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リブロースステーキ

トオルたちは、ファーストの街へ続く街道で大きなリアカーでオークを運んでいた。


前を引っ張るミチルとカエデの表情には余裕があるが、後ろから押すトオルとリムは大量の汗をかき、青い顔をしている。


「ねぇ、トオル。いっそのこと冒険者ギルドの真下に神雷号の駅をつくっちゃわない?」


「いや、流石にそれはまずいだろ、いろいろと。」




冒険者ギルドの裏手にある搬入口では、ギルド職員が忙しそうに動き回っていた。そこにトオルたちがリアカーを引いて現れる。


「こんにちは、ワトソンさん。」


カエデがスキンヘッドでムキムキの職員に声をかける。


「おぅ、カエデじゃねぇか、素材の持ち込みか?」


「ああ、オーク討伐クエストの分だ。あ、こっちはリーダーのトオルだ。」


「トオルです。よろしくお願いします。」


「ワトソンだ、よろしくな。どれどれ・・・おお、立派なオークが五体か、三体は頭が消し飛んでるが可食部位は大丈夫だな。よし、2回分の討伐証書を出そう。半端な一体分はどうする?、普通に買取に出すか?」


「えと、自分たちでオーク肉を食べてみたいので、一番美味しいところだけを切り分けてください。残りは買取で・・・いいですか?」


「はは、オーク肉は美味いからな・・・よし分かった。ちょっと待ってろ。」


ワトソンさんは、その場で器用に解体用の包丁をふるい、オークの背中あたりから肉塊を切り分けてくれた。


「ほら、もってきな。オークで一番美味いリブロースの肉だ。んで、こっちはクエストの討伐証書と残り肉の受け取り証だ。」


「ありがとうございます。」




冒険者ギルドに正面から入ると多くの冒険者たちがクエストの報告に訪れていた。


そんな中、トオルたちはマチルダのいる各種受付の窓口に向かう。


「おかえりなさい。トオルさん、クエストの報告ですか?」


「ただいまです。マチルダさん。はい、これが証書です。確認をお願いします。それと半端な分の肉の買取証の処理もお願いします。」


「あいかわらず信じられない早さですね。オーク討伐をこの街で日帰りでする人なんて始めて見ました。はい、こちらが討伐報酬と肉の買取分のお金、金貨2枚と銀貨3枚です。」


「ありがとうございます。・・・ところで、このクエストで得たオークの肉を食堂に持ち込んで調理してもらおうと思ってるんですが、良い食堂を紹介してもらえませんか?」


「あ、それでしたら、良いところを知ってますよ・・・紹介してもいいですけど・・・あたしも食べたいなぁ・・・・・」


赤くなって、うつむきながらマチルダさんが見上げてきた。


(ぐはぁ、なんだこの破壊力・・・可愛すぎる。普段のキリっとしたイメージとのギャップが・・・)


トオルが赤くなって、鼻の下を伸ばしていたら、ミチルに尻をつねられた。


「いたた。」


トオルの代わりにミチルが返事をする。


「いいですよ、よかったらお姉さんも誘って、一緒に行きましょう。・・・ね、皆?」


リムもカエデも笑顔で頷き返した。




「美味豚亭」と書かれた看板の下で二人の黒髪メガネ、タイトスカートの美女が立っていた。


そこにトオルたちが来る。


「おまたせしました。マチルダさん・・・と店長?」


「いえ、私たちも今来たところですから、こちらは私の姉のアマンダです。」


「あらためまして、アマンダです。よろしくお願いします。」


「やっぱり店長はマチルダさんのお姉さんだったんですね。似ていると思ってたんですよ。」


マチルダに比べてややアマンダの方が背が高く、スラっとしているが、良く似ている。




「では、チームヒラマツのオーク討伐成功を祝って、乾杯!」


「「「「「乾杯!」」」」」


トオルたちは奥の一室を借り切って白ワインを飲んでいた。そこにジュウジュウと音をたてて鉄板にのったオーク肉のリブロースステーキが運ばれてきた。


「これが、最高級オークのリブロースステーキ・・・」


ごくり・・


トオルは思わず生唾を飲み込む。


ズブリ・・ジュワア


フォークで抑えて、ナイフで切ると簡単に切れ、溢れんばかりの肉汁が出てくる。


それをフォークで口に運ぶと、途端に口の中で溶けて甘みが染み込んでくる。


「なんだこれ、お肉が口の中で溶ける・・・」


数回の咀嚼で肉が口の中から消えてしまう。それがすごく名残惜しい。


皆、夢中になって食べた。一人あたり、500グラムの肉が4枚くらいはあったはずなのだが、あっと言うまになくなってしまった。


チームヒラマツのメンバーはまたオーク討伐をしようと硬く心に誓うのであった。

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