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ピアノ





『ピアノ』



崩れるような

あなたのピアノが耳に残るの

今もなんとか生きてはいるけど

あの日の笑顔がどんどん遠くなるの

真夏日の光の中

私に手を振る泥だらけの顔



意味が無いのに生きてるって

自分が一番分かってる

布団の中であのメロディーを聴いているだけで

一生が過ぎてしまえばいいのに

時は過ぎ去るもの

人は変わるもの

そうやって生きていって

私は何になるつもりなのだろう



久し振りに近くを通ったから

人気の無い通学路

明かりの消えた音楽室

あなたはもう居ない

二度と此処には来ない

私も戻れはしない

でもあなたは居たの

ずいぶん昔に居たの

居たのよ

叫ぶような手つきで

心の落差を鳴らす鍵盤

あなたが弾いてるって

いつもわかってた



終電で帰り

針を傷口から抜いた瞬間のような

息を吐いて

私はまだ私だと確認する

でもこんなにまでして

此処に居ると叫んでも誰が気にするの

真っ暗な部屋の中

あなたを探してる泥だらけの顔



「…きっといつか……」

もう会えるはずもないのに

それでも頑張らなきゃいけませんか

「その時は胸を張って……」

私の努力が何処かのあなたを

1ミリでも幸せにするのでしょうか




真っ暗な日常の中で

崩れるような

あなたのピアノが耳に残るの





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