもしれないな。



あぁ、あるじ。私はこれから主に恥じないような魔物になって見せますよ!



細々と更新予定です。

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