魔力溜まりの世界
気がつくと徹は見渡す限りの草原にポツリと一人で立っていた。
夕焼けに染まった膝丈ほどの草たちは風にあおられ、赤い波を立てている。
そして、さっきつかんだホタルのような光が所狭しと舞い踊っている。
(なんだここは?、あの世?、俺は死んだのか?)
徹は自分の頬をつねってみる。
(痛い!、・・・生きてるし、夢じゃない?・・・じゃ、ここはいったい何処なんだ?)
目の前の草の上の光を右手にすくいとってみる。
(これ、さっきの光と同じものだよな?・・・だったら、もう一度同じことをすれば戻れるか?)
再び徹は両手を頭上にかざして叫んだ。
「光よ!、我が手に集え!!」
あたりで舞い踊っていた光が頭上に集まってきて、徹は眩い光に包まれた。
徐々に光がおさまってきて、いつのまにか閉じていた瞼を開いた。
しかし、そこは相変わらず見渡す限りの草原だった。
変わったことといえば、舞い踊る光がなくなったことくらいだろう。
(・・・ダメ・・・か・・これからどうしよう・・・)
『ようこそ、魔力溜まりの世界へ!』
かわいらしい女性の声が頭の中に直接響いた。
「誰だ?」
辺りを見回したが人影らしきものはない。
『ここよ、あなたの右手!』
右手の上をみると、先ほど集まってきていた光が小さい人型になっていた。
さらに光が収まっていくとその全貌が明らかになっていった・・・
「・・・・妖精・・・なのか?」
光が完全におさまると。そこには30センチくらいの大きさで、透き通るような白い肌をした、金髪ロングで赤い瞳をしたの女の子がいた。
背中には蝶のような光の羽らしきものがある。そして何故かビキニアーマーを着ていた。
『はい、あなたの集めた魔粒子によって顕現できた妖精さんです!』
妖精は得意げに微かに膨らんだ胸をはって答えた。
「・・・・そうか、本当に妖精なのか・・・」
徹はそう呟くと、その妖精をじっくりと上から下まで観察した。
30センチの人形サイズながら、その容姿はスレンダーで、よく整っていた。
ファッション雑誌のモデルみたいだ。
『あんまり、ジロジロ見ないでよぉ。』
妖精は前を腕で隠して、顔を赤くさせた。
「あ、ごめん、妖精さん、」
『リムです。』
「え?」
『あたしの名前、リムっていいます。妖精は種族名ですからね。』
「・・・・そうか、俺は徹。よろしくな、リム。」
『はい、よろしくおねがいします徹さん。』
リムはニッコリ微笑んだ。