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1話 いつもの朝

 あぁ、そろそろ沙久矢(さくや)の来る時間だ・・・・・

 上着のボタンを全て留めると、ちょうどドアがノックされた。


「おはようございます、綺晶」

 ドアが開くといつもと同じように沙久矢が姿を現す。


「おはよう」

 時間も毎朝必ず同じ。一分もずれない機械並みに正確だ。

 それを把握した上で、支度は済ませておいた。机の上に置いてあった栄養補給飲料を手に取り、素早く飲み込む。


 彼女の名は沙久矢・K(クリスマー)・ジェストン。同じ学校のクラスメイト、そして私の補佐役でもある。毎朝、わざわざ部屋まで迎えにきてくれる。


 同じ年だというのに落ち着いた雰囲気をまとっており、優秀なことは間違いないのだが、それ以上に安心して色々任せることが出来る存在でもある。


「もうすぐ八才の誕生日ですね。今年は何が欲しいですか?」

 あっという間に朝食を済ませ、鞄を背負う私の横で沙久矢は尋ねてきた。


「この間の沙久矢の誕生日、おすすめの細菌データーだったからなぁ」

「さすが、綺晶ですね。専門外の資料をあそこまでそろえることが出来るなんて、とても助かります」

 そう言っている沙久矢だって時間をかければ入手できる資料である。その時間を短縮してあげただけにすぎない。


「うーん、あれからもう一ヶ月経つんだ。・・・今年も沙久矢の創った生き物がいいなぁ」

「・・・今年もですか? 仕方ないですね」

 少し甘えた感じでおねだりをすると、普段のクールな彼女からは想像もできないような甘い微笑みを向けてくれる。


「今までもらった子たちがどの子もかわいいからね」

 それに生き物といっても、その姿は様々で毎年いろいろと改良されていた。

「三年前は歩く植物(ウォーキングリーフ)、二年前は空飛ぶ魚(スカイングフィッシュ)、そして去年はおしゃべりな猫(スピーキングキャット)でしたね」

 生物、植物を研究することを主とする沙久矢からはかわいらしい手作りペットたちが贈られていた。


「隣の部屋にいるよ。すっごく可愛くて、仕事を放り投げて遊んでいたいよ」

 そう言ってペットルームの方を指差した。毎日毎日、私はあの子達を一生懸命世話している。


「仕事が疎かになるのは困りますけど、綺晶がそう言うのならば今年も作りますね」

 沙久矢は微笑みながら承諾してくれた。


 ペット達が可愛いのも事実だが、仕事はきちんとこなしている事も沙久矢はちゃんと理解してくれている。


「ありがとう、沙久矢」

 その時、ドアの外に人の気配がし、口を閉ざすとノックされた。

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