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スパイラルキャノン

「ファイヤーボール!」


ミチルの手の間に赤い火の玉が発生し、それが前に飛んでいった。


ゴン


火の玉は20メートル先の岩に当たり、僅かにそれを削り取った。


トオルたちは本日、クエストの受注は一休みし、ファーストの街の北側の荒地に戦闘訓練に来ていた。


「おお、なるほど、空気中の炭素を圧縮して高温にして射出している訳か。よし、オレもやってみよう。」


トオルは周囲の魔粒子を集め、炭素を抽出、圧縮し、発火、高温になったところで前に射出した。


ゴン


ミチルの火の玉と同じように飛んで行き、岩を削った。


「できた。」


「流石トオルさんです。」


「・・・・しかし、これって遅いねぇ。子供が投げる野球の球みたい。それに威力もいまいちかな?」


「そうなんですよね。真正面からこれを撃ってもまず当たらずに避けられちゃいますね。」


(うーん、ここは魔粒子で大砲・・・っていうか、砲身をイメージして、そこからファイヤーボールを射出するようにすれば威力は上がる・・・かな?、・・・・よし、やってみよう。)


トオルは魔粒子を筒状に目の前に展開。手前をラッパ状に広げ、手前から先に向けて魔粒子を渦巻状に高速で流動させた。


(よし、このスパイラルキャノンにファイヤーボールを叩き込めば・・・・あ・・・)


ファイヤーボールを発生させると同時にスパイラルキャノンは消滅してしまった。


(スパイラルキャノンを維持したままファイヤーボールを撃つのはムリか・・・スパイラルキャノンの維持を魔粒子結晶ですればいけるかな?・・・とその前に、ミチルちゃんと二人で試し撃ちをしてみるか。)


「ミチルちゃん、ファイヤーボールの発射準備をして。」


「はい」


ミチルが両手を前に掲げるとトオルは後ろから手を重ねてきた。


「え・・・トオルさん。何を?」


ミチルは真っ赤になって聞いてくる。


「いいから、集中して。」


「は・・・はい。」


トオルはミチルが撃つであろうファイヤボールの予定進路上にスパイラルキャノンを展開する。


「よし、ミチルちゃん。撃って。」


「ファイヤーボール」


ミチルとトオルの手の間に火の玉が出現した。それがスパイラルキャノンに吸い込まれると赤い炎が青くなり、大きさも野球のボール大からゴルフボール大に変化した。そして残像を残して目の前から消える。


ヒュン・・・・ドゴーン!


目にもとまらぬ速さで飛んでいった火の玉は命中した岩を完全に粉砕した。


ミチルは呆然と目を見開いている。


「・・・・トオルさん。すごいです。」


「よし、成功だね。ちょっと待ってね。」


トオルはポケットから魔粒子結晶を出し、目を閉じてそれを加工する。指輪状になったものをミチルに差し出す。


「はい、これ、さっきのファイヤーボールを強化する魔法が込められているから。嵌めてみて。」


ミチルはそれを右手の薬指に嵌めた。因みに左手にも結婚指輪代わりの魔粒子結晶の指輪が嵌められており、こちらは常時、魔粒子絶対防壁の魔法が発動している。


「じゃあ、キャノンって言った後、ファイヤーボールを撃ってみて。」


「はい・・・・キャノン!・・・・ファイヤーボール!!」


ヒュン・・・・ドゴーン!


さきほどと同じように、ファイヤーボールが強化されて射出された。


「すごいですトオルさん。ありがとうございます。」


「どういたしまして」




「ミチルだけ、ずるいぞ。トオル、私たちにももう一つ指輪をくれ。」


振り向くと頬を膨らませたカエデとリムがいた。

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