オフロにはいろう
徹は両手を上に掲げて叫んだ。
「光よ、我が手に集え!!」
周りから魔粒子が集まってきて眩しい光の玉となった。
「よし、これでしばらく、ここは安全だな。」
徹の全力は半径1キロから根こそぎ魔粒子を集めつくす。このことはその範囲の生物がまともに活動できなくなることを意味する。
「リムの魔粒子収集をカットだ。」
『はい』
徹はサイコロハウスのベッドに横になり、目を閉じる。先ほど集めた魔粒子塊に意識を移す。
『じゃあ、リム、探索に出発だ。』
『はあい』
徹魔粒子とリムはサイコロハウスから上空に飛び立った。
500メートルほど上昇して周りを見てみる。
太陽の方向にはサイコロハウス周辺の草原が少し続いたあと、砂漠が広がっており、その果ては見えない。逆の方向には草原の先に森が見え、またその先には険しい山々が見える。
『リム、街はどっちだ?』
『森の見える方よ、その先に見える山の麓あたりにあるの。』
『よし、森に行ってみよう。』
森の木は広葉樹で、幹は真っ直ぐでなく、なんとなく曲がっている気がする。
木の下にはびっしり草が生い茂っており、足場は悪そうだ。
『熱帯雨林のジャングルってこんな感じなのかなぁ。実際の体できたら歩きにくそうだ。この魔粒子ボディなら飛んでるから関係ないけど。』
『そうね、ヌカルミが所々にあるし、ヒルや毒ダニなんかもいるから、大変でしょうね。』
茶色いなにかが視界を横切った。
『なんだ?、あ、野うさぎ・・・・か?、ってかはや、なにあの動き』
小型犬くらいの大きさで耳が長く、後ろ足が発達した獣が走り回っていた。
そこに突然灰色の影が飛び込んできて、野うさぎを捕まえた。そして音もなく姿を消すように走り去った。
『な、狼?、ヤマネコ?、動きがほとんど見えなかった。』
(・・・この森はやばすぎる。)
『リム、帰って作戦会議だ。おれは本体に意識を戻すから、せっかくだからこの魔粒子塊を取り込んで、継続魔粒子収集をしながらサイコロハウスにもどってきてくれ。』
『了解』
覚醒した徹はサイコロハウスを出て1辺3メートルほどのサイコロ石を作った。
中をくり貫き、上半分を消す。そこに水を張って、40℃くらいのお湯にした。オフロだ。
徹は服を脱いでサイコロ桶もつくってかけ湯をしてサイコロフロにつかった。
「ふぅ・・・やっぱりオフロは気持ちがいいなぁ。・・・しかし、この世界は想像以上に危険がいっぱいだなぁ。」
そこにリムが帰ってきた。
『徹、ただいまぁ。あ、なによ、一人でオフロに入って、あたしも入る!』
ザブーン
「こらぁ、オフロに飛び込むなぁ・・・・って、リム?」
『えへ、ごめんなさあい。』
そこには小学生くらいの大きさに成長したリムがいた。




