地上へ
親方の声だ
「親方、俺はもうだめです」
と弱音をはいた
すると、
「諦めるな、エレベーターのところまで来い、エレベーターから地上にあがれる」
そうか、とタケルは思った
エレベーターは地上から一気に抜けている
そのため、うまく行けば地上に上がることが可能だった
「エレベーターまでの道は確保したから、あとはそっちでエレベーターのとこまで来ることができれば、ロープで、引き上げることができるかもしれん」
タケルは最後の力をふりしぼった
朝から始まり、現在夜中1時
ほぼぶっ通しで歩き続け、体力、精神力、ともにピークに達していた
しかし、頑張るんだ、と自分に言い聞かせ、どうにかエレベーターのところにやってきた
「おーーーい」
と上から声がした
タケルは手を挙げて答える
上からロープが垂れてきた
それを体に巻き付ける
もう握力もないため、なんとか体に結ぶのがやっとであった
そのままタケルの体が宙に浮いた
地上に脱出することができた
「よくがんばった」
親方が言った
他の仲間もすげえよ、とほめてくれた
そのまま病院に搬送され、翌日になった
ニュースでは昨日の建築現場崩壊のニュース一色になっていた
そして、そこから助かることができた
こんなことにならないよう、耐震偽装とかやめてね
タケルはそう思い、また眠りについた
終わり
いろんな意味でまずい題材でした