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異世界からの呼び声(仮)  作者: ホワイトパーカー
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第1章1話 ここから始まる物語

「さぁ、終わりにしましょう…」


「―――――、――――――!!」


其処には、悪魔のような姿をしたとても美しい女性とその周り一帯に広がる元々は人間だった死体の残骸と勇者のような恰好をし身体のあちこちから血が流れ出ている青年が対峙していた。


どう見ても満身創痍の青年は剣を支えにし立ち上がる。


「――――――!!」


青年は声にならない声を叫び、女性に斬りかかる。


ガキンッッ!!!


青年の剣は、見えない壁に阻まれ、ついにその剣は砕け折れ、青年の最後の希望も無くなった。

青年は膝から崩れ落ちる。


そんな青年に女性は手をかざし、



「『地獄の業火インフェルノ・フレイム』」


そう囁いた。


そして、黒く禍々しい炎が青年を飲み込みさらにその勢いが増す。

暫くすると、炎は消えそこには何も残ってはいなかった。


「また、違うのですね・・・。早く私の元へ来てください・・・、――――――様。」


※――※――※――※――※――※――※――※――※――※――※


「またか。」


また、同じ夢だ。半年前から同じ夢を見ている。いや、厳密に言えば同じではないな。女性の方は変わらないが、その相手が変わっている。今回は勇者(?)と騎士団だったが、前は勇者パーティだったり、魔法使いの集団だったり、はたまたその女性と同じ悪魔のような姿をした集団だったりしている。


「なんで、こんな夢をみるんだか・・・。さて、準備するか。」


俺はまだ、高校生だから学校がある。俺の通っている高校は【私立天ヶ崎学院高等学校】と言って、至って普通ではないの共学の高校だ。まず、運動部が全国レベルの超強豪だ。野球部やバスケ部、バレー部は全国に毎年駒を進め、優勝も何度も果たしている。剣道や柔道、サッカーなどもここ数年でチームのレベルが上がってきており、強化指定部活となっている。だが一方で、学力は余り良くない。どのクラスの男子の半分は運動一辺倒の所謂脳筋という有様だ。

まぁ、でも1部の学科を除くけどな。脳筋が多いのは工業科系の学科生だ。俺の所属しているところは普通科系の特別進学科だ。他にも一般クラスや医学科などあり、こちらは文化部系の奴が多い。・・・不良も多少いるがな。ここまで来るとわかるだろう、この高校かなりデカイ。全校生徒4500人って、下手な大学と同じぐらいいる。というか既に大学と言っても過言ではないほどだ。敷地の広さなんて大学よりも広い。さっきも言ったように部活も盛んだから体育館が第5体育館まであり、サッカーグラウンドに野球グラウンド、陸上トラックその他設備、テニスコート5面、弓道場に乗馬スペース、50mプール2箇所、校舎とは別に部活棟や講堂などがある。広すぎて新入生の大半は迷子になる。かくいう俺もそのひとりだ。


「じゃあ、行くとするか・・・、行ってきます。」


準備を終え、誰もいない家に言って、出る。

代わり映えのしない日常を、また俺は過ごす。





※――※――※――※――※――※――※――※――※――※――※――


「・・・・・・ということで明日から、夏休みだ。しかしお前らは受験生だ。特進だからといって腑抜けたことをしていれば足元をすくわれる。各自精進するように!では以上だ。」


終了式も終わり、HLも今を持って終わった。

今話していたのは、担任の比良坂 紫音。腰まで伸ばした黒の癖のない髪に、グラビア顔負けのメリハリのある体。ツリ目がちの黒い瞳に男勝りの口調で、クールかつ誰も寄せ付けない覇気を纏っている。これでまだ22歳なのが驚きだ。


通知表や資料を配っている中で自分の席でボーッと外を見ていると、1人の生徒が近づいてきた。


「成績どうだった?ユウくん。」


声をかけてきたのは、幼馴染みの天ヶ崎 茜。ダークブラウンの癖のあるセミロングの髪に2重でくりくりとした可愛らしい瞳、小柄ながらも女性を意識させる体。名前の通り、この高校の創始者と血縁関係にあり、現理事長の孫である。


「いつも通りだな。これなら志望の大学の特待枠を狙えると思う。」


「良かったね、ずっと言っていたもんね、その大学に行きたいって。」


「あぁ。そっちこそどうなんだ?まさか、つきっきりで勉強教えたのに、下がったなんて言わないよな?」


俺は笑顔で聞き返す。すると茜は慌てて言った。


「そ、そそんなことないよ!ちゃんと上がってたからその顔やめて!こわいよっ!」


どうやらとても悪い顔になっていたようだ。周りの数人も俺の顔を見たようで、顔を引き攣らせている。もう慣れてはいるのだが、やはりちょっと傷つく。



そんな時、不意に声が聞こえた。


「やっと――――――――――――た。――――――ま。」


その声に驚き、まわりを見渡すが声の主は見つからなかった。


「どうしたの、いきなり?」


「あぁ、いや、何でもない。気にするな。」


そんな茜の一言に適当に誤魔化しながら、空耳かと思い視線を戻すと、今度は鮮明にこれが聞こえた。


「やっと見つけました。覇王様。」


その声は、どこかで聞いたことのある声で、そして懐かしさを感じた。


その直後、教室の床が眩い光を発した。


「何なんだ!?」


「クソっ!ドアが開かねぇ!!」


その突然の出来事にクラスは騒然となる。パニックを起こすものやドアを開けようとするものが出てきたが、光はその輝きを増していき、そこで俺の意識はブラックアウトする。


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