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穴掘っていこう

目の前には全裸の幼女が同じ湯船につかっている。


「なあ、リム、オレの放出した魔粒子を吸収して成長したんだろうけど・・・これまで小型サイズでも大人体系だったのに、どうして子供体系になってるんだ?」


『ん?、なんとなく、ここから普通の人間みたいに成長した方が徹が喜ぶかなぁ?って、』


(そしていつのまにかオレのこと呼び捨てにしてるし・・・・ま、いっか)


「そか・・・まぁ、その・・・うん、可愛いよ、ありがとな」


『うん!』


リムの笑顔が眩しかった。


(可愛いは正義だな、もういいや、それで)




「では、いかにして人間の街に到達するか作戦会議です。」


『はい』


湯船で妖精とはいえ幼女と作戦会議・・・徹は何処に進もうとしているのか・・・



「正直いって、オレは体力ないです。足場の悪い草原や湿原、ジャングルなんかを革靴で踏破できるとは思えません。」


『そうね、絶対にムリとは言わないけど、きびしいわね。』


「では、魔粒子体のように空を飛んでいけばいいか?・・・どうだろう、この体で空を飛べると思うか?」


『うーん、できなくはない・・・と思うけど、相当練習が必要だと思うわ。それに生身で落ちたら大怪我するかもしれないし、安全策を十分にとった上でないと・・・練習するだけでも苦労しそうねぇ。』


「うん、やっぱりそうだよな。そこでだ。上がダメなら・・・下で行こうと思う。」


『下?』


「そう、下だ。オレが意識をのせた魔粒子体は本体から、約50キロ離れたところくらいまで操作できるようだ。」


『そうね、あたしの索敵範囲が5キロだから、徹はその気になればその10倍の50キロまで索敵できるでしょうし、ピンポイントでの魔粒子操作もそのくらいまでできそうね。』


「そこで、この50キロを魔粒子体でトンネルを掘って歩きやすい安全な道を作ったあと、本体で進むんだ。」


『なるほど、いいアイデアだと思うわ』


「よし、明日から早速作業をはじめるぞ。」


夕日がサイコロハウス周辺のイモ草原を赤く照らしていた。




翌朝、徹は朝飯を食べた後、作業を開始した。


「光よ、我が手に集え!」


リムの収集範囲外から、魔粒子が集まり、徹の頭上で一つになる。

徹はサイコロハウスのベッドに横になり、目を閉じた。その意識は魔粒子塊に移る。


『よし、頑張って穴掘っていくぞぉ。』


『おぉ!』


徹魔粒子はサイコロハウス前の土と草の境目あたりに移動するとゆっくりと周囲の土を外側に押しやりながら潜りだした。トンネルを掘る際、一番苦労するのが掘った土を外へ出す作業だ。徹はこれを余分な土を外側へ全て押しやって圧縮して固めることで解決するつもりだ。


直径3メートル程の穴を斜め下向きに掘り、地上からの深さが5メートルほどになったところから、森に向けて真っ直ぐに掘り進んでいった。途中50メートルおきに上に向けて直径10センチほどの小さな穴を開けた。本体が通った時に酸欠で倒れないための空気穴だ。


あっというまに穴は森に到達し、サイコロハウスから50キロの地点の直前で地上に出た。


比較的森の開けたところに第二サイコロハウスを設置した。


「よし、では第二サイコロハウスに向けて出発!」


『おぉ』


「おぉ、これは思った以上に足場がいいな、これなら楽勝だぜ」


(・・・と思った時期が私にもありました。)


途中、穴の中で一度だけ昼休憩をはさんで徹は歩きつづけたが、第二サイコロハウスに到着する頃には日は完全に沈んでいた。


「いくら足場が良くても、50キロ歩くのは大変だよね。つかれたぁ、もう動けない。」


『おつかれさま、このペースでいけば、あと5日もあれば街につきそうよ、がんばって。』


再び徹の魔粒子塊を吸収して中学生くらいに成長したリムが徹をはげました。


「よし、美少女の応援があるから、明日もがんばるぞ。」


復活した徹はしっかりサイコロフロに入って汗と疲れを落とし、第二サイコロハウスで眠りにつくのだった。

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