ナンバ商会
街門をくぐり、中に入ると片側2車線くらいある太い道が続いており、遥か先に噴水広場のようなものが見えた。道の左右の建物は中世ヨーロッパ風の石造りのものが殆どだった。
ゆっくりと馬車は噴水広場まで進み、左側に曲がる。見ると他の馬車も皆、この広場に出たところで左折しており、中では時計回りに進んでいる。
(・・・そうか、ここはいわゆるランドアバウトの交差点になっているんだな。)
結局馬車は噴水広場の交差点を半周して、これを突っ切る形で進んだ。
噴水広場の手前までは、商店や宿屋、食事処のような建物が多くあったが、先では住宅と思われる建物が多くなった。
住宅街にはいってしばらく進み、一際大きな建物の前で馬車は止まった。
バタン!
建物の扉が大きな音をたてて開き、40くらいの男が一人飛び出してきた。
「ミチル!」
「お父様!」
馬車の中にいたミチルも飛び出していく。
門と館の間で二人は抱き合う。
「ミチル、無事で良かった。帰りが遅かったから心配していたんだよ。」
「盗賊につかまったんだけど、トオルさんたちに助けてもらったの。」
そう言ってミチルは馬車から降りようとしていたトオルを見た。
「娘を助けていただき、ありがとうございます。私はこの家の当主、ジン・ナンバです。」
「トオル・ヒラマツです。こちらは妻のリムです。よろしくお願いします。」
二人はガッチリと握手をかわした。
「ささ、立ち話もなんです。どうぞ、お入りください。カエデも護衛ごくろうだったな。」
ナンバ家のリビングでジンはトオルに頭を下げていた。その頭頂部には茶色いイヌ耳がピクピク動いている。
(さ、さわりたい・・・いやいや、そんな場合じゃない。)
「改めて御礼を言います。この度は娘のミチルを助けていただき、本当にありがとうございました。是非なにかお礼をさせてください。」
「いやいや、頭を上げてください。当然のことをしただけですから、あ、因みにナンバさんは何かご商売をしているんですか?」
「ジンと呼んでください。ええ、私は服飾を主に取り扱う、ナンバ商会を営んでおります。街のメインストリートに二つ店をだしてるんですよ。」
「ほう、では厚かましいお願いかもしれませんが、私とリムの服を何点かいただけますか?あ、それと靴も、・・・お恥ずかしいことですが、着の身着のまま旅にでることになりまして、ろくに着る物がないんですよ。」
「それぐらいならよろこんで、早速明日にでも、店のほうで採寸して作らせましょう。」
「ありがとうございます。」
「そろそろ夕食の準備ができたようです。食堂の方へ行きましょう。この街にいる間は是非我が家でゆっくりしていってください。」
夕食には、フランス料理のフルコースのようなものが出てきた。
この世界にきてはじめてのまともな食事にトオルは歓喜し、涙を流しながら食べた。
その夜、客間のテーブルでリムとトオルはワインを飲んでいた。
リムはやや透け気味のネグリジェを着ており、ほんのり赤くなった姿はすごく艶めかしい。
因みにトオルは普通のパジャマの上下を着ている。
「じゃあトオル・・・そろそろ。」
「ああ、そろそろ、」
「夜這いに行きましょうか」
「ああ・・・って、えぇ?、夜這い?、ナニイッテルンデスカリムサン。」
「昼間のミチルちゃんの膝枕、柔らかかったでしょ?、ね?」
「ああ、確かに・・・って、えぇ、それでいいのかリム、それにミチルちゃんはまだ子供じゃ・・・」
「あたしは、トオルと楽しめればいいのよ、人数多いほうがきっと楽しいわ。ミチルちゃんは子供っぽく見えるけど、たぶん18くらい、大人よ。きっと私たちを待ってるわ、さぁ、グダグダいってないで行くわよ。」
ミチルは自室のベットで眠れない夜をすごしていた。目を閉じれば、トオルの顔ばかりが浮かんでくる。
(牢から助け出してくれたトオルさん、かっこよかったなぁ、馬車酔いしてるトオルさんはかわいかったなぁ。)
「・・・・トオルさん・・・」
切なくなって思わず呟いてしまう。
「呼んだかい?」
「ええ?!、トオルさん、どうしてここに?」
「夜這いにきました。」
「え、でもトオルさんにはリムさんって美人の奥さんがいるんじゃ・・・」
「勿論、あたしもいるわよ。」
「えぇぇえ?!、リムさんも?、どうしてぇ?!」
「夜這いにきたのよ、さぁ、三人で楽しみましょう。」
「え?、え?、えぇええ??」
混乱するミチルに、リムとトオルは体を重ねていく。
ミチルは訳がわからないままに快楽に溺れていくのだった・・・・合掌。




