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セレネ

その日、湖が割れた。

(なにこれ?、いったいなにがおきているの?)


湖の中心付近にいた水竜は訳がわからずガムシャラに泳ぎ回っていたが、水が割れた部分から飛び出してしまう。


ドチャ!!!!


目の前にはこれの原因を作ったらしき人物がいた。


「キシャアアア!(いやああああ!)」


思わず尾でその人物をたたこうとしてしまう。


ビタン!!、ガキン!!!、


しかし、水竜の尾は見えないなにかに阻まれ、体中の魔粒子を吸われて意識を失ってしまった。


ズズーン!!!!、




第四サイコロハウスのベットに少女が寝かされている。青い髪は腰まで届きそうなほどに長い。


白いワンピースに隠された肢体は起伏に乏しく、小学生低学年くらいに見える。


「うーん、やっぱりこの子が水竜なんだよなぁ・・・竜って人間の姿をとれるんだ。」


「まあね、高位の竜はたいていできるらしいわよ。」


トオルの疑問にリムが答えてくれた。


「う、うううん・・・」


「お、意識が戻った?」


少女の目が徐々に開いていく。瞳の色は髪と同じ青だ。そしてそれを覗き込むトオルと目があった。


「う・う・・・・・あ・・あぁああ!」


ガバ!!


上体を跳ね上げて後ずさる。


「う・うえぇええ・・・」


まん丸に見開かれた瞳がどんどん潤んでくる。


(あ、ま、、、まずい。)


ガバ!


咄嗟にトオルは少女を抱きしめた。そして頭と背中を優しくさする。


「ご、ごめんよ。びっくりしたよね。こわかったよね。ごめん、本当にごめん。大丈夫だから、もう大丈夫だから。」


トオルは少女を安心させるように、やさしく、撫で続けた。


「あ、あ・・・あふ・・・」


やがて泣きそうだった少女の顔から警戒の色がなくなり、気持ちよさそうに目を細める。



十分ほど、そうしていただろうか?、やがてトオルがゆっくりと離れる。


「あ・・・・」


少女が名残惜しそうにトオルを見る。


「もう、落ち着いたかな?、オレはトオル・・・君の名は?」


「・・・セレネ」


「そうか、セレネちゃんか、さっきは驚かせてごめんね。」


「ん・・・・もういい・・許す。そのかわり・・・セレネと遊んで?」


「よし、遊ぶか!」




「あはは、トオル、こっちこっち、」


「まてぇ!、」


鬼ごっこをしているセレネとトオルを微笑みながらカエデとリムとミチルが見ている。


「トオル、けっこう本気で楽しんでないか?」


「本当ね、どっちが子供なんだか。」


「トオルさん、かわいいです。」



日が傾きかけたころ、トオルはセレネの前で膝をついて向き合っていた。


「トオル・・・いっちゃうの?」


「ああ、でも、またきっと来るから、また来てセレネと遊ぶから・・・ね?、」


トオルはそういってセレネを抱きしめていった。


「またね、セレネ。」


「うん、絶対またきてね。またね、トオル。」


そう言ってセレネはトオルにとびっきりの笑顔を見せてくれた。




「・・・そうですか、水竜のセレネちゃんですか・・」


「ええ、とっても良い子でした。」


トオルたちは冒険者ギルドにクエストの報告に来ていた。その際、マチルダにセレネのことを話し、できるだけ刺激しないように、保護してもらえるように話していた。


「素敵な出会いがあって良かったですね。」


「はい。」

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