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B1

最後の力をふりしぼって、車の通る通路に出た

「もうだめだ」

地面に横たわる

すると、そこに一台のフォークリフトが置いてあるのがみえた

「フォーク・・・最後の頼みの綱だ」

タケルはフォークに乗り込む

ラッキーなことにカギは刺さっており、動かすことが可能だ

免許はもっていなかったが、なりふりかまってはいられなかった

キーをまわし、エンジンをかける

そして、そのままアクセルを踏み込んで、フォークを動かした


道のがれきをどかしながら、地道に進んでいく

もしフォークがなければ、完全に進めなくなっていた

不幸中の幸いだ

そう思いながら、フォークで道を切り開いていく


すると、反対側から何か突っ込んでくる音がした

「なんだ?」

粉塵を切りさいて、現れたのはもう一台のフォークだった

さっきのとびのおっさんが乗っている

正面でなぜかにらみ合っている

「まさか・・・」

案の定、おっさんは突っ込んできた

正気じゃない

ガッコオンという衝突音がした

「うっ、何考えてんだ」

おっさんはこちらのうしろに回り込み、押し込んでくる

前方に押される

「どうする気だよ」

と振り返るが、おっさんは黙っている

なんとか振り払おうと、ハンドルを操作した

なんとか逃れることができたが、その先でタケルはゾクっときもの冷える思いをした


なんと、道の先がない

その先は奈落の底であった

地割れで地面がなくなっていたのである

「こいつ、これを見て、気がおかしくなったのか」

そう思い地割れから逃れようとしたところに、おっさんがフォークを突っ込ませてくる

やばい、と思ったが、ハンドルを切る暇もなかった

そのため、思いっきりアクセルを踏み込んでかち合った

ガチイインと金属音が響き、お互い、相手を押し合う形となる

力は互角だった

まったくそこから動かず、お互いのフォークが呻く音がするのみだ

タケルのフォークは地割れまで3メーターとない

少しでも気を抜けば落とされる

「おい!いい加減にしろ」

そう言ったが、おっさんはまったく聞く耳を持たない」

「おちろ、おちろ」

と呪文のようにつぶやいている

「後悔するなよ」

とタケルは少しずつアクセルを緩めた

残り2メーター、残り1メーター

そこでタケルはフォークから飛び降りた

2台のフォークは地割れに飲み込まれていった

「うわああああああ」

おっさんの断末魔が穴のそこから響いていた


とうとう道は無くなった

最後の最後で、道は途切れた

この地割れはとてもはしごをかけて渡ることはできそうもない

あとほんの少しだった

あと半週するだけで地上まで上がれた

なのに、ここで終わった

確かに気がくるっても仕方ないな

そんな風に思えた


そこに、スマホの鳴る音がした

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